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248・星神教の力

「いと高きステルラ様の御威光に平伏せず世界に仇成すその邪悪、許せん!! ワレこそ星神教『ステラズ会』所属、四番目の星装具『キャンサー』に選ばれし者にして異端審問機関『星罰隊』が一人、カルキッノス・ラバルなり!! いと高き星の神ステルラ様、ワレの力をとくとご照覧あれ!!」


白いローブを身に纏い、丸刈りで筋肉質な大男カルキッノスが巨大な双剣を十字の形に重ねて小型の竜に騎乗する魔族へ突進していく、カルキッノスの見え見えの突進をあざ笑いながら魔族は掌をカルキッノスに向けて数十もの魔力の光弾を一斉に放つ。

光弾の一つ一つがだが、眼前に迫る魔力の光弾にひるむ事も避ける事もなくカルキッノスは突き進む、次の瞬間魔力の光弾が着弾し爆発を起こし凄まじい爆炎があがる。

爆発によって地面が弾け飛んで大量の土煙が舞う、仕留めた、そう確信した魔族が別の獲物に目を向けた刹那、土煙の中から無傷のカルキッノスが飛び出し一気に距離を詰めて魔族の喉元に十字の形に重ねられた双剣をあてがう。


「グハハハハッ!! 我が星装具『キャンサー』の力は何等かのスキルを得る訳でも特異な攻撃をする事でもない!! その真骨頂は装着者の強度を桁違いに跳ね上げる事にある!! あの程度、毛ほども感じぬわッ!!」


「ッ!!」


カルキッノスが双剣の柄を握る手に力を込めて、双剣をハサミの如く扱い瞬く間に魔族の首をジョキンと切り落とす。

そして、並外れた強度を持つ体にまかせてカルキッノスは共に戦う『十一指』やゴッデス大蝦蟇斎らの起こす爆発や魔法の余波を無視して、魔族の群れの中に大笑いしながら突進していった。

その様子を見て若干呆れ気味のユリウスがため息を漏らす。


「カルキッノスさんはどうにも豪快すぎますね、まぁそれが持ち味と言えばそれまでですが。さぁ、カルキッノスさんに負けてはいられません。今こそ、星の輝きを示す時、いと高き星の神ステルラ様の威光を魔族どもに示す時!! 星装具『アスクレピオス』起動、星罰を執行する!」


ユリウスの言葉に呼応するかのように胸から下げている星の様な形のネックレスが眩い光を放ち、白い大蛇に姿を変える。

白い大蛇はその口から幾つもの節を持つ白い剣、白蛇剣エキドナを吐き出す、それを掴んだユリウスが横薙ぎにエキドナを振るい魔力により連結された節がばらけて伸びていき、刀身がまるで生き物のようにうねりながら魔族へと襲いかかる。

魔族は防ごうと防御魔法を展開するがエキドナの刃は変幻自在の動きで前面に展開された防御魔法の背後に回り込み、魔族の頭部を貫く。

ユリウスが白蛇剣を巧みに操りながら魔族を切り刻み、白い大蛇である『アスクレピオス』が口から魔力を集束させた光線を放ち離れた位置にいる魔族にダメージを与える。

変則的な刃を防ごうとすれば刃がその軌道をかえて別の角度から攻撃が、ならばと離れれば白い大蛇の光線が襲って来る、その状況に業を煮やした貴族級の魔族は部下たちに全面を防御魔法で守らせつつ、ユリウスへと突撃を開始。


「全方位の防御魔法は魔力の消費が激しい、とはいえ魔力量に優れる魔族のそれならばボクの攻撃であろうと一時は防ぎうる。しかし、全方位に防御魔法を張り巡らせた事で必然的にその密度は薄くなっている。たとえボクの攻撃を防げたとしてもこれはどうでしょうか?」


ユリウスが不敵な笑みを浮かべた瞬間、キュンッと風切り音が全方位に防御魔法を展開させていた魔族の耳に入る、その音が何なのかを理解する前に魔族は展開していた防御魔法ごと両断され、真っ二つになって崩れ落ちた。


「さすがは星装具『アクエリアス』、防御魔法ごと両断する超高圧の水流の凄まじさは見事と言う他ない。このボクであっても防ぐ事は難しいでしょう」


後方に目を向けたユリウスの眼に水が絶えず溢れている大きな水瓶を背負った長身の青年が映る。


「あぁ……『アクエリアス』凄いんだけど、使うといっつもびしょびしょになるのね。着替えがいくつあっても足りないのね……。あぁ、早く終わらせてステルラ様にお祈りしたいのね……」


「ガニメデウスさん、貴方もまたこのボクと同じ『星罰隊』の一員、もっと威厳をもって星罰を執行していただきたい」


「あ、あぁ分かってるのねユリウス君。でもこれがミー、ガニメデウス・ミラーなのね。『アクエリアス』対象を補足、魔力充填、射出開始」


力の入っていないガニメデウスの言葉に反応して『アクエリアス』が大量の水を噴き出し、その大量の水が何十、何百にも枝分かれして水の槍となって魔族を貫いていく。

ユリウス、カルキッノス、ガニメデウスの戦いを張り付いた笑顔で眺めていた『星罰隊』の隊長アイギパーンは軽く頭を振るって、巨大化したヤギの角に突き刺さした魔族を投げ捨てる。


「素晴らしい!! これこそまさに星戦と呼ぶにふさわしい戦舞台!! 若干の難は今は脇に置きましょう、さぁ、皆さんいと高き星の神ステルラ様に魔族どもの血を肉を命を捧げるのです!! 我らの背なにステルラ様の輝きがあるのです!! さぁ高らかに歌いなさい『カプリコーン』!!」


アイギパーンの胸から下がる星の様な形のネックレスが光り輝くと、白く美しい大きな角笛が姿を現した。

その角笛に恭しく口をつけてアイギパーンは思い切り、吹き鳴らす。

ブォオオオオオオオオッ!! と凄まじい轟音が鳴り響き、衝撃波が周囲に広がっていく。

衝撃波に巻き込まれた魔族たちはその衝撃が体内を駆け巡った事で、目から耳から鼻から血を噴き出して次々と倒れ込んでいった。

戦況はマレッサピエー連合軍が圧倒的と言える状況、残る魔族は百もいない。

その光景を目にして四大公爵たちは不敵な笑みを浮かべるのだった。

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