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285/297

285・外は外で大変な事になってるって話

巨骨戦車の登場で呆気に取られていたセヴェリーノとフランコが我に返り、フランコは六本の腕を広げて再び無数の魔法陣を展開した。

セヴェリーノもそれに対応するように改めて拳に雷を纏わせ、凄まじい速度でソロモンの魂核に迫る大質量の巨骨戦車の上で高笑いするスカル。

あと数秒と経たずに三者が激突する、その時だった、先程死を覚悟した時と同じように世界がスローモーションになった。


(な、何が起きたんだ!? また世界がスローになってる!?)


(わー、なんかゆっくりー)


頭の中にナルカの声が響く、テレパシーか何かだろうか、そんな事を考えているとマレッサやフィーニスの声も聞こえて来た。


『次元干渉による時間遅延かもん? 外に連絡を取った後にこれって事はパルカかデイジーが何かやったもんか?』


(いや、あの死の神の末端でしょ。人間にこんな事出来る訳……いや出来そうねデイジーなら、いや出来るわね絶対、何故か確信出来るわ)


どうやら俺だけスローに感じている訳ではないようだ、ならセヴェリーノやフランコ、スカルたちも同じように感じているのかもしれない。

もしこれをやったのがデイジー叔父さんなら、何かしらのアクションがありそうなんだけれど。


(はぁ~~いッ!! ゴージャスミラクルプロヴィデンスヘブンリーエンジェェエエエウ、デイジーちゃんよぉ~~んッ!! 今からやる事を説明する為にちょっとデイジー魔法『青春のメモリー・恋の予感はダイナマイト』を使って時間の流れを遅くした上で脳内に直接語りかけてるわぁ~ん、聞こえてるかしらぁん?)


唐突に脳内に響き渡るデイジー叔父さんの声、なるほどデイジー魔法『青春のメモリー・恋の予感はダイナマイト』を使って時間を遅くして、脳内に直接語りかけてるのか。

マレッサとナルカとフィーニスが何それとハモっていた、デイジー魔法だからな、このくらいは余裕だろう。


(ハハハハハハッ、さすがだなデイジー。相変わらずなようで何よりだ)


デイジー叔父さんの言葉を聞き、セヴェリーノは大笑いしていた。

フランコはさっきまでの言葉の通じない獣のような状態のまま困惑しており、スカルも同じくものすごく困惑している様子だった、デイジー叔父さんの言葉が上手く伝わってないのだろうか?


(セヴェリーノちゃんも元気そうで何よりだわぁん、あとでのんびりお茶でもしましょ。さて、本題に入るわよぉん。今から、ソロモンちゃんをぶち抜いてそこにいるみんなを外に脱出させるから、気を付けてねぇん。あ、外は外でちょっと大変な事になってるから、あまり空には行かないように気を付けてほしいわぁん。じゃ、いくわよぉん)


空には行かないようにってどういう事なんだろう、そんな事を考えた瞬間、スローモーションになっている世界が、目に映る光景全てが、波打った。

そして、音もなく、周囲の肉色の景色が消滅していき、気づけば頭上から太陽の光が差し込んできていた。

一瞬何が起きたのか理解出来ずに呆気に取られていると、衝撃と凄まじい爆発音が激烈な突風と共に襲ってきた、俺は抵抗する間もなくその突風に吹き飛ばされ天高く舞い上がった。


「ぎゃあああああああああああ!! な、なにが、何が起きた?? いや、たぶんデイジー叔父さんが何かやったんだろうけど!!」


「はぁ~い、ヒイロちゃん、お疲れ様ねぇん。マレッサちゃんとフィーニスちゃん、それに近くに居た女の子とオークカイザーちゃんと丸顔の魔族は安全な場所に移動させてるから無事よぉん、安心してねぇん」


いつの間にか居たデイジー叔父さんが空中で俺を受け止めてくれた、おかげで落下する心配はせずに済んだ。

少し目が回っているがじきに収まるだろう、腰のマジックバックもちゃんとある、ナルカも目を回しているのかプルプルと震えているが無事なようだ。


「あ、ありがとう、デイジー叔父さん!! 運よく中に居た人たちが一か所に集まってよかったよ。でも、他にも怪我人とかがいる、せめてその人たちも戦場から引き離さないと――ん?」


デイジー叔父さんに抱えられたまま、俺は下に、地上に目を向け、その光景に言葉を失った。

山のような巨大さのソロモンの消しゴムで消されたかのように中心部分が一直線に消えていたのだ、デイジー叔父さんが何らかの手段でそれを行ったのは確かだろう、だが驚いたのはそれだけではない。

その周囲が広範囲にわたって炎の海と化していた、かなり上空に居るというのに地上の熱気が伝わってきている。

そして、俺たち以外にも空中に誰かいるのがちらりと目に入った、瞬間、ぞわりと全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。


「あれは……アロガンシアとアリスか?」


俺たちから離れた位置で傲慢の大罪神アロガンシアとアリスが対峙しているのが見える、そのすぐそばに黒い大穴が広がり、更に大量の花びららしき物が舞っていて、この世の物とは思えない不思議な光景だった。

だが、二人から漂ってきている剣呑な空気はかなり離れているというのに、うっすらと死の視線を感じるほどだった。


「あの二人が空中で遊んでるから、近寄らない方がいいわぁん。今も凄い速さで戦ってる、あと少し近づいたら、ヒイロちゃんだけじゃなくても、たいていの子がその余波で大怪我しちゃうわねぇん。そこらへん分かってるみたいだから上で遊んでいるんだろうけれどねぇん。とりあえず、みんなの所に戻りましょ。外の状況も説明するわぁん」


そう言ってデイジー叔父さんは空中を蹴って、地上へと移動し始めた。

地上は地上でかなり大変な事になっているようだ、上空でも見たが炎とそれに伴う熱気が凄い、地上に近づくほど熱気は更に熱さを増していく。

ソロモンの中にいた他の人たちは無事なのだろうか。

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