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128・洞窟最奥の光景って話

四人の精霊王が揃い、なんかハイタッチとかしてはしゃいでる。

確か、四大精霊王が揃うと世界中の元素が活性化して精霊が活発化、そのせいで元素のバランスが大きく傾いて、自然環境がとんでもない感じになるんだったっけ。

いや、ヤバくない?


「せっかく四大精霊王が揃って嬉しそうにしてる所悪いんだけど、四人揃うとヤバイって聞いたんだが、そこの所どうなの?」


「ざいっつらいと。実際ヤバイのん」


「まぁ、影響は今すぐ出る訳じゃあないもす」


「とはいえ、一時間程度で洞窟内の元素の乱れとわてらが揃った事による元素の活性化が重なって混沌なりしカオスってやつうぉ」


「つまり、洞窟内の元素の乱れが予測不可能な状態になって更に加速するふぅ。こいつぁやべぇふぅ」


なんてこった、やっぱりガチ目にヤバイ事になるんじゃないか。

やはり人間とは違う精神構造だからなのだろう、精霊王たちのノリはどこか軽い。


「いやいやいやいや、ヤバすぎてヤバいじゃん!? ど、どどうすんのこれ!?」


慌てふためく俺の肩にマレッサが軽く手を置いた。


『落ち着くもんヒイロ。精霊王たちもそれは十も承知のはずもん。それでもなお、最後の一人だった風の精霊王シルフィードが合流したって事は、それ相応の理由があるはずもん』


『もしなかったら、ただの馬鹿よね』


若干辛辣なパルカ。

あまりよくないぞ、チクチク言葉は。

マレッサとパルカの言葉を受けて、風の精霊王であるシルフィードがコホンと咳払いをして話始めた。


「ぬしらの事は風の元素を通してある程度は見てたふぅ。この元素の乱れた洞窟内じゃあ、いやぁ、なかなか手間だったふぅ。そして、もちろん世界への影響を承知した上での合流ふぅ。エレメンタル・イーターがやべぇ事になったふぅ。さっきも言ったふぅが、エレメンタル・イーターの精霊石化が始まってるふぅ」


かなり真剣な表情の精霊王たちだが、俺にはなんともピンとこない。


「恥を承知で聞くが、それって何がヤバいんだ? 四大精霊王が揃うよりヤバイ事なのか?」


『桁違いの精霊の力を凝縮し結晶化したのが精霊石もん。そこらの精霊の精霊石なら大した事はないもんけど、精霊王やそれに匹敵する力を持つ存在の精霊石は元素への影響がとんでもないもん。もちろん、途方もない数の精霊を喰っているエレメンタル・イーターもまた、精霊王に匹敵する存在もん。そんなやつの体が精霊石になったなら、精霊王並みかそれ以上に元素に対して強い影響が出るはずもん』


「つまり、もう一人精霊王が増えるみたいな感じか?」


『ん~、細かく言えば違うもんけど、力の規模や影響力を考えれば、そんな把握で問題はないと思うもん』


四大精霊王が五大精霊王になる事で元素に強い影響が出るって事はわかった。

そうなると世界はどうなるのかって事なんだが、俺の残念な頭じゃ想像も出来ない。


『四つの重しで均衡が取れていた所にいきなり五つ目の重しが出来たとしたら、世界に対する影響は計り知れないわよ。新たな属性、新たな元素、新たな法則、何が起こるか想像もしたくないわね』


パルカが肩をすくめながらそう言った。

今の世界とは全く違う世界になると言う事だろうか。

パルカすら想像もしたくないと言うほどなのだ、世界規模での気候変動とか天変地異くらいじゃすまないのかもしれない。


「おしゃべりしてる暇はないって事ねぇん。先を急ぎましょ。気合入れていくわよ緋色ちゃん」


「わ、分かったよ、デイジー叔父さん!!」


デイジー叔父さんに背中を軽く叩かれ、その痛みで気合が入った。

今まで少し慎重に進んでいたが、多少の攻撃は無視して最奥へと走る。

最奥まであと少しらしい、俺の体力も厳しかったが休んでいる暇はない。

移動しながらシルフィードがエレメンタル・イーターの現状を教えてくれた。


「わーがエレメンタル・イーター周りの風の元素でなんとか様子を探ってたふぅ。奴は今、一つの大きな精霊石の塊になりつつあるふぅ。恐らく、完全に精霊石化が終わった時に奴は目覚めるはずふぅ。そうなったら、わーたち四大精霊王であったとしても奴を抑えられるかは分からないふぅ。ぬしらの作戦は既に風で把握してるふぅ、暴食の権能の引き剥がしが出来たなら、奴の精霊石化も止まり、体に留めておけなくなった精霊の力は吐き出されて世界に還元されるはずふぅ」


「うまくいくといいんだけどな」


『うまくいかなかったら、世界の法則が変わると思っていいわね。思っていたよりかなり責任重大ね。リリシュ、ルキフ、私様をガッカリさせるような無様は晒さないでちょうだいね』


「も、もちろん、言われるまでもありませんパルカ様!! このリリシュ、必ずやパルカ様のご期待に添えて見せます!!」


「爺も同じでございますパルカ様!! 微力ながら全力を尽くす所存でございますとも」


パルカの圧の籠った言葉にリリシュとルキフは若干声を上ずらせながら答えた。

元魔王なのだから、実力は相当なはずだ。

なによりパルカが信頼しているのだから、きっと大丈夫だろう。


「もう少しでエレメンタル・イーターの眠る最奥のん!! かなり開けた場所のんから、かなりの数の肉塊がいるはずのん!! 全方位への警戒を強めておくのん!!」


みんなが黙ったまま頷き、警戒しつつ最奥の広けた場所に辿り着いた。

サラマンデルが火の勢いを強め、周囲を照らそうとしたが、そうするまでもなく辺りは不思議な光で満ちていた。

俺はその不思議な光を放っている大きな物体のあまりの美しさとその形につい目を奪われてしまった。


「な、なんだ、これ……まるで宝石出来た、巨大な卵?」


俺の視線の先には十メートルはあろうかという宝石で出来たような巨大な卵型の物体があり、それは幻想的な光を放って洞窟内を怪しく照らしていた。

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