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245・激突

「フォカロル様!! 魔力感知にて敵性反応あり、数は十六!! 突然現れた事から空間移動系の魔法、もしくはスキル持ちがいるかと!!」


「十六だと!? ゲギャギャギャ、魔王国四大公爵に対し桁が二つ、三つ足らぬな!! 人間は愚か極まり無し!!」


異形の魔族からの報告を受けた背中に猛禽類の羽とクチバシを生やした大男フォカロルは敵のその余りの数の少なさにゲラゲラと大笑いを始める。


「ヒュポポポ、いかに愚鈍な人間と言えど、我らの強大な魔力を感知しておらぬはずはない。それでもなお送り込んできた所を見るに、恐らくはその十六人は人間側の最精鋭に違いないであろう」


「ヌチョチョチョ、ならば魔族公爵として華麗に出迎えてやらねばならないヌチョ」


赤い服を着こみ、血塗れの巨馬に騎乗する優男ベリトと昆虫の足を持つ巨大なワニに騎乗する王冠を被った異様に上半身が大きな男サレオスが感知した魔力から、その十六人が人間側の最精鋭であろうと当たりをつけ、魔力を感知した場所に向けて移動を始める。


「クププププ、残らず八つ裂きにし、その首を高く掲げ、人間どもに我ら四大公爵の恐ろしさを骨の髄まで叩きこむプ!! とはいえ、我らが直々に相手をする価値がその十六人にあるのか甚だ疑問ではあるプ」


緑の鱗が生えた肌の老人アガレスが顎に手を当てて小首をかしげた。

それに同調するようにフォカロルが大きく頷き、クチバシを大きく開けて大声をあげる。


「然りだ!! なればこそ奴らが我らに挑むに足る者か試さねばならん!! ゆけい我らが配下たちよ、思うさま暴れるが良い!!」


フォカロルの号令に四大公爵に付き従う異形の軍勢が空気を震わせる程の雄叫びをあげて、進軍速度を更に加速させていく。

一方、迫り来る四大公爵の軍勢を迎え撃つ形となるマレッサピエー連合の精鋭、『十一指』、『ドラゴンナイン』、『星罰隊』、勇者たちからなる十六人。

それぞれから四人ずつが選出されており、残りの者たちは魔王軍の奇襲と勇者同盟の動きを警戒しマレッサピエー連合本陣とマレッサピエー城に控えている。

迫り来る四大公爵直属の魔族たちの接近を感知し、星神教『星罰隊』の一人であるユリウス・ヨアヒム・ツィーエが高らかに声をあげる。


「ボクに宿る星の神ステルラ様より授けられた聖星眼が魔族たちの動きを感知、四つの群れの中で特に強力な存在が動きを止め、それ以外の魔族が進軍速度をあげてこちらに。つまりは我らの力を見定めようという事。そして、この距離でこれ程の魔力の圧、動きを止めた四人の魔族こそ高位の貴族級、魔王軍の幹部と見て間違いない!! あぁ、これを打倒する事で魔王へと一歩近づくのです!! 魔王を討伐してこそ人の世にステルラ様の星の光がもたらされるのです!! 星よ、星よ、星よ、全能なりしいと高き星の神よ、我らの戦いを遥かなる星の世界より見届けてください、必ずや勝利と栄光を星に捧げて見せましょう!!」


ユリウスの宣言に張り付けたような笑顔でパチパチと拍手を送る白いローブの男、ユリウスと同じく星神教『星罰隊』の一人であり隊長でもあるアイギパーン・ディ・エルマン。


「素晴らしい、それでこそ星装具『アスクレピオス』に選ばれた者、十三番目のユリウス!! さぁ、『十一指』と『ドラゴンナイン』、そして勇者の方々、今こそ星の神ステルラ様の名の元に一致団結し、巨悪を討つのです!! そうしてこそ、正しき星の光が降り注ぎ、世界は安寧となるのですから!! 来たる幾百の魔族、その力はAランクやSランクに匹敵、そしてそれらを束ねる四体の魔族は更に強力な貴族級!! なんとおぞましき事か、しかし星の神ステルラ様の威光を示す相手としては不足無し!! さぁ、皆さん、迫り来る星敵を殲滅し、滅殺し、殺し尽くすのです!! 星敵に生きる価値も意味も必要もないのです!! 星の神よ照覧あれ!! 信徒が世界に星の光を示しましょうぞ!! さぁ行くぞ、ユリウス、カルキッノス、ガニメデウス!!」


勇者である凍晴の勇者特権で最前線に瞬間移動した十秒後、好き放題に叫び散らした『星罰隊』の面々は他の者たちの話しなど一切聞かず、迫る四大公爵の軍勢に向かって一気に突進していった。

その姿に呆れ果てる者やケラケラと笑う者、怒りを露わにする者など反応は様々ではあったが、大半の者に気おくれなどなく、ほどなくして『星罰隊』に続く形でそれぞれが前進を開始した。


「あのクソッたれやろう共に遅れを取るなんざ、オレが許さねぇ!! 全部ぶち殺してやる!!」


「落ち着いてくださいスサさん。相手は魔族ですから間違えないでください」


怒髪天を衝くが如く怒り狂う『ドラゴンナイン』スサ、それをなだめる『ドラゴンナイン』ヨルゴスに続く他の『ドラゴンナイン』二名。

『十一指』の四人も同じくそれぞれの移動方法で魔族へと向かって行く。


「さて、私は一人でいいから、六花ちゃんを守ってあげてね。リタちゃん、アベノ先生」


「了解道中膝栗毛!!」


「ゴッデスさん、どうか無理なさらずに」


勇者ゴッデス大蝦蟇斎は目視できる距離まで迫った魔族に狙いを付けて自らが創造した魔剣を投擲、凄まじい速度で飛んでいった魔剣は異形の群れの中で大爆発を巻き起こすが、手傷を負った者はあれど戦意を消失する魔族はいなかった。


「うんうん、やっぱ魔王軍って言うくらいだからこのくらいなくちゃね!! さぁ、じゃんじゃんやっちゃおうか!!」


どこか楽し気に笑いながら、ゴッデス大蝦蟇斎は魔剣を片手に魔族の群れの中へと突っ込んで行った。

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