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ひとりぐらし  作者: 雨宮 叶月
氷室伊織の場合

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第33話 鶴野さんの話②

「はい。」



鶴野さんはお茶を一口飲んでから、息をついて、話し始めた。






「……私、当時バレーボール部に所属していたのですが、部活は辛くて大変だし、先生は厳しいしでストレスが溜まっていたんです。」





「…………」




「生徒会としての活動が始まった数日後だったかな、彼女がある日、リボンを忘れたんです。私完璧じゃないから、忘れ物をすることだってあるよ、でも運が悪かった。そう言っていました。彼女の席は前から2番目くらいで、先生は見てすぐ気づくだろうということでした。」






「リボンですか…。まあ、あってもなくても特に授業に支障はなさそうですね。」






「私もそう思います。でも、その日の最初の授業は、厳しいと有名で、私の部活の顧問であった先生でした。N先生と呼ばせていただきます。……彼女は意を決して先生に忘れ物を報告しにいったんです。ちょうど前の男子生徒がネクタイを忘れて笑われていたのでまあ大丈夫だろうと思っていたんです。」






「………はい。」






「…そしたら、え、お前生徒会だろ?何で忘れるんだよ?って。高原さんはすみません、次は絶対忘れませんって言ってたんですが、それで終わりませんでした。散々説教したのちに、ところで、お前活躍しているか?って。私はN先生が何を言いたいのかすぐ分かりました。…呼びかけについてです。でも、それ以外はちゃんと活躍していましたし、彼女はクラスに不可欠な存在でした。」






「……確かに理不尽ですね」






「まあ、彼女は自分を褒めるタイプではなかったのでいいえと言っていましたが、多分分かっていたと思います。それに、先生の目を真っ直ぐ見ていて、ああ、自分の行動に自信があるんだな、と感心した覚えがあります。」






「……すごいな」







「N先生は『そうだよな、職員室ではお前の噂をあまり聞かない。それに比べてFはちゃんとしている。本当によく頑張っている。』と、同じクラスのもう一人の生徒会、Fを褒めだしたんです。本当に何回も言っていて、少し気の毒に思いました。すると、チャイムが鳴ったんです。良かったな、と思って彼女の顔をふと見たのですが、もう、冷めきった無表情で先生をしっかりと見ていて。ぞくりとしましたね。」







「チャイムか……」






「それで諦めてくれたんだと思っていました。でも、その日は久々の保健で教科書とかノートを忘れた人が多くて、半分くらい説教タイムみたいな。そして、その3分の1くらいは高原さんについて占められていました。」






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