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212・ジャヌーラという神って話

『わちきは神なんだぞ、偉いんだぞ!! 崇めたてまちゅれ下等生物!!』


どう見ても小学生くらいにしか見えないジャヌーラがそう叫んだ、さすがに下等生物呼ばわりは初めてだな、フィーニスでもザコお兄さんくらいなのに。

ふと気づいたがジャヌーラは微妙にプルプル震えている、はて何故だろう、もしかして若干セリフを噛んだのを気にしているのだろうか?


「あー、初めましてジャヌーラ様、夜中にこんな大騒ぎしてすみません。何か御用でしょうか?」


『ッ!? か、下等生物風情がわちきに軽々しく話しかけるな、不敬だぞ不敬!! 身の程を知れ下等生物!!』


うーむ、散々な言われようだ、俺何かしたっけ?

しかし、下等生物だのなんだの言う割にジャヌーラは俺の足元から動こうとしない、そんなに嫌なら離れたらいいと思うのだが。


『随分と口の利き方がなってないわねジャヌーラ。その人間が私様の信徒だって分かって言ってるのかしら? 若い神だからって限度があるわよ?』


『ヒイロはわっちの信徒でもあるもんよジャヌーラ、人間だからってすぐそう言う風に下に見るのは悪い癖もん、信仰を集めるならなおさらもん』


『ぴぃッ!?』


若干イラついた感じのパルカと諫めるマレッサ、ジャヌーラはこの二人よりは若いらしいが何歳くらいなのだろう、と思ったが神様なのだし確実に俺よりは年上のはずだ、見た目で判断するのはよくない、そう思いつつ二人(主にパルカ)の剣幕に怯えるジャヌーラの頭を撫でた。

気安く触るな、とすぐに払いのけられたがそのくらいの元気はあるようでなによりだ。


「ん? そう言えばなんだけどジャヌーラ……様って人型なんだな。マレッサやパルカみたいに毛玉とか烏みたいな感じにはならないんだ」


『当たり前だ、ここはわちきの守護する国なんだぞ!! 元の姿に近い分神体を顕現させるなんて容易いんだぞ!!』


「そう言う物なのか、でもパルカはリベルタ―の時には烏の姿じゃなかったか?」


ジャヌーラの言う通りならあの時のパルカだって人型になっていたはずだ、そこが気になってパルカに尋ねてみた。


『あの時はいきなりの事だったから、大急ぎで分神体を用意したのよ。一応、観察くらいはしてたけど、いきなりだったでしょ、デイジーちゃんとセヴェリーノが戦いだしたの。下手したら地形が変わってただろうし、それにマレッサがでっかい声だすものだから慌てちゃったのよ』


「なるほど、そうだったのか。じゃあ時間があればちゃんと人型の分身体が準備出来ていたのか」


『そうなるわね、まぁその後セルバブラッソに移動したから人型を維持するのは無理だったでしょうけどね』


守護する国の中では神様も恩恵というかそういうバフみたいなのがかかるんだな、国民の信仰のおかげっていうのもあるんだろうけれど。


『あーもー、そんな事はどうでもいいんだぞ!! さっさとアレ止めろ下等生物!! エスピリトゥ山での騒動とか竜の胎での事とか金ぴか竜とドラゴンナインの大暴れとか、色々あり過ぎて困ってたのに、まーーーーーたこんな騒ぎ起こすなんて、わちきだけじゃ処理しきれないんだぞ!! あ、でも竜の影響が減ったのは助かったぞ下等生物、そこだけは感謝するぞ』


「金ぴか竜とドラゴンナインの大暴れって言うのに関しては把握してないんだけど、他は関りが有ったのは事実だからなんとかしたい気持ちはあるんですがねジャヌーラ様、俺はごく普通の人間なもので、如何ともしがたく」


『はー!? それだけ神の加護が……あれ? 神だけじゃない、精霊の加護もある? え、他にも竜の気配と大罪の気配もするぞ? なにこの下等生物、こわ』


「いや待って、心当たりが有るのと無いのがあるんですけど!? どういう事!? 俺にある加護ってパルカとセルバと精霊王の爺ちゃんたちのだけじゃないの!?」


神の加護はパルカとセルバ、マレッサもくれた気はするが短期間ですぐ消えると言っていたし今は残ってないはず、精霊は四大精霊王の爺ちゃんたちがくれた物だと思うのだが、竜と大罪は記憶にないぞ、本当にどういう事だ?


「竜はともかく、大罪の方は太陽の涙石に刻まれてる暴食と傲慢の権能の欠片が関係してると思うけど、竜の方は覚えがないんだが……あ」

 

今更だが思い出した、そう言えば黒竜ノワール、竜のお姫様から鱗を貰ったんだった。

俺はマジックバッグを漁り、黒い鱗を取り出した。


「困った事があったらこれを握って強く願えってお姫様言ってたな。あの二人をどうこう出来るかは分からないけど、このまま黙って見てるよりはマシか。よし、頼む竜のお姫様、ちょっと助けてくれッ!!」


ギュッと黒い鱗を握りしめ、俺は助けを願うとピキーンと頭の中で何か不思議な高音が鳴り響いてきた。


(おお、うぬか。今は少々取り込んでおるゆえ、我はそこには行けぬ)


「えぇ!? ちょ、困るんですけどお姫様、話しが違うじゃないですか!? それはそれとして取り込み中にごめんなさい」


必ず助けになる、とか言ってたのにお姫様に助けを断られてしまった、困ったどうしよう。


(そちらの様子は街の中から感知しておるが、中々に凄まじい戦いよな。我であっても手こずるであろう。ゆえに代わりの者を向かわせよう。案ずるな、実力は我が保障しよう、ではロミュオ、続きだ――)


代わりの者、一体誰なんだろうか、あと近くにロミュオも居たみたいだが一緒に何かしていたのかもしれない、邪魔をしてしまった事は後で改めて謝っておこう。


「人間さん、人間さん、お空きれいだよー」


不意にナルカがマジックバッグからスライム形態で顔を出して夜空を眺めてそう言った。

下水道の時にナイトクローの構成員と戦ってからマジックバッグの中で休んでいたのだろう、俺が鱗を取る際にバッグの中を漁ったから気になって顔を出したのかな。


「夜空ならいくらでも見てきただろナルカ? いつもの夜空にしか見えないんだ、が?」


ナルカがスライムの手で指差す方向に目を向けると、金色に輝く流れ星が見えた。

うん、普通の流れ星ならまだしも金色に光る流れ星は奇麗だし初めて見た気がする。


「金色の流れ星か、ナルカの言う通り奇麗だな。この世界じゃ流れ星は金色なんだな」


『いや、あれ流れ星じゃあないもん、魔力反応があるもんよ』


『この魔力の感じ、竜みたいね。それにもう一つかなり強い魔力を感じるわ』


『ぴぃッ、竜ッ!?』


流れ星ではなく竜らしい金色の光がどんどんこちらに近づいてくる、冷静に様子を見ているマレッサ、パルカと違いジャヌーラは近づいてくる竜の気配に怯えたのか小さい悲鳴を上げて俺の背後に隠れてしまった。

金色に輝く光は俺たちの目の前で止まり、その正体が明らかになった。


「まったくノワールめ、妾を顎で使いおって。まぁ良い、姪の頼み事じゃからな、聞いてやらねばな。して、何用だ小僧?」


「待てルクレール、貴様への断罪はまだ終わってはおらんのだ、勝手に野暮用などと言って逃げるな」


金の鱗を持つ竜ルクレールと竜の意匠が施された宝石のように輝く全身鎧と巨剣を持つ女性、ルクレールはともかくこっちの女の人は誰だ?

鎧の感じからしてロミュオやチューニーの人たちの関係者だろうか、よく見ればルクレールはあちこちから血を流しているし、女性の方は鎧が一部砕けている。

もしかして、この二人も戦っていたのか? ゴッデス大蝦蟇斎さんと晴流弥を止めてほしかったのだが、なんだかダメな気がしてきた。

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