第13話 入居②
ピンp…
インターホンについてはもう気にしない。
ガチャ
「……どうぞ」
「……はい」
また、泉さんの家に入る。
「………」
「………」
座った後はお互い無言で、私から話を切り出すことにした。
すっと入居者募集の紙を差し出す。
「…分かりますか?番号の順番が変なのと、クローゼットについての記述、そして、下にある黒目の絵。」
私は紙に目を向けずに話す。
「………伊波さん、ごめん。僕には、いつもの入居者募集の紙にしか見えない。」
泉さんが言った。
「…え、そんなことっ」
泉さんは無言で紙の写真を撮る。
「…ほら。クローゼットについての記述は確かにあるけど、他の異変はない」
私は絶句した。そして、自分でも撮ってみる。
「本当だ……」
私たちはまた無言になる。
「……そうか、君が、救ってくれるかもしれない人なんだ……」
泉さんが小声で言うのを、私は聞き逃さなかった。
「救ってくれる、って、どういう意味ですか?」
「……」
泉さんははっとしたように黙る。
「泉さん、何か知っているのでしょう?少しでいいから教えてください!」
「………番号の順番、クローゼット、そして黒目の絵。これは、稀に見る人がいるんだ。僕が今までそれを見たと聞いたのは、…この部屋の謎を解き明かそうとした人たちだった。」
「……………その人たちは、どうなったんですか?」
「消えたよ」
泉さんはふっと笑う。
「でも、君は他の人と違う気がするんだ。…嫌なら、入居を取り消してもらっても良いよ。」
「、っ」
そんなこと言われたって……
「…やめません。私、絶対に解き明かしてみます」
「…そっか。頑張って。」
そうして私は部屋を出た。
そして、泉さんの言葉の意味を考えながら眠りについた。




