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第2話 新幹線
「やっと念願の一人暮らしかぁ…!」
私、宮本叶恵は、春から東京の大学に通う。
地方住みの私にとって、東京も、一人暮らしも憧れだった。
必死に勉強して受かった大学に行くために、住む部屋を探していた。そこで見つけたのが、レジデンス白夜の入居者募集の紙だった。
(家具とかキッチンとかたくさん備え付けてあって、それで家賃3万…!?
でも…入居条件、何かおかしくない…?怖いけど…大丈夫。気のせい…大丈夫。)
最初は驚いたし、下の条件もちょっと意味が分からなかったけど…。
事故で両親を失ってから、どんな条件があろうとそれは私にとって救いに見えた。
保証人がいないから、普通の家にはどこも断られた。奨学金もギリギリで、ここを逃すと大学に通えない。
外見はきれいなマンションだし、スーパーも徒歩圏内だし、、、と、入居を決めた。
電話で相談した管理人の泉さんも優しかった。「保証人なしでもいいよ」と言ってくれた。そんな唯一の物件が、ここだった。
「お父さん、お母さん、行ってきます」
亡くなった父と母のお墓に手を合わせた。
(よし、頑張ろう)
そう意気込み、私は新幹線のりばへと向かった。
あたたかい春の風を感じる。
まるで、父と母が応援してくれてるようだった。




