ノットイコール
莉子と出会った頃、彼女の背丈は私の胸元までしかなかった。
そのときは私が高校生で莉子が小学生。
当然と言えば当然だ。
でも、莉子はわたしよりもお淑やか。
わたしよりもお金持ち。わたしよりも良い服を来て──
「ちょっとどいてよ、邪魔なんだけど」
「は?」
──わたしよりもクソ生意気な女の子だった。
お高く止まりやがってこの小娘……と最初は思ってた。
その時出来たばかりのパンケーキ屋の前で入ろうか悩んでいたわたしが悪いんだけど。
けれどその物言いにカチンと来たのは事実だ。
噛み付いてから妙にウマが会い、何故か何度も会うようになった。
年齢もいる環境も立場も違うわたしたち。
同じことで笑って、泣いて、喧嘩して。劣等感や羨望さえもぶつけ合って。二人でいる時は対等な友人だった。
あれから時は流れて数年。
わたしは社会人で、莉子は高校生。
身長はもう私が見上げないといけない。
昔は莉子が背伸びをしていたのに、なんで逆転しているの。
「相変わらず莉子の行くお店高くない!?」
「でもその分良い服あったでしょ」
「そうだけど……」
ファッション店が詰まったビルの中を歩く。
慣れない場所で何度も試着を繰り返したわたしはヘトヘトだ。
相変わらずあっちの方がしっかりしていて立つ瀬がない。
「どこか甘いもの食べに行こうよ」
「どこに行く?」
「それはもう──」
少し視線を下げた莉子と目が合う。
「「パンケーキ!」」