第21話 final
今日も12時ぴったりに起きる。
いつあれが出てくるか分からないという警戒心を持ちながら、寝室を調べようとした。
(………ん?これ…お札?)
普段は何もない、分かりにくい場所にお札が何枚か貼られていた。
(魔除けかなんかってこと……?)
そこで私は、以前見た血まみれの包丁が気になった。
(今も、あるのかな……?殺された女の子の凶器、だったり?)
気になってしょうがない。
恐る恐る寝室のドアを開けて、キッチンへと向かう。
(確か、この棚だったはず……)
その棚を開ける。
(……っ)
やはり血まみれの包丁がそこにあった。
何度見ても刺激が強い。
……夜12時から4時の間は空間が変わる、ってこと?
(怖いなあ、後は浴室かぁ……)
そう思って顔を上げた。
……………そこには、白い服で、長い黒髪の、
……………異常に吊り上がった口角と大きな黒目が、私を見ていた。
「…っ!!!!!!!!!!!!!!」
恐怖で声が出ない。
目が合いながらガクガクと震える私に、ところどころ血がついているそれは、口角をまた上げる。
ビー、ビー、ビー、ビー、ビー
すると、綿原さんからもらった機械が大音量で響いた。
「……ぁ」
逃げなきゃ。じゃないと、私……
…………どこに?
玄関は鍵が閉まっている。窓の外はバリア。
(どうしようどうしようどうしようどうしよう)
音もなく現れるなんて聞いてない。知らない!
「ア…アァ」
寝室なら…
寝室なら!
私は素早く立ち上がり、震える足で寝室まで全速力で走る。
(あっ)
転んだ。
すぐ立ち上がる。
目の前には、大きな黒目と、血まみれの顔。
(構うな逃げろ…!)
必死にドアを開け、寝室に入る。
(セー、フ?)
青白い顔のまま、ドアのほうへ振り向く。
……ガラスから覗く化け物の黒目と目が合った。
ビー、ビー、ビー、ビー
機械はまだ大音量で響き続けている。
(ど、どうして?これ以上は逃げられない!)
化け物の、無表情になっていた顔の、口角がだんだん上がる。異常なほどに。
ガチャ
「………え?」
化け物が、入ってくる。
(どうして?寝室にはっ、入ってこないはずじゃ……!)
化け物は、いつの間にか血まみれの包丁を持っている。
そして、開いている片方の手で、私のほうへ手を伸ばしてきた。
(嫌だ………嫌だ)
しにたくない




