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143・俺に出来る事なら全力で何度でもって話

四大精霊王が本来エレメンタル・イーターに施すはずだった切り札があると言う。

今はまだゴッゾヴィーリアが上であるとは言え、暴食の力で元素を取り込む事でほぼ無尽蔵のエネルギー補給ができる上に精霊の不滅性を持つフィーニスは不死身と言っても過言ではない。

いつかゴッゾヴィーリアの方が力を使い果たしてしまうだろう。


『手があるなら早くするもん、アイツは竜の因子も持ってるもんから、傷つけば傷つくほどにより強固な体に成長するもん!! 急がないと取り返しがつかなくなるもんよ!!』


「わかってるのん。奇しくも元々人の子たちにお願いした事のんけど、まずは奴の動きを止めるのん、その隙にわすらがフィーニスに精霊の力を霧散させる術式を組み込んだ封印魔法をかけるのん。そうすればフィーニスは精霊の力を失って、精霊王としてのフィーニスは消滅するはずのん」


「精霊王でなくなったとしても、竜の力と暴食の権能の残滓が残るもすが、精霊の不滅性を元にした無茶な再生は出来なくなるもす。いかに暴食の力で元素を喰らい、魔力を補給しても今以上の再生速度は出ないはずもす」


「本来ならフィーニスは世界を安定させる楔として次代の精霊王となるはずだった存在うぉ。それが世界を崩壊させかねない事態を引き起こしてるうぉ。その責はわいら精霊王が取らねばならないうぉ」


「わーたちは封印魔法に専念するふぅ。フィーニスの動きを数秒封じてくれればすぐに封印魔法を仕掛けるふぅ。既に封印魔法の構築は済んでるから、いつでも行けるふぅ」


今この場でフィーニスの動きを封じられるのはゴッゾヴィーリアかデイジー叔父さんくらいだ。

ゴッゾヴィーリアがこちらの意図を察してくれれば助かるのだが、横槍を入れられたらたぶん怒りそうな気がする。

デイジー叔父さんはさっきから動く気配がないが、ただボーっとしてる訳ではないようだ。

あんなに真剣な表情をしているデイジー叔父さんはこの世界に来てから見た覚えがない。

自分にしか対処が出来ない、とまで言ったのだから恐らく今以上の事が起きると考えた方がいい。


『あの竜神、気位が高そうだから下手に加勢すると面倒臭そうね。そう言えば、精霊王たちがここにいるんなら、リリシュたちも無事よね。まだ下に居るの?』


「肉塊を相手にしてたら、あの竜が飛び出してきて、いきなり洞窟の天井に向けてドラゴンブレスぶちかましたのん。そのせいで洞窟の崩落に巻き込まれたのんけど、わすらが空間を作って助けたのん。わすらは精霊王のんから、自然物は障壁にならないのん。疲れてたみたいだから少し休んだら、その内ここまで上がってくると思うのん」


『そう、良かった、生きてるならいいわ。でも、あの子たちを待ってる暇はないわね』


『時間をかければかけただけ、元素の乱れが世界に広がるもん。デイジーが動かない以上、わっちたちでやるしかないもんね。隙を見てあの竜神が怒る事も見越した上でフィーニスの横っ面引っぱたいて動きを拘束するもん』


マレッサやパルカ、精霊王たちがフィーニスを倒す算段を話し合っている。

今ある戦力でフィーニスをどうにかしなければならない、とは言え、俺は戦力にはなれない。

俺に出来る事は誰かを褒め称え崇め奉り、信仰を捧げる事で力を与える事くらいだ。

だったら考えるまでもない、今までそうしてきたように俺がする事は一つだ。

俺は深く大きく息を吸った。


『なんにせよ、ヒイロの信仰がひつよ――』


「マレッサは毛玉姿も人の姿もそれぞれいい所があって、最高に可愛い!! ふわふわもふもふの体、さらさらで艶々の毛、しなやかな手足、変な語尾、全部マレッサの魅力だ!! 命の恩人で野菜嫌いで肉が好きな偏食家で色々物知りで話しやすい、いい所しかないナイス毛玉!! パルカも烏の姿も人の姿も可愛いし威厳もあって素敵だ!! 時々変な感じになるのもギャップがあっていいぞ!! 時々寝言で人間、抱けッ!! とかちょっと不思議な事言ってる所もなんか魅力的だ!! 仲間思いな所もあるけど敵には苛烈な所もあって、優しい上に強いなんて最高だ!! ナルカは魅惑のぷにぷにスライムボディが見てて癒される!! スライム状態でも可愛いのに人の姿になったら更に可愛さが上限突破してチャーミング過ぎるぞ!! 一張羅の黒いワンピースも似合うが他の服を着ても絶対似合うから色んな服を着た姿を見てみたいぞ!! いっぱい食べる姿も健康的でいいぞ!! 精霊王の爺ちゃんたちは変な語尾でキャラ付け頑張ってるけど、ちょっとキャラが被ってて声だけだとちょっと見分けにくい時あるぞ!! でも精霊王ってすっごく偉い人だろうにとても気さくに話しかけれくて友好的な感じがとても嬉しい!! それぞれの司る属性で体を構成してるのがカッコイイ、イカス!! 四人とも仲良しで見ててとっても微笑ましい!! みんなそれぞれ最高に素敵で最強に頼りになる素晴らしい存在だ!! 心から尊敬できる俺の最愛の友達たちだッッ!!」


心からの思いを全力で一気に叫んだ、すると不思議な事に俺の体から光が溢れマレッサやパルカ、ナルカに精霊王たちに降り注いでいった。

今までこんな感じになった事はなかったのだが、ちゃんと信仰の効果が出るのかちょっと不安になる。

俺の全力の信仰にマレッサとパルカは少し慌てて、ナルカは喜んで、精霊王たちはポカンとした様子だった。


『ちょ、人間!?』


『あ、これやべぇもん……』


「わーい!! 人間さんの誉め言葉ー!!」


「のん?」


「もす?」


「うぉ?」


「ふぅ?」


次の瞬間全員があびゃあああとか、んほぉおおおおとか、あひぃいいいいみたいな珍妙な叫び声をあげた。

……たまに思うが、この俺の信仰の力って危ない成分とか含まれてないよな。


「何やっとるのだあやつら……」


ゴッゾヴィーリアがなんか冷ややかな視線を俺たちに向けていた。

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