表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ノットイコール

作者: 夏野レイジ

 莉子と出会った頃、彼女の背丈は私の胸元までしかなかった。

 そのときは私が高校生で莉子が小学生。

 当然と言えば当然だ。


 でも、莉子はわたしよりもお淑やか。

 わたしよりもお金持ち。わたしよりも良い服を来て──


「ちょっとどいてよ、邪魔なんだけど」

「は?」


 ──わたしよりもクソ生意気な女の子だった。


 お高く止まりやがってこの小娘……と最初は思ってた。

 その時出来たばかりのパンケーキ屋の前で入ろうか悩んでいたわたしが悪いんだけど。

 けれどその物言いにカチンと来たのは事実だ。


 噛み付いてから妙にウマが会い、何故か何度も会うようになった。


 年齢もいる環境も立場も違うわたしたち。

 同じことで笑って、泣いて、喧嘩して。劣等感や羨望さえもぶつけ合って。二人でいる時は対等な友人だった。


 あれから時は流れて数年。

 わたしは社会人で、莉子は高校生。

 身長はもう私が見上げないといけない。


 昔は莉子が背伸びをしていたのに、なんで逆転しているの。


「相変わらず莉子の行くお店高くない!?」

「でもその分良い服あったでしょ」

「そうだけど……」


 ファッション店が詰まったビルの中を歩く。

 慣れない場所で何度も試着を繰り返したわたしはヘトヘトだ。

 相変わらずあっちの方がしっかりしていて立つ瀬がない。

 

「どこか甘いもの食べに行こうよ」

「どこに行く?」

「それはもう──」


 少し視線を下げた莉子と目が合う。


「「パンケーキ!」」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ああ~~~ 世の中は諸行無常なんですよねぇ……。だから身長だって入れ替わるし、生意気な小学生はどこぞ、ってなる。 でも、根本にあるものは変わらないんですよねぇ。友情は変わらないんですよねぇ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ