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178・万能飼育の力って話

赤く変色したマレッサを見て、ゴッデス大蝦蟇斎さんにくっついている緑の毛玉のマレッサが驚きの声をあげる。

その声からかなりの衝撃を受けている事がうかがえた。

色違い個体ってなんかレアなイメージがあるな、なんでだろう。


『どういう事もん!? なんでわっちがそんなに変質してるもんか!? あり得ないもん!!』


『ギャハハ、もう少し頭を柔らかくしろもん、わっち。分神体単独での長時間の顕現は不可能、だからこそ、わっちたちはみんな勇者と紐付けられ、その信仰を得る事でその存在を維持してるもん。信仰とは願いであり神を思う人の意思もん、その力が強ければ強い程、神はその姿を変えるものもんよッ!!』


『勇者の意思でわっちが、神がその姿を変えさせられたもんか!? そんな、馬鹿な事――』


『あり得ないもん? 現実を見てみるもん、わっちの姿を!! まだ気づいていないようだから、教えてやるもんけど、既にわっちは属神化を果たしているもん、その証拠に本体とも他の分神体たちとも同期は不可能になっているもん、これすなわち、わっちが新たな神として生まれ変わった事に他ならないもんよ!!』


『ッ!? 現在勇者と共にあるわっち達の中で同期出来ない個体が八体もッ!? ぬかったもん、まさか召喚された勇者の意思がここまで、いや、まさか勇者特権ッ!? 与えられた勇者特権が勇者自体の意思を変質させ、それがわっち達にも影響を与えたもんかッ!? 世界の壁を越えた者に与えられる特権がここまで厄介だったとは想定外だったもん……』


『勇者特権は神すら越えた存在である世界そのものが与える特権もん!! それが勇者を変え、神を変えたと言うのなら、それはもはや世界の意思もん!! わっちたちは、勇者同盟は、世界に望まれた存在って事もん!!』


マレッサたちはなんだか難しい話をしている。

しかしなんだな、緊迫した雰囲気で話してるけど、毛玉同士が言い合いしててもなんか迫力はないな。


「もういいでしょう、レッドマレッサさん。貴女は新たな神としての道を進んでいるのです。古い神など捨て置いてよいかと」


『そうもんね、もはやお前とわっちは別の存在もん。勇者同盟に来ないのならば、もはやお前たちに用はないもん。戌彦、とっとと始末してしまうもん』


体が赤いからレッドマレッサなのか、見たままだな。

七勇者とか言ってたし、七色のマレッサが居るのだろうか、実にカラフルだな。


「失礼、レッドマレッサさんは気が早い性分でしてね。さて、先程は少々取り乱しましたが、もう一度だけ聞きます。勇者同盟に参加するつもりは? 断れば、まぁ分かるよね?」


ふむ、話しの流れ的に断れば敵対するって事だろうけれど、マレッサピエーの都市を侵略してるような組織に入るのはちょっと嫌だなぁ。

たぶん、なんらかの目的の為に都市を奪ったのだろうけれど、ろくな目的じゃない気がする。

なら、断るしかないが勇者同士が敵対するというのもいかがなものか。

うーむと唸る俺を見て、戌彦は小さくため息をついて、悪い笑みを浮かべた。


「沈黙は拒否とみなすよ。じゃあ、殲滅を始めようか。『万能飼育ザ・テイマー』の力を見せてあげるよ」


「その顔、むしろそうなる事を望んでない?」


「否定はしないよ。さぁ、出てこいぼくのペットたち!!」


戌彦が勢いよく手を前に出すと、戌彦のローブの中から銀色の毛の狼だったり、三つ頭のある犬だったり、九つの頭のある蛇だったり、炎の身体を持つ人型の何かだったり、他にも色んな魔物が姿を現した、そのどれもが数メートルを越える巨体だ。

ローブの中に入れていたのか? あのローブ、マジックバッグみたいな物なのかな。

戌彦が出した魔物たちを見て、ジャジャたちとマレッサがガタガタと震えているのに気付いた。


「な、なんてこった……、まさかそんな馬鹿な、こんなとんでもない魔物を使役してるっていうのか……」


『氷の魔狼フェンリルに冥域の番犬ケルベロス、不死殺しの毒を持つヒュドラ、それに炎の大精霊イフリート、他にもAからSランク相当の魔物がわんさかいるもん……。こいつら一体一体がとんでもない強さもん、一匹で都市を落とせる程もん……』


数十匹もの魔物の大群、しかもそのどれもがAからSランク相当、この魔物たちがオークカイザーさん並に強いと言う事なのか……。

その魔物たちを見て、竜姫ノワールが感嘆の声をあげた。


「ほぅ、壮観なるものよ。中には魔王国の貴族級に匹敵する魔物もいるとはな、しかもそれらを全て一人で御している。たかが人間と見くびっていたが、なかなかどうして、やるではないか」


「お褒めに預かり光栄の至り。では、終わらせようか。さぁ、行け、ぼくのペットたち!!」


戌彦の号令と同時に数多の魔物が一斉に襲いかかってきた。

ジャジャたちはあまりの恐怖から体が動かないようだったが、俺は特に心配はしていない、既にデイジー叔父さんとゴッデス大蝦蟇斎さんが動いていたからだ。

俺はそれよりも戌彦の後ろにいる同じようなローブの人物二人が気になった。

あの二人も勇者同盟とやらの一員なのだろうか。

それにもう一つ気になる事がある、なんであのお姫様はダンジョンの主になんかなったのだろう? 操られた訳でも無理強いされてる訳でもなさそうだし。

竜の胎をダンジョン化した理由、戌彦たちがここに居る理由、ジャジャを竜の胎の警備から外した貴族の後ろに居るらしい王族、ダンジョン産のドラゴンがジャヌーラカベッサの竜騎士団に増えてる事、うーん考える事が色々あり過ぎて考えがまとまらない……。

どうしたもんか。

そんな事を考えている間にデイジー叔父さんとゴッデス大蝦蟇斎さんは戌彦のペットたちを全て制圧していた。

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