第6話 音
部屋で大学のレポートを仕上げていた時に、異変を感じた。
ドタドタドタドタ。ドンドンドン。
上の部屋か、壁から大きな音が聞こえるのだ。
「うるさいなぁ、でも実家でもこういうことあったし…」
しかし、夜寝るときでさえ音は聞こえた。
カンカンカンカン。
(なにか家具でも作ってるのかな…?)
一人であることもあって、なんだか恐怖だ。
その日は、少しだけ眠りに着くのが遅かった。
後日、大学で美月ちゃんに話した。
「最近上の部屋、か壁から、ドンドンとかドタドタとか音が響いてて、うるさくて眠れないよ~。」
「え…うーん、うちもよくそんな音聞こえるけど、だいたい子供が走ってるとかなんだよね…」
「へ~、そうなんだ…。あと、たまにカンカンカンって、家具を作るみたいな音も聞こえるんだよね。隣2部屋は空室みたいだし。」
「空室って珍しいね…。じゃあ、上の階の人にも挨拶しに行ったらいいんじゃない?何か分かるかもよ!」
「うん、ありがとう。そうしてみる!」
しかし私は疲れ果ててしまい、部屋に戻った瞬間すぐにベッドにもぐりこんだ。上の階の人のことを忘れてしまっていた。
そして、その日の夜。
「はあ、、、、、、、、」
ドライヤーで髪を乾かしながら、今日と明日のやることリストを頭の中で考えていた時。
ガタッ
「え……?」
ドアを閉めている浴室から、音が聞こえた。
誰もいないはずなのに。
(幽霊?まさか、ね)
…次の瞬間、浴室の閉めたドアが開いた。
とっさに本能で目を背けた視界の端には、白い服と、長い黒髪の女の人が見えた。
「きゃあああああああああああああああああああああああ!」
顔を手で覆い、しゃがむと同時に私は意識を失った。
□
私が目を覚ましたのは、10時半頃だった。
急いで時計を確認しに行ったから覚えている。
まず私は、浴室のドアを確認した。
・・・・閉まっている。
目をつむりながらドアを開けた。
恐る恐る目を開けると、そこには何もなかった。
髪の毛一本さえ、落ちていなかった。
ふらふらしながら寝室に行く。
(見間違い、だったのかな?)
そんなはずないとどこかで叫んでいる。
薄れゆく意識の中で、私は
「入居後のトラブルは入居者自身で解決してください」
「入居後のトラブルは口外しないでください」
上の二つの条件を、なぜか思い出した。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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