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115・そんな規模の被害がって話

「おいっす、サラマンデル」


「もいっす、グノーモス」


地の精霊王であるグノーモスがハイタッチをして、腕をグッグッとぶつけ合い、最後に両手の親指を立てて、互いにイェーイと言っていた。

ノリがいいな、精霊王たち。


「いやぁ、精霊王が二人も揃うとか何百年ぶりのん? 千年?」


「一万年ぶりじゃないもす? 長生きしてると時間の感覚無くなるもすからねー」


『いや、お前ら精霊王たちは五十年前にドラゴンナインがエレメンタル・イーターを討伐、封印する時に手伝ったはずもん。伝聞でしか知らないもんけど、いかに冒険者最強の集団ドラゴンナインと言えど、精霊の力を持った竜種を完全に封印するなんて芸当、不可能もんよ』


「そうだったのん。あの時はなかなか賑やかだったのん」


「最近の人間たちの中にもあんなに強い奴らが居るとはびっくらこいたもす」


長生きし過ぎて数十年程度はもう最近レベルなのか……。

それはそれとして、地の精霊王と火の精霊王の二人がここに集まったと言う事は、もしかして、他の精霊王も来るのでは?

四大精霊王とか言ってたし、ゲームとかの知識からして地、水、火、風の四代元素的な感じだろうか。


「なら、後は水と風の精霊王が来たりして」


「よく分かったのん。もうじき水の精霊王オンディーヌ、風の精霊王シルフィードがここに来るのん。四大精霊王が揃わないと、エレメンタル・イーターの封印に精霊の元素を抜く術式を付与できないのん」


マジか。

四大精霊王が一か所に揃うっていうのはどのくらい凄い事なのかは分からないが、たぶん凄い事なんだろう。

こういう時、今のメンバーがメンバーだけに、この世界の一般的な感覚というのがまったく分からない。

神様の分神体が二人、死の精霊とデイジー叔父さんと俺、デイジー叔父さんはともかく俺は一般人だが、この世界の人間じゃあない以上、この世界の感覚はどうにも分からない。


「なぁ、マレッサ。四大精霊王が揃うってどのくらい凄いんだ? 異世界から来た俺にはいまいち分からないんだが」


『そうもんねぇ、とりあえずヒイロの世界の中で王様みたいな地位に就く存在が四人、目の前に揃う感じでいいんじゃないかもん? まぁ、人間の王なんかより、ずっと上の存在もんけどね、精霊王は』


「大統領とかが四人、目の前にいる感じかな……。なんとなく理解は出来たが、実感が全くわかない……」


……うん、なんとなく凄いって事はよく分かった。


『て言うか、四大精霊王が一か所に集まったら世界に影響出るでしょ。アンタたちは世界の元素の重しなんだから。好き勝手に動いたら、各地の精霊が乱れた元素に当てられて変な動きするんじゃないの?』


パルカの言葉にグノーモスとサラマンデルは頷いた。


「ざっつらいと」


「いぐざくとりぃ」


「なんで英語!?」


「響きがいいのん」


「分かる、意味もなく使うもすよね」


まぁ、勇者召喚で異世界の人を召喚してる世界だし、英語圏の人もくる可能性はあるよな……。

しかし、こんなノリの精霊王が後二人増えるのか……。

ん? 唐突な英語でちょっとびっくりしたが、パルカは何か割と飛んでもない事を言ったのでは?

しかもそれを二人の精霊王はあっさり肯定したような。


「え、もしかして、四大精霊王がここに揃うのは確定で、急いでエレメンタル・イーターをどうにかしないと、世界規模で精霊が暴走するみたいな感じ? 具体的にどうなる、とか分かったりします?」


「ありていに言えば世界滅ぶのん」


「そこらへんの水が火の様に燃えたり? 今立っている大地が水の様になって沈んだり? 風が大地の様に硬くなって息が出来なくなったり? 火が風の様に透明で世界に溢れたり? 的な感じもす。つまり世界の法則が乱れるもす」


「世界規模の激ヤバ案件じゃないか!!」


「平気、平気もす。二、三日でエレメンタル・イーターを封印出来たら、すぐに精霊界に帰るもすから。ちょちょいとやってパーって感じでやればすぐもす」


なんだろう凄くノリが軽い、これが精霊と人間の精神性の違いなのだろうか……。

一抹の不安が脳裏をよぎる。

だが、このまま四大精霊王が揃わないとエレメンタル・イーターの封印と精霊の元素を抜く術式とやらを付与出来ないらしい。

そうする事で精霊竜をただの竜に戻せるのだろう。

ただ、時間をかけ過ぎれば世界の法則が乱れて、世界が滅ぶ。

なんだろう、とてつもなく面倒な事に巻き込まれた気がする。


「いやぁ、しっかし、こんなに強い人間が手伝ってくれて助かるもす。エレメンタル・イーターの動きを封じれる人間が見つからなかったら、さすがのわてらも、エレメンタル・イーターの前には出れないもす。アイツは精霊を喰らい続けた事で精霊と同じ気配になってるもす。あの洞窟内は既にアイツから漏れ出る精霊の気配に満ちてるもすから、わてらにはアイツを感知できないと思ってほしいもす」


「洞窟内に居た精霊の残滓がエレメンタル・イーターが腹を満たし、眠りにつく様を最期に見てたのん。今もまだ寝ている可能性が高い以上、急がないと厄介な事になるのん」


つまり、洞窟内はエレメンタル・イーターの腹の中も同じって事なのだろうか。

所在がはっきりしている内に叩く、と言うのは至極最もだ。

しかしなんだろう、妙に焦っている、急かしているような気がするのだが。

まぁ、下手したら世界の法則が乱れて世界が滅ぶかもしれないのだから、当然か。


「じゃあ、急がないと。デイジー叔父さん行ける?」


「もちろんよぉん。サクッと終わらせちゃいましょ」


ほんの少しの疑問を無視して、俺たちは立ち入り禁止の看板を無視し、柵を乗り越えてエスピリトゥ大洞窟の中へと足を踏み入れるのだった。


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