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子猫と歩く異世界散歩道  作者: RED tale
2/3

そこは一面の花畑


頭がぼーっとする。まるで寝起きのように。

あと5分、寝かせてほしいって、わがままになってみたい。

ーーー私、何してたんだっけ?


気がつくと辺り一面の花畑に囲まれて......って。

ーーーあ。死んだのかな?ここは天国?あの世の境目?まあ、どうでもいいか...私。決して幸せな人生ではなかったけれど、これでやっとうららから解放される...

解放されるんだ...

そして再び目を閉じる。



「......たは......だよ。」

「......な...だよ。」

「ぼくた...は............いっしょに.........。」



ふにっ。


もふっ。


にゃ〜〜。



ーーー......?にゃー?

再び目を開ける。


するとそこには、子猫達が私を取り囲むようにして座っていた。


なかには......

私に乗っかりごろごろしている猫、

私によじ登ろうとしている猫、

手のひらをぺろぺろと舐めている猫、

あくびをかいている猫、

蝶々を追いかけている猫、、、


猫?


ーーーそうか。子猫。

私は子猫と戯れていて、道路に飛びたした子猫がいて、それを追いかけて、


追いかけて、?


ーーートラックにひか...............




「ひかれてないよ?」




と、猫が喋った。

ーーー猫が喋った?


「あなたは自由だよ。」

「自由なんだよ。」

「ぼくたちはあなたといっしょにいたい。」


ーーー猫が喋ってるーーー


ーーー私よ。冷静になれ。猫はそもそも喋らない。そう、普通は喋らないのだ。

よく思い出してみる。

あの時、なにがおきたのかを......







晴れた日のとある朝、うららにしては珍しく私よりも先に大学に向かったみたい。

今日は一人になれました。

一人でいられるたった少しの時間が、私の救いであり唯一の幸せです。

今日はたったそれだけの事で、久し振りに笑えました。

いつもより足取りが軽く、機嫌がとても良い。


いつもより笑えていたからでしょうか?

小道を歩いているとたくさんの子猫達が寄ってきました。

とても癒される。

目がクリクリしていてとても可愛い。

そっと抱き上げるともふもふしていて気持ちいい。

何分かそうして子猫と戯れていると、真っ白い1匹の子猫が道路に飛び出そうとしてーーー


子猫を助けようとして私は.........


道路に飛び出した子猫を空中で抱きとめた。

抱きとめたはいいが、もう2メートルくらいの所に、目の前に猛スピードで迫る大型トラック。

まるでスローモーションの様に1コマ1コマ、自分の置かれている情景が360度見えてくる。


運転手は寝ている


スピードの落ちる気配は全くない


今から避けようとしても100%間に合わない




ーーーこの子だけでも......

そう胸の中で祈った。



そして、




「......んっ。ここは......」

気がつくと私は辺り一面の花に囲まれていた。








そう。私は、ひかれたと思った。


しかし、私は息をしていて、現にこうして生きている。

生きているよ?

と証明するかのように、私の心臓はばくばくと動いている。

叫んでいるかのように、全身に血液を巡らせている。



「だいじょうぶ?」

「むねの所、いたいの?」

「ねえ、なんで泣いてるの...??いたいから??」



そう答え、私を心配するかのようにすり寄ってきた子猫達。

私の顔を覗き込み、にゃー。にゃー。とないている。

猫が喋っている事への疑念もどこかへ飛んでいって、この状況をどこかで既に受け入れようとしている自分がいる。



「あなたたちも一緒にないてくれるの......?」

そう言い、私は一匹一匹の子猫達を順番に撫でた。

撫で終わり、私は、


「痛くないし、大丈夫だよ。なんだか、嬉しくなって、感極まって、泣いちゃったみたい」

不思議とちゃんと笑えた。


「人間は嬉しくなった時に泣くの...?」


そう首をかしげる子猫達を見て、よりいっそう笑えてきた。







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