7.双子の見合い
「「お父様、お呼びですか?」」
「一応陛下と呼んで欲しいな。……仕事中だから」
(仕事中なのが恨めしい!愛しの娘達にはお父様♡と呼ばれたいのにぃ!!)
「うむ、非常に。ひっじょーうに不本意なんだが、二人に縁談が来ているんだ。とりあえず、姿絵と釣り書に目を通して欲しい」
【そんなに不本意なら釣り書とか暖炉で燃やせばいいじゃん】
【それができないような家柄だったんじゃないの?】
ルカに来ていた縁談 ラジエイト=ロック 公爵
ルリに来ていた縁談 フランチェック=ブルー 公爵
「「ふーん」」
【強いといいけど?】
【賢ければいいけど?】
「ロック公爵は拳で岩を砕く猛者だ。素早くも動く。そうだなぁ。東方の国に留学したことがあるらしくてな。イアイ?もできるらしいぞ?」
「イアイというのは何でしょう?」「東方の国のカタナを使うらしい。私も詳しいことはわからないがカタナを使った剣術に長けているらしい」
「へえ~。一戦交えたいわ……」
周りの人間は血を見るとその時思った。
「ブルー公爵は多言語が使える。それと、彼が得意なのは鉱物だ。宝石商を営んでいてなぁ。卸売業は世界のシェアを独占しているんじゃないか?」
面白そうじゃない。私への挑戦状かしら?
そんなわけで二人は見合いをすることにした。
ルカはロック公爵と東方の国伝統のイアイについて興味津々。
「あ~、広い庭がないとできないんだよね。抜刀術かな?」
「へえ~」
「東方の国のカタナは突くというよりも、‘斬る’事に重点が置かれているね。長い包丁みたいな?」
「それは実物を見てみたい」
「では、後日また持ってきますね」
後日初めて見たカタナにルカは魅了されてしまった。
「全然包丁じゃないじゃない!すごく美しい!芸術品ね」
「最近だとそういうコレクターも増えているらしい。あと、刀鍛冶さんの後継者不足…。使っているうちに刃こぼれしたり、折れたりするんだよ」
「なんてことなの!大変じゃない!」
「でも、刀鍛冶さん自体が少ないからさぁ。しかも刀鍛冶さんってけっこう職人気質の人多くて。簡単には刀を作ってくれないんだよね」
「わかった。新婚旅行は是非とも東方の国に行きましょう?私のカタナを打ってもらうんだから!」
何でだろう?ルリは挑戦的にブルー公爵に接する。
「貴方の鉱物卸売業が世界のトップシェアだと聞きました」
「あぁ、何だかそうなんだよねぇ」
こんなのんびり・ほんわかしてる人が世界を動かしてるの?
「宝石の審美眼も持ち合わせてるの?」
「一応ね。だって職業柄」
「多言語扱うという事も聞きました」
「それも職業柄ねぇ~。昔は通訳雇ってたんだけど、だんだん覚えてきちゃってさ。通訳必要なくなっちゃった」
「帳簿とか見てみたいわ」
「あ、それはNG。ダメだよ。赤の他人じゃないか?君に見せるわけにはいかないなぁ。君は頭脳明晰みたいだし、暗記するだろう?帳簿の流出は危機管理としてね?」
「私があなたと結婚すれば帳簿を見ることが出来るの?」
「まぁ、そういうことだね。そんなに帳簿が見たいの?」
「もちろん貴方にも興味はありますわ」




