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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

図書館で不思議な本に引っ張られ、気がついたら異世界だった。召喚スキルはSSS級なのでのんびり過ごします。

図書館で不思議な本に引っ張られ、気がついたら異世界だった。召喚スキルはSSS級なのでのんびり過ごします。②ある日の配達任務!(旧タイトル:異世界転生したけど、召喚しか使えない!最強めざせるのか?)

作者: たぬき

 僕は、出雲暢気図書館に置いてあった汚れた本『召喚術(達人編)』を手にとって、読み始めた瞬間、目の前が真っ暗になり、気が付いたらシャイニアンの森の小屋にいた。手にあったのは、汚れた本と傘だけだ。その後、ドライアドやレッドドラゴン騒ぎで、冒険者登録をして、Hランクの冒険者となった暢気のHランク任務、王都の領主様への配達任務の一日のお話。

「おはようございます、暢気さん、今日はどうしたの?」と冒険者ギルド「シャイン」の美人エルフ受付嬢のサニアさんだ。

「はい、おはようございます。今日は王都の領主様宛の荷物の配達任務が出ていたので、それを受けようと思っていたのです。Hランクでちょうどよかったからですね。」

ここ「スプリングタウン」は王都から一番近い町だったので、片道馬車で半日、往復1日で帰ってこれる距離だった。たとえ、歩いたとしても3日もあれば達成できる簡単な依頼だった。

「でも、暢気さん馬車って持ってるの?歩いても2日が期限だから何とか間に合うとはおもうけど・・・大丈夫?。」僕が依頼を受け付けに持っていくといつも心配してくれるのだった。まあ、初めて会ったときは、かなり雑にあしらわれたんだけどね・・・。

「はい、形見の馬車があるので、それを使ってのんびり行ってきます。」

「そう、なら分かったわ、受付しとくね。」

「王都なら、今、かしわめしがはやっているみたいなので、ぜひ食べてみてよ、おいしいってうわさなのよねぇ。」

「そうなんですね、ぜひ食べてみたいです。それでは失礼します。」

冒険者ギルド「シャイン」を出てから、まっすぐと町の入り口を抜けて、『召喚術(達人編)』を出して、Ⅲ召喚アイテムのページを開いた。

「Ⅲ召喚アイテム:マジックマップ」

「Ⅲ召喚アイテム:ホースカーゴ」

マジックマップはスマホの地図ソフトのように、行きたい場所を言うと自動で検索して、しかも矢印ナビ付だった。ホースカーゴはエアクッションが座席にあり、移動中にお尻が痛くならないという優れものだった。

「馬車で半日の距離だから、楽勝だな。こないだのヒュージデスウルフの報酬と換金でちょっとした金持ちになっちゃったから、王都への配達任務で楽しんで来ないとな。」そういえば、冒険者ギルド「シャイン」のサニアさんが言ってた「かしわめし」って、あのかしわめしかな、だとすると依頼任務以外の目的も出来たし、天気もいいので、ますます楽しみだな。


のんびり馬車の旅をしていると、王都まで続く道の途中に、山賊に襲われている冒険者パーティーがいた。

「多勢に無勢の為、冒険者の旗色が悪そうだな。しかも、側で倒れている冒険者もいるよ。嫌なの見ちゃったな。でも、見過ごすこともできないしなぁ。仕方がない、助けるか!」

Ⅰ召喚(攻撃):ウルフのページを開いた。

「ヒュージデスウルフの召喚も出来るみたいだけど、こないだみたいに大騒ぎになったらいけないので、ヒュージウルフにしておこう。」

「ヒュージウルフ」

「どうしかしましたかな?召喚者よ」

「僕は出雲暢気、暢気とよんでほしい、それで、あそこにいる、山賊たちを懲らしめてきてくれるかな?」

「そんなことでいいのか、簡単なことよ」とヒュージウルフは軽々と言い切った。

「30人位いるけど、大丈夫?まあ、出来るだけ殺さないでね、そして、追い払ったら、そのまま森に入って行って、そこから帰ってもらえる。」

「かまわないが、そんなことするとお前の手柄はなくなるがいいのか?。」

「あまり、目立ちたくないんだよね。お願いします。」

「暢気よ、引き受けた。」そういうと、ヒュージウルフは一度森の中に入り、その後、森から急に現れ、10分足らずで山賊たち30人ほどを追い払ってしまった。

「ヒュージウルフでも強すぎたかな・・・。」次はもっと弱い、モンスターの召喚にしようと心に誓った。



「今日は、私は旅の冒険者ですが、山賊に襲われていたみたいですが・・・、大丈夫ですか?」ヒュージウルフのことは気づかなふりをした。

「護衛がほぼやられてしまいましたが・・・。何度か無事でした。」と全身フルプレートの鎧を着ているが、執事のような雰囲気の男性が返事をしてくれた。

「そんなことより、こんな王都の側で、ヒュージウルフのようなCランク指定のモンスターが現れました。山賊なんかよりも一大事です。早急に討伐の手配が必要です。」

「しかし、不思議なんですが、我々を守ってくれたように思うんですよね・・・。そんなことがあるはずないんですが・・・。」

「お腹がすいてなかったんでしょうかね。」とすっとぼけてみた。

「はははっ、そうだといいのですが・・・。」

全身フルプレートの紳士と話をしていたら、壊れて動かせそうにない馬車の中から、むせび泣く声が聞こえてきた。

「うぇ~ん・・ひっく・・ひっく・・、ブシュー」泣きながらハンカチで鼻をかんでいたのは、豪華な皮鎧をまとっていた金髪の美少女だった。見るからにお金持ちそうだった。全身フルプレートの紳士に豪華な皮鎧の美少女とくれば、これはもう大富豪のお嬢様のお忍びの冒険に違いない。間違いなく、めんどくさい案件が控えているので、関わらない方がいいなと思った。

「大丈夫であったなら、よかったです。それでは、私は先を急ぎますので失礼します。」そう伝えて、その場を去ろうとした。

すると、豪華な皮鎧の美少女から、こちらを指さされて、

「あなたね、山賊に襲われて困っている美少女がいたら、冒険者なら、『お困りの様子、何か私に手伝えることはないですか?』って手を差し伸べるものじゃなくて?」

「うわ~、予想道理の展開きた~、しかも自分のこと美少女って言ってるよ。まあ、見た目は確かに美少女だけど・・・。」

「はいはい、では、ご希望にこたえまして、大丈夫ですか?お嬢様、お困りの様子ですが?お手伝いできることはないでしょうか?・・・しかし、なさそうなので、私も先を急いでおりますのでこれで失礼いたします。」

「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ちなさいよ。私、今、困ってるの、本当に困っているのよ。うぇ~ん。」と豪華な皮鎧の美少女は怒りながら泣き始めた。

「わかりました。本当に忙しいのですが、旅は道連れ世は情けといいます。お手伝いできることがあるかもしれません。お話だけでも聞いてみましょう。」

そう返事をすると、豪華な皮鎧の美少女の前に、全身フルプレートの紳士が出てきて話始めた。

「申し遅れましたが、私は執事のリーニアスと言います。そして、お嬢様はファビアです。以後お見知りおきを。それで、実は、お嬢様のお兄様が難病にかかっていて、その命が尽きかけようとしています。そして、その治療に必要な『どくだみの葉』を探しに行く途中で山賊に襲われてしまいました。『どくだみの葉』はシャアイニアンの森を抜けた先に、シマウシンデ毒沼の中央に生えるといわれています。」

「そこまで行く道筋は判っているのですか?」

「はい、道筋は判っています、しかし、毒沼の中央に行くための、解毒薬(極上)を山賊に盗まれてしまいまして・・・。」

「あ~~、そしたら、Hランク冒険者の僕ではお手伝いは無理ですね。すみませんが、失礼させて頂きます。」と頭をさげてこの場を去ろうとした。

「あなたね、冒険者、今日を逃したらお兄様は死んでしまうかもしれないのよ、それでもあなたは行ってしまうの、この、人でなし。うぇ~ん。」本当によくなくお嬢様だな。そう思って、何とか切り抜ける方法はないかと思い。

「僕は、解毒薬それも極上なんて、持ってないし、Hランクだから、そんな毒沼にいったらすぐに死んでしまいますよぉ。」よし、これで、もう大丈夫だろう。

「そんなこと言わずに、馬車に乗せてくれるだけでいいのです、うぇ~ん、お願いします~、本当にお願いします~、うぇ~ん。」

「わかりました。馬車に乗せるだけですよ。」これだけ頼まれたら仕方がないと思い、引き受けることにした。

「ありがとうね、本当にありがとうね、あなたが素敵に見えるわ、希望するなら、結婚してあげてもよくてよ。」さっきまで泣いていたとは思えない笑顔で話しかけてきた。

「ありがとうございます。気持ちはうれしいですが、結構です。」こんなに押しの強いお嬢様と結婚なんかしたら、将来が大変だよ。



簡単な配達任務のはずが、とんでもないことになってしまった。

「ちょっと、なに、これ、なんなの?この馬車?、おしりが全然痛くないんだけど・・・。こんな馬車は王都でも見たことないんだけど、あなた、どうやって手に入れたの?」馬車の座席でぴょんぴょん跳ねながら、嬉しそうに話しかけてきた。

「これ、親の形見の馬車なんです。冒険者の配達任務にはちょうどいい魔法馬車なんです。形見なので手放せないんですけど・・・ね。」譲ってくれと言われたら困るので親の形見にしておいた。

シャイニアンの森を無事通過して、もうすく、シマウシンデ毒沼に到着するだろうというところまできた。

「ねえ、なんで、モンスターが1匹もでないの?毒沼までの道には、それこそCランクモンスターがうようよいるって聞いていたのよ。それで、Bランク5人パーティーの「銀の星」に護衛依頼をしていたのに、どうなってるの本当に。」とファビアが不思議そうに話していた。それを聞いたリーニアスも不思議そうに答えた。

「山賊に襲われたときも、ヒュージウルフが出てきたし、この場所にモンスターが出ないのもおかしいですね、何か知りませんか?魔法馬車の冒険者くん?」

「今日はたまたまそういう日なんではないですかね!」と軽く返事をしていた。ファビアは気づいていなかったが、リーニアスは自分のことを少し怪しい目で見ていた。

実は、出発前にシャドウデスウルフを召喚してもらい、先行して、モンスターを倒してもらっていたのでした。シャドウデスウルフもやっぱりちょっと強すぎた。



晴天の中、モンスターも出ないのでゆっくりのんびり、毒沼の側まで行き、その景色に3人は驚いた。200m位の毒沼の中央の島に草が生えていたのだ、間違えなくあれが『どくだみの葉』に違いない。3人はそう確信したが、どうやって中央まで行くのかだ。

「せっかくここまでこれたのに~、うぇ~ん。」ファビアはどうしようもない現実を理解して、崩れるように泣き出した。

「仕方ありません、ファビア様、これでは、仮に解毒薬(極上)があっても、採集は無理でしたよ。あきらめるしかありません。」

「ここまで、モンスターにも合わず、『どくだみの葉』は目の前なのよ、こんな偶然は今後絶対にあるはずない、それくらい、珍しいことでしょ。しょうでしょリーニアス。いいわ、私この沼泳いで、『どくだみの葉』をとってくる。」そういうと、馬車から降りて、毒沼に進みだした。リーニアスが慌てて止めようとするが、全く聞く様子がなかった。

「ファビアさんちょっと待ってよ!」

「なによ!Hランクの冒険者に何ができるっていうのよ。私が命がけで、とってくるからお兄様に届けていただけるかしら。」そう言って、リーニアスを押しのけようとしていた。

「わかったよ、何とかしてあげるから。」これは何を言ってもあきらめないなと思い。目の前で、美少女に死なれるのも嫌なので何とかすることにした。

「何とかできるの?出来るならもっと早く言いなさいよ、本当に死ぬかと思ったじゃないの!うぇ~ん。」本当によく泣く、お嬢様だ

「これも、親の形見で、生涯に1度、最も大切な時に使いなさいと言われた術札が1枚あります。たしか、バジリスク召喚だったとおもいます。ですが、秘伝の為、召喚している姿を見せられないですがいいですか?」

「ちょっと待ってください。今、バジリスクっていいましたか?バジリスクはAランクモンスターですよ、そんなに簡単に召喚できるのですか?」と2人は目を丸くして驚いていた。

「だから、生涯に1度の親の形見なんですよ。」あまり納得していない様子だったけど、時間がもったいないので、無視をして、森の中に入って召喚を行った。

Ⅰ召喚(攻撃):スネークのページを開いた。

「バジリスク」

召喚すると、20m位の大蛇が出てきた。以前レッドドラゴンを見ているから、あまり驚くことはなかった。

「僕は出雲暢気、暢気とよんでほしい、それで、僕ら3人をシマウシンデ毒沼の中央の島まで運んで『どくだみの葉』をとったら、また元の場所まで送るだけでいい。あと、できれば、途中にモンスターが出てきたら、退治してほしいんだけど・・・。」

「安心せよ、暢気殿、我が通るに、あの沼のモンスター程度が手を出して来るなどありえんわい。はははっ。」さすがAクラスモンスター貫禄が違うな。

バジリスクの頭に乗って、2人の前に現れると、一瞬警戒していたが、僕がにっこりと登ってくるように伝えると、恐る恐る上ってきた。毒沼も、3人を頭にのせて、ゆっくりと進み、無事に『どくだみの葉』を獲得することが出来た。

帰りの道も、何もなく安全にファビアとリーニアスが襲われていた場所に戻ることが出来た。そこには、応援を呼びに行った冒険者?騎士?の仲間が到着していて、2人が無事に戻ってきているのを見て、涙を流して喜んでいた。

「ありがとう、本当にありがとう、この恩は一生忘れませんわ。婿にする話は本当よ、その気になったらいつでもいらっしゃてよくてよ。」生涯忘れることはできないだろうと思うくらいの笑顔の美少女がそこにいた。

「本当にありがおうございます。これはささやかですがお礼です。」とリーニアスが予想外の金額のお礼を、迎えに来た冒険者?騎士?の仲間から受け取り僕に渡してくれた。

「これは、私からのお礼よ。」とファビアが僕のほほにキスをしてきた。

「これで、もう、行っても大丈夫ですね。」恥ずかしかったので、ちょっとそっけなく言ってみた。

その後、配達任務を無事に終え、王都のかしわめしを食べた。日本にいたころの味そのままだったので、少し涙が出てきた。

「そうだ、サニアさんに『かしわめし』をお土産に買って帰ろう。」



冒険者ギルド「シャイン」の美人エルフ受付嬢のサニアさんに、配達任務完了の受付をしてもらい、マジックバックから『かしわめし』を渡すと、美人の顔がさらに美人になった。

「暢気さん、ありがおうございます。これ食べたかったんですよ。あっ、ところで、王都ではお姫様が大冒険をして、お兄様をお救いしたという話がありましたが、王都にいる間に何かありませんでしたか?」

頭に、ファビアとリーニアスのすがたが浮かんだが、いや、それはないなと思い。

「いいえ、特にそんな話はありませんでしたよ。」と笑顔で返事をしておいた。

出雲暢気さんの大冒険 これからも続くかもしれません。おしまい。

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