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婚約破棄されようが知ったことじゃありませんわ!

作者: ナルルン

「アンジュリカよ、お前との婚約は破棄する!何故なら私は男爵令嬢スーザンを愛してしまったからだ!」




 ……婚約者である王太子様シャルル様が浮気をしていたのは私も知っていましたけどね、まさかこう来るとは……



 こう思うのは色々理由がある。


 まずは貴族学校の卒業式によりにもよって宣言したからだ。


 いくら王太子様でも、それはまずいでしょう……何で分からないかな?




 次に陛下が厳しい方だということをシャルル様はお忘れなのだろうか?


 この陛下の厳しさというのは小説的な厳しさでは無い。



 陛下は決して貴族に迎合されるような方ではなく、いざとなればどんな家だろうが潰そうが何も思わない恐ろしい方だ。



 だから陛下が下手に出てざまぁ……なんてのは小説だけの世界であり、私達はそんなことは無いことは知っている。



 じゃあどう厳しいのか?



 徹底的に考えられている厳しさと言えば分かるでしょうか?



 難しい?



 どういうことか、おそらく陛下がお考えになることは私が全部見抜けるなんてできるわけもないのですが、ある程度予測できます……




 陛下からしたら、いざとなれば私の公爵家も含めて潰すことなど平気で決断をします。



 しかしです、それをしてしまうと、影響が大きすぎる、それはそうですね、だって貴族の家が潰れるとなったら他の貴族への影響まで大きく広まりますからね……



 だから今回のように王太子様が問題を起こしたのなら、おそらく王太子様であるシャルル様が悪いと切り捨てるくらい平気でやる厳しさをお持ちなのです。



 貴族家はその気になれば潰せるがそれは伝家の宝刀である。今回は抜かない、そういう厳しさがある方だと私から見て思います。




 だから、何でこんなことをしたのだろうとシャルル様に思うのです。


 まさか陛下が怖くない何て事は無いですよね?



 私達貴族は怖いですけど、親子だから大丈夫とでも?



 そんな甘い方では無いと思うんですけどね……




 次に私とシャルル様の間には愛など一切無く完全な政略に過ぎなかった……



 ぶっちゃけてしまうとこれは陛下の案ではなく、シャルル様の母である王妃様の案件なのである。



 どういうことか?



 シャルル様の頼りなさを懸念した王妃様が少しでも後ろ盾になりそうということで、



 私の公爵家を選んだのである、偶然同い年なのも後押しになったし、私の貴族学校の成績の良さも選ばれた理由でしょう。




 そういう複雑な情勢を無視して婚約破棄とか、大丈夫?って感じですし、このように愛が無い婚約なのだから、こんな大事にせずに事前に私や公爵家に交渉するなりすれば、もっと丸く円満解決になった可能性あると思うんですけどね……



 こうなったら王太子様が悪いってことになって、慰謝料が取られるのは王家ですよ?大丈夫ですか?



 まあ王家からしたら些細かもしれませんが、陛下はそういうのきっと厳しいと思いますよ?



 無駄なことに冷たい方ですから……



 ようはシャルル様本人が不甲斐なくても王妃様と王妃様の実家と、私達公爵家の三者による支持で王太子様になれたことを、どうして忘れたのだろうか……



 下手したら陛下からしたら、いい機会だから廃嫡にしようとか思われても全く驚かないですよ?



 陛下の本質は実力主義な所がありますからね……



 もっとも陛下の息子の王子様の中で、陛下レベルの方は多分いないようなので、陛下は悩まれているようなのですが……




 ああ……私ごときが王子様の評価をするのは不敬ですので、これは内心ってことでお許しくださいな……





 さらに良く小説では愛し合っても無いのに何故か怒る令嬢みたいなのありますよね。


 婚約破棄されたことで……




 私はそういうの一切無いんですよ。だって愛があるのならそれは悲しい悔しいとか分かりますけどね、一切無いんですよ? じゃあムカつく理由も無いじゃない。



 だって相手のせいにできるし、陛下は厳しくて恐ろしい方だけど、ここで理不尽をすることはかえって良くないって厳しく考える方ですから、きっとシャルル様が悪いってジャッジして下さるだろうしで、私が困る要素無いじゃないですか……




 ってことで私が不利にならないように丁寧にカーテシーを決めて、はいいっちょ言ったりましょうか……





「……分かりましたわ……私謹んでお受けします……どうかシャルル様もお幸せに……」




 うん最後は心にも無いことを言ったけど、みんなにも私が気の毒ってことにしてもらわないとね……



 私の評価がここで落ちるのは嫌ですから……




 シャルル様の幸せルートなんて無いと思いますけどね……



 だってこの婚約破棄騒動で王妃様を嘆かせて陛下を怒らせることになるでしょうから……




 しかしそれどころではない悲劇が発生した!(笑)




 何と男爵令嬢のスーザンさんが突然宣言をしたのだ!





「あのですね!ここは1つ私言わせて頂きます!シャルル様!私に王妃なんて務まりませんし、きっとシャルル様は失脚しちゃうでしょうから、私も結婚とか無理です!」





 ……シャルル様かわいそ……独りよがりだったんですね……



 それから私スーザンさんのシビアな感覚にちょっとだけ共感を覚えたので、良かったら友達になりたいなと思うのであった……




 なるほどなあ……スーザンさんはきっと愛人枠でそれでも家と自分の安泰でいいって思っていたのか……



 こう言う令嬢私は好きですよ?





 周りの貴族達はさっきまで緊迫していましたが(小説だとよく笑ったり王太子様をなじったりしますけど、そんな怖いことしませんよ現実では……ようはどうなることかと巻き込まれないように戦々恐々とするものです、それが貴族です、王家と公爵家に関わろうなんて馬鹿でしょうに)



 あまりなことに、笑いをこらえている者もいる模様……




 シャルル様の顔は真っ青ですしね……




 こうして恥ずかしい婚約破棄はシャルル様の大失敗となり、



 王妃様も流石に庇いきれずに、廃嫡が決定となり、シャルル様は引退の身となった。



 政治すら無能だから関わらせないんだってさ……



 王太子様は弟から選ばれるのだが、身分が低い母を持っているので、王妃様の養子という形で決着がついたそうな……




 私はと言うと気の毒な婚約破棄をされた扱いで、被害も無く、王家からは賠償金も出たので、お父様もそれでよしとして、平和に解決したのであった……




 これが現実であって、シャルル様だけどっかのざまぁ小説にでも毒されて勘違いをしたんですかね?




 最後にスーザンさんから私に近づいてきましたわ……


 どうやら私と仲良くなることで、今回の汚点?を帳消しにする作戦みたいです。



 本当にちゃっかりしてるから、こんな令嬢好きなので私も友達になることにしましたわ……


 名誉挽回したさに私に協力的だから、何を考えているか分からない取り巻きよりも、正直頼りになりますね……


 これがシビアな現実ですわ……

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