第48話 少女Eの想い⑦
今日は食欲が戻ってきて、いつも通りご飯を食べた。
でも母はおかしかった。
私はいつも通りの量を食べたはずなのに、一口も食べていないと決めつけられた。
それで自分が強いと思わせるためか私の手首を強くつかんできた。
今でも手首に違和感がある。
最近は理不尽な理由で急に罵られることがあって、言い返したりもする。そしたら「自分がなんでもできると思ってる」って。
最近ずっとそんなこと言っている。
でも、きっと私の行動は「反抗期」で終わってしまう。
罵られても、殴られても我慢するのが美徳だと私は思わない。
もう私は純粋だったころに戻れない。
自信を持って生きたかった。自分を愛したかった。
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中1の頃に出会った、近所の人とはよく挨拶をする。
様子、おかしくなかったかな?
普通の人に見えた?
頼るな。頼るな。
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英検銃2級2次試験にも合格した!
嬉しかった。安心した。
次も頑張ろう
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今日は、懇談があった。
とにかく、印象に残ったところをピックアップする。
まず、NRTテストの結果が返ってきた。
国語89点、数学91点、理科88点。
あまり覚えていないが、難しかったと思う。
それに、これが普通のテストの点数でも良いほうではないか、と感じた。
でも母は容赦なかった。
「地方大学と東大の差はほんとうに小さい。あなたは国公立に入れるわけがない。頭いい人はみんな90点以上、いや95点以上なんだから!!」
さっきまでは良い点数と褒めていたのに、こうやって。矛盾している。
うちは貧乏だし、私は大学、いや高校に入れるかも怪しいから働く、と言っても
「お前親に対して失礼だ」と言われて敬語を使っても、
殴られる。
でも一番の問題は、先生が言ったことだ。
先生は大切にしている3つのことがあるらしい。クラス替え初日に「覚えて」と言っていた。
なんとなく覚えていたし、そんなくだらないものを覚えるよりは英単語覚えるほうがいいと思って覚えなかった。
しかし今日、覚えてる?と言われ言わせられた。
私が言ったのとは少し違うらしく、答えを見ると、
3つの条件は私が思っていたのとは違うもう一方のほうだった。
生徒会なのに。答えたとして好感度は上がらない、でも答えられなかったら好感度は下がる。
副会長のあの子はきっと言えるだろう。
私があってもなくても変わらないリボンを忘れたときは公開処刑だったのに、あの子が給食着を忘れたら笑って終わり。
この対応の差は何?泣きたい。私の我慢は何の意味があった?
そして先生は、母にもつまり「呼びかけをしろ」ということを話した。
私にも「期待してるよ」「後ろから見てるから」って。
私の言うことはみんな聞いてくれるかも、って。
そんなわけない。みんな聞いてくれなかった。みんながちゃんとしないから私がこんなこと言われる。
ああ、またあの悪夢がよみがえる。怯えながら過ごす毎日。
でも、あんな思いは二度としたくない。
転校したい。でも無理だ。母も笑って「転校する?」って。
本気にしていない。
私はいつだって一生懸命なのに。
ねえ先生、副会長のあの子にも同じこと言った?もしかして私だけ?そんなことないよね?
学校に行きたくない。「前に立つのが得意か苦手か分からないけど頑張ってほしい」?
私の勉強に充てていた休憩時間が、無駄になっていく。
先生は、私の学力などどうでもいいのだろう。「自分のクラス」がとっても大切で、優先したいんだ。
私が自信がないから呼びかけしないと思ってる?違う、そんな生ぬるい理由じゃない。
私にも上手く説明できない、でも複雑で、苦しい。
これからたくさん頼むことがあるって?ああ、涙が出てきた。
これでは、まるで1年生の時の先生と同じではないか。
私はただの、奴隷ではないか。
変われると思ったのに。今回は大丈夫だと思ったのに。
生きたくない。行けない。ここで私が消えたらみんな幸せ。
なのになんで私は生きている?この理不尽な社会で。
「分かってる、私は全てが馬鹿であの子は天才、優秀、東大行けると思う。
そう、私には価値がない。分かってる。だから邪魔しないで」
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呼びかけを強制されているということがショックで、家では笑顔を振りまくことができなかった。
だからなのか、母は私が眠ろうとするとたくさん話しかけてきた。私を責める内容を。
私を責めたいのかと聞いたら「これはアドバイスだ」って。
アドバイス?自分の言葉が正しいと正当化したいだけじゃないか。私を責めて自分のプライドを守って、私を傷つけたいだけじゃないか。
ずっと話しかけられるから我慢ができなくて、これ以上話したらあっち行く、と言ったら「あっち行け!」と怒鳴られた。
冷房が寒くて布団を取りに戻ったら「早く寝ろ」って。
お前のせいで眠れないんだよ。
時計を見ると12時だった。
もうさすがに話さないかと戻ったら今度は「お前に心臓があるわけない」って?
笑ってふざけてるようだったけどひどい言葉だった。だからひねった。
そしたら痛い、どうしてこんなことするんだ、と言って全力で私の腕を殴ってきた。
ねえ、私はいつだって痛いよ。貴方が私に言った言葉も、以前殴られた場所も。
もう指が動かない。
すごくジンジンとしている。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
それは朝見ると赤くなってなかった、でも触ると痛い。心臓が潰されそうな気分だ。
部屋を出て、隣の部屋の椅子で布団をかけて眠ろうとした。寒かった。苦しかった。
私の人権は?私はなぜ我慢しなければならない?
なぜ、貴方に私の休みが邪魔される?
母はいつも寝室にいる。私はそこで苦しむ。
そのあと甘い声で「あなたは良い子供」とか言ってきたけど、一言も謝らなかった。
分かったよ、すぐ演技だって。
翌朝、機嫌が悪くて私をまた責めだす。
私はどうすればいい?




