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ひとりぐらし  作者: 雨宮 叶月
伊波美月の場合

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第19話 衝撃の事実

「俺たち、レジデンス白夜というマンションについて調べていまして、その中でも、特に4階について知っていることなどございますでしょうか?マンションについてでも全然……」




大橋さんの目が鋭くなった。



「……さっき、よく遊びに来てくれた子がいたって話しただろう?その子、実はそのマンションの4階に住んでいたんだよ。」








「え!?」









「知り合ったのは、確かその子が12歳、中学1年生の頃だったと思う。ほら、あのマンションとうち近いから、通学路だったんだよ。その子…英美(えみ)ちゃんって言ってね、会ったときはいつも挨拶をしてくれたんだ。一人で寂しいからよく世間話をしたりしてね。今考えたら変なおじさんだったと思うよ。」





「そうなんですか…」




「英美ちゃんは、それから生徒会に入ったり、資格を取ったりしてて、頑張ってるなぁと思ってたんだ。1回、家族のことを聞いたことがあるんだけど、笑顔がなんだかぎこちなくて、上手く誤魔化してたから…これは聞かない方が良いと思ったよ。」





「………」




「それから、中学2年生になって、1年生の頃より明るくなったのを見て、安心したんだ。でも、夏休みが終わりに近づいてくると、切羽詰まった表情をすることが多くなって………よく遊びに来てくれるとはいえ、そこまで親しくなかったから見て見ぬふりをしたんだけど、聞いておけばよかった。私じゃ何の役にも立たないかもしれないけどね。」







「……………その、英美ちゃんは今何をなさっているんですか?」














「…………………亡くなったよ。15歳の時に。」








「えっ…?」









「…英美ちゃん、中学受験に落ちたらしくてね。今度こそは、って母親に附属高校を目指すように言われて。別にその高校を以前受験したわけでもないのに。…彼女は、運が悪かったんだ。…運が悪かったんだよ。小学生の頃も、県の模試でトップ20に入ったこともあった。高校受験の時だって、自信を持っていたように見えた。」







「………」






「でも、結果は不合格でね。附属の高校がダメだったとはいえ、偏差値の高い公立高校には合格していたよ。でも、母親はそれで満足しなかった。怒りの衝動に身を任せて、英美ちゃんを、……殺したんだ。」






「…大橋さんからたまに英美ちゃんのことを聞いてたけど、そんなひどいことがあったなんて………」



暁さんが言った。




「……私、レジデンス白夜の404号室に住んでいるんです。心当たりございませんか…?」






「っ、英美ちゃんも、その部屋に住んでたよ。」





「……ありがとうございます。また、話を伺いに来ます。」







私たちは大橋さんの家を出た。





「…まさか、あのマンションで殺人があったなんて…。俺、新聞記事探してみる。」




「ありがとう」




部屋に戻り、私は今日聞いたことを頭の中で整理した。




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