表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひとりぐらし  作者: 雨宮 叶月
管理人の記憶

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/77

第57話 夏休み

「あ、泉くん、久しぶり!最近すっごく暑いね。」

「高原さん。久しぶり。もう溶けそう」


暑いから冷たいものを食べよう、ということになったため、僕たちはコンビニに入ってアイスを買った。


僕は抹茶、彼女はチョコだった。


「ふふっ、アイスを食べることなんてほとんどないから嬉しい。」


その言葉に違和感を感じたが、彼女の笑顔でその考えはすぐに消え去った。


「ところで泉くんはさ、好きな人とかいるの?」

「え?」


唐突な質問に耳を疑った。


「いないけど…」

「そっか。いや、こんな暑い夏に恋の話を聞くのも良いのかもしれないなーって思って。」

「え、高原さんはいるの?」

「いるわけないじゃん。私は人から愛とか恋の話を聞いていいなーって羨ましがる声を上げるタイプの人間だから。」

「何それ」


僕たちは笑い合った。


「……あ。」


高原さんが声を上げた。


「どうした?」

「いや……クラスメイトっぽい人が見えたなーって。」

「夏休みだし、そういうこともあるんじゃない?」

「確かに。」


彼女は近くのゴミ箱にカップとスプーンを捨てた。僕も同じようにする。

鱗雲が規則的に並んだ青空を高原さんは見上げていた。彼女はよく空を見ていると思った。


「……明日は雨かもしれないね。」

「そうだね。」


高原さんは柵に腰かけ、僕のほうを見ないでそう答えた。


「……高原さんってさ、スタイルめっちゃ良いよね。」

「えー何?急にお世辞なんか言ってどうしたの?」


高原さんがふわっと微笑む。


「いや、高原さんって身長高いし…何て言うんだろう、オーラがある。普通にすれ違ったら気付けないけど、なんとなく振り返りたくなるような。惹きつけられる感じ。」

「身長なら泉くんのほうが高いじゃん。なんか恥ずかしいな。」


彼女は口元を緩めたまま目を伏せた。その瞳の陰りを、風でなびいた黒髪が隠していた。


「…私は泉くんのこと、綺麗だと思うよ。」


「え?」


「まず、顔が良い。いくら見てても飽きない。泉くん、絶対モテてるって。泉くんの

こと好きな女子はたくさんいると思うよ?」


「そんなことないって。高原さんのほうが綺麗でしょ、どう見ても。でもそんなこと初めて言われたかも……。」


「えへっ、あとね、声も好き。軽いのに低いのが良い。私は声が良くないから憧れるし、ずっと聞いてたい。髪質も良くて羨ましい。」


「…確かに恥ずかしいな…。」


「……待って、泉くんって何でもできるじゃん。勉強も、運動も、性格も良いし…。」



「そんなことないよ。俺より優れている人なんて、この世にたくさんいるんだから。」


彼女は僕をじっと見つめた。


「…ふふふっ、私、その答えだいぶ好き。私と考え方似てる。」

「そう?」



「私、クラスで一番背が高いのね。だから泉くんがなんか新鮮に感じる。」

「僕は175。高原さんは?」

「…自称170。」

「自称って」

「169.9cm!マジでさ、この『.9』が一年くらい続いてるんだよ。誤差誤差。」

「面白すぎる」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ