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88・愛のパゥワーって本当になんなんだろうって話

「デイジー叔父さん? さすがの俺でもハテナーマークが凄いよ??」


目の前の状況に混乱しきりの俺。

それはマレッサやパルカも同様だった。


『いやもう、訳わかんないもん。神兵は埋まってるし、デイジーはなんか変なのとお茶してるし、どうなってるもんこれ??』


『セルバの大樹とこっちの状況が違い過ぎて、温度差に風邪ひきそうよ私様。神だから風邪とかひかないけど』


呆然としていると、黒い人物とお茶を片手に話をしていたデイジー叔父さんがこちらに気付いた。

そして、にこやかに微笑みながら手招きをした。


「緋色ちゃん、マレッサちゃん、パルカちゃん無事でなによりだわぁん。それにナルカちゃんも。今はお眠みたいねぇん。あとでお茶でもしながら女子会しなくちゃねぇん。そんな所に立ってないでこっちに座って座ってぇん」


「う、うん」


俺はとりあえず、デイジー叔父さんの隣に座る事にした。

マレッサとパルカも椅子に腰かけ、テーブルの上のお茶菓子をむさぼり食べ始めた。


『訳わからないもんけど、デイジーだしもう諦めるもん!! これ美味いもん、紅茶もおかわりお願いするもん」


『ちょっとアンタ、品がないわよ!! モグモグ、まったく、モグ、神としての威厳っていうのが、モグモグ、ないのかし、モグモグ、らね』


『焼き菓子を両羽で持ってがっついてるお前に言われたくはないもん』


もう色々諦めて受け入れてしまったマレッサとパルカ。

仕方がないので気になっている事を俺がデイジー叔父さんに尋ねてみた。


「えっと、デイジー叔父さん。まず、この人はどなた?」


「原初の呪い箱、その一番奥底に居た最初の人間、の一部よぉん」


「最初の人間の一部??」


「そう、最初の人間が原初の呪いになった後、七つに分けられて箱に封じられたんですってぇん。うち五つは冥域って所で浄化されてるらしいわぁん。残る二つは人知れず、神知れずとある遺跡に隠されてたみたいなのよぉん。この子はその隠されてた一つって訳よぉん」


デイジー叔父さんの説明に真っ黒な人が俺にペコリと頭を下げた。

反射的に俺も頭を下げ返す。


「はぁ、どうも」


「――」


真っ黒い人は形容しがたい音を発したが、何を喋っているのかまでは分からなかった。

マレッサとパルカは何か叫びながらお菓子を頬張っている。


『あーもう聞こえないもーん、デイジーが何言ったかわっち聞こえないもーん!! なんで、原初の呪いの根幹である最初の人間が普通にお茶してるとかもう訳わかんな過ぎてわっち知らないもーん!!』


『私様だってもう訳分かんないわよ!! 何がどうしたらさっきまで殺し合ってた様な状態からお茶してお話なんて事になるのよ!! さすがの私様でも許容しきれないわよ!!』


「とりあえず、この人が原初の呪いの元になった最初の人間って事は分かったよ。で、あっちは?」


そう言って俺は地面に突き刺さる数百もの羽の生えた人たちを指さした。

まだピクピクと動いているから無事ではあると思うが、数百人規模の人たちが地面に埋まっているのはなんともシュールだ。


「あぁ、この子たちぃん? んも―聞いてよ緋色ちゃん。この子たちったら酷いのよぉん。あたくしたちがお茶会をしてたら、急に空からやってきて、いきなりドーンって派手なピカピカ光る玉を投げてきたのよぉん。もう眩しいから、やめてぇんって言ったのに聞き入れてくれなかったから、ちょっとあたくし大人気ないけど、めっ、って怒っちゃったのよぉん」


めっ、って怒った結果がコレか、うんよく分からない。

たぶんこの人たちがマレッサの言っていた神域からの援軍、なんだろう。

何故かは分からないがこの神域からの援軍、マレッサは軍神の育てた神兵とか言ってたけど、その神兵が原初の呪いごとデイジー叔父さんになんらかの攻撃をして、反撃を食らって地面に埋められたと……。

デイジー叔父さんにとってはハーゲンもこの神兵もあまり変わりがないのかもしれない。


「まぁ、その子たちは置いておきましょ。今はこの子とのお話が大事よぉん。緋色ちゃんも紅茶、冷めないうちにどうぞぉん」


デイジー叔父さんはポットからカップに紅茶を注ぎ、俺の前に置いた。

紅茶を飲みながら、ちらりと真っ黒い人を見る。

紅茶を飲みなれていないのか、両手でカップを持ってチビチビと飲んでいた。


「さて、さっきの続きねぇん。あたくしはもう貴方と戦うつもりはないわぁん。それは貴方も同じでしょ? あたくしは戦うのは好きだけれど、別に相手を完全消滅させたいって訳じゃないのよぉん」


デイジー叔父さんの言葉に真っ黒い人はコクコクと何度も頷いていた。

焼き菓子を食べまくり、紅茶もガブガブと飲んだマレッサが下品なゲップをした後にデイジー叔父さんに話しかけた。


『あーもー、ちょっと色々聞きたいけどはしょるもん。デイジー、コイツが自身を受肉する為に利用したセルバの神核はどうなってるもん? まだ持ってるならどうにかするもん、セルバと繋がっている以上、油断できないもんからね』


「それは安心していいわよぉんマレッサちゃん。この子が取り込んだセルバちゃんの神核がはめ込まれてたアクセサリーは勿体なかったけど、全て破壊済みよぉん。今この子がこの形でここにいるのはあたくしの愛のパゥワーのおかげなのよぉん」


『あーそうもんか、ならいいもん。……愛のパゥワーってほんとなんなんもん?』


万能な愛のパゥワーに混乱するマレッサ。

安心しろマレッサ、俺も愛のパゥワーに不可能はないって事くらいしか分からないから。

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