3.
いくら田舎者のわたしでも、トレセン学園のことぐらいは知っています。
走ることを宿命付けられたウマ娘、その中でもレースに出場し得る才能のある子たちだけを集めた、日本国内に数か所しか存在しない名門校。
しかもその中でも『東京中央校』は更に別格。地方校で既に実績あるウマ娘ですら、中央に挑んでは跳ね除けられるなんてこともザラだと聞く。
そんな名門中の名門から、わたしは選ばれたのだ!!
これから毎日潜ることになる雄大な校門を前に、わたしの心は熱く高鳴りました。
早速、わたしを見出してくださったトレーナーさんにお礼を兼ねたご挨拶に伺った。
トレーナーさんは、これから私のチームメイトになるであろう子たちに、懸命にレース理論を説いておられましたが、真面目に聞く子もいれば、眠そうにあくびをする子も……。
私は内心、これならわたしでも勝てるかも知れないと、故郷を背負ってきたわたしは負けられないんだと、決意を一層固めました。
「講義中失礼します!」
ドアをノックした後、許可を受け入室する
トレーナーさんはわたしを教卓の前に立たせると、こう言った。
「紹介しよう、今日からお前たちのチームメイトになる『タカイサミ』だ。幼い頃から天然のダートで足腰を鍛えていたらしい」
わたしは負けない。
送り出してくれた故郷のみんなのためにも、負けられない。
友と言うより、敵意を感じる同窓生たちの目線を一身に受けて尚、わたしの心は奮い立っていました。
『井の中の蛙』と言う言葉を思い知るのは、そんなに先のことでは無かったです。




