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76・そりゃ神様のお言葉を頂いたらねって話

『アンタたち、私様ひいてはこの人間を手伝いなさい。他国の者とは言え、私様の祝福を受けた以上、拒否は許されないと知りなさい。いいわね』


有無を言わさぬパルカの言葉にカマッセ・パピーのリーダーが手が擦り切れるんじゃないかという速度で揉み手を繰り出していた。


「ハハー!! 死の神パルカ様の祝福のおかげであのよくわかんない黒い奴らの死の呪いの影響を受けずに戦う事が出来ました事、感謝感激雨霰でございます!! このハーゲン、貴女様の命しかと遂行させていただきますーー!!」


「出たー、ハーゲンの超高速揉み手だー!! 貴族やお偉いさんにやってた揉み手の速度とは比べ物にならないレベルだぜ!! さすが女神様へのへりくだりだ、己の限界を越えてやがる、今のハーゲンの揉み手の速度はS級冒険者にだって負けてないぜッ!!」


「ぬわー、あの黒い木の奴らが現れて戦おうとしてたら、セルバ様の神官たちからあれはセルバ様を浸食した原初の呪いが死んだセルバ様の体を利用して生み出した存在で、その影響で人間は触れたら即死とか聞いて剣士なのに戦えないけど、遠距離でもせめて戦おうと棒とか投げてたハーゲンの手が目で負えないレベルのスピードに!?」


「いやーん、突然空から舞い降りた三対の黒翼を羽を持つ超絶美女が現れた時は魔王が現れたー、もうおしまいだーとか叫んでたハーゲンさん、その正体が死の神であるパルカ様でこの一件に魔王国は関係ない事ととある縁で助けるって言って祝福をかけてくれた事で黒い木の奴らに触れても死なないようになったから黒い木の奴らに突撃して戦ってたハーゲンさんの手から何だか肉が焼けたような臭いと共に煙が出てるわー!!」


カマッセ・パピーの面々は相変わらずハーゲンの情報を口走る。

もはやわざとなのではなかろうか。

とは言え、ハーゲンたちもセルバの大樹の人たちを守ろうと頑張ってくれていたようだ。

パルカにペコペコと頭を下げまくるハーゲンの手を仲間で魔法使いであるマリユスが治療している間にチューニーの人たちがパルカに対して恭しく頭を下げていた。


「我らC級冒険者チーム、チューニー!! 死の神パルカの恩に報いる為に全力を尽くそう!! この暗黒のソードダンサー、モッブスの妙技、ご覧あれ!!」


「魔王国の守護神と言えど、縁により森の神セルバを救わんとするその姿に大いなる義心を感じました。祝福された癒しの僧侶ヨー・ワイネン、その義に報いる働きをいたします!」


「戦慄の魔法剣士ゼロ・インフィニティー、三対の黒翼を持つ美しき死の神パルカの為、我が戦慄の刃を振るおう」


「ラッテも頑張るかしらぁ」


チューニーの人たちもなんだかヤル気に満ちているようだ。


『神の祝福や加護を与えられた上に神から直接言葉をかけてもらえるなんて滅多にある事じゃあないもんからねぇ。普通なら一生に一度あるかどうかってレベルもん。セルバにしたって、あの姿で人前に出るのは滅多にないもんよ、パルカにセルバ、それにわっち、三柱の神がその姿を現してるもんから、発奮しない人間はまずいないもん』


「へぇ、やっぱりマレッサたちって凄いんだな。俺も日ごろから敬意とか示してた方がいいのかな」


『別にいいもんよ、そのままの方がわっちは楽でいいもんし』


「そっか」


マレッサと会話する俺を見て、ハーゲンがちょっと驚いていた。


「ヒイロ君じゃあないか!? まさか、死の神であらせられるパルカ様の言ってた人間がヒイロ君だったなんてな。というかこの神々しい三対の緑翼を持つお方は……もしやこの方も神!? デイジーちゃんの甥なだけあって、凄い人脈、いや神脈だなヒイロ君は!? そうだ、当のデイジーちゃんはいないのかい!? デイジーちゃんがいればあんな黒い木のやつらなんかあっと言う間だろう!?」


「ハーゲンさん、デイジー叔父さんは今、原初の呪いが作ったあっちの方に見えるあの巨人と戦ってて、こっちに原初の呪いが大量に流入するのを防いでますから、こっちに援軍に来るのはちょっと難しいかもしれないです」


「あっちって……この距離からでもかなり大きく見えるあの黒い巨人? なんか遠くにヤバイの居るなーとは思ってたけど、そっかーデイジーちゃんはアレの相手をしてるのかーそっかそっかー。……十体はいるように見えるけどアレ全部の相手してるの? 時々、腕とか頭とか消し飛んでるけど、それもデイジーちゃん?」


「はい、そうだと思います」


俺の返事にハーゲンは目をつぶって天を仰いだ。


「そっかーデイジーちゃんだもんなぁ。……ホントに人間?」


「人間ですよ、たぶん」


「……よし、一旦それは置いておこう!! 死の神であらせられるパルカ様の為、ヒイロ君を全力で手伝うぞ!! で、何をすればいいんだ!!」


デイジー叔父さんについてハーゲンは考える事をやめたらしい。

ともかく、今は一刻を争うような状況だ。

カマッセ・パピーとチューニーが戦線を抜けても、守護精霊二人とレフレクシーボさんとアウストゥリさんの参戦、それとセルバの加護でお釣りがくるらしい。

それなら気にせず原初の呪いに浸食された部分の処理に専念できる。

俺はカマッセ・パピーとチューニーの人たちにこれからする事を説明した。

少しは反対されるかもと思っていたのだが、誰も反対しなかった。


『ヒイロのこれからする事にはわっちとパルカ、二柱の神がついてるもんからね、反対する理由なんてないもんよ。命の危険は当然、それでもなお他者の為に行動しようとするヒイロに何か思う所あるのかもしれないもんけどね』


「なんにせよ、助かる。さぁ、行こう!!」


おおーッとみんなで声を上げ、数十メートル先に見える原初の呪いに浸食された部分を第一の目標に、各々が自分の武器を構える。

マレッサが魔法を使い、みんなの体を宙に浮かせ、飛ぶような速さで第一目標に突っ込む。

迫りくる黒い木の人形の群れをパルカが背中に生えた黒翼を横薙ぎに振るって瞬く間に群れを一掃してしまう。

ものの十数秒で第一目標に到達、まずパルカが原初の呪いに浸食された部分に触れて自身の死の神としての権能で中和、それでも中和しきれない呪いがパルカを浸食してくるが、それをマレッサが自身の神力をパルカに譲渡する事でブーストをかけて、パルカの力を増強し過剰な呪いを抑え込む。

ナルカは直接木の上に置くと木に死をもたらしてしまうので、俺の掌の上に。

パルカが指先をナルカに近づけるとナルカは小さな黒い手を伸ばし、パルカの指先を掴む。

すると、セルバの原初の呪いを吸ったマレッサからその呪いを吸収した時の様に黒いオーラがナルカへと流れ込み始めた。


『死を吸収するラインが繋がったわ。あとはここを吸い尽くすのを待つだけ。その間、私様たちは動けないわ。アンタたち、神を守るという栄えある役目、その身を尽くして全うなさい!! アンタたちの働きがセルバブラッソの命運を握っていると心得よ!!』


『仕方ないもんから、ついでにわっちの祝福もかけとくもん、何処であろうと繁茂するその植物の生命力を汝らに!! 草の神マレッサの祝福よあれ!! 今のお前らなら、黒い木の人形はもちろん、それを生み出す黒い部分に触れてもすぐに死ぬ事はないもん!! とは言え、長時間の接触は控えながら立ち回るもんよ!!』


パルカの言葉とマレッサの祝福にカマッセ・パピーとチューニーの人たちは雄叫びを上げて応えた。

俺やパルカ、マレッサが動けないと見て、黒い木の人形の群れが押し寄せてくる。

動けない俺たちを守る為にカマッセ・パピーとチューニーの人たちが黒い木の人形に立ち向かう。


「C級冒険者チーム、チューニー!! 行くぞッッ!!」


「B級冒険者チーム、カマッセ・パピー!! ぶちかますぞぉおおおおおお!!」

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