人は見掛けによらぬものじゃな
だがここで昼投稿!
よろしくお願いします。
悪夢も慟哭もなく、ゆっくり意識が浮上していく。
感じるのは、鼻歌を歌いながら、俺の髪を梳かす小さな手。
そういえばガキの頃、友梨佳のやつは俺が昼寝してると、膝枕をして俺の眉毛を触ったり、髪を手櫛で梳かしたりしてたっけ。
鼻歌は大体が戦隊物のエンディング曲で、目が覚めたときに、なんでだよ、ってツッコムのがお約束だった。
目を開いたときに目一杯の笑顔で、おはよ!なんて言う友梨佳をまた見られるかもしれないんだと、ボケた頭で、そう、思った。
「ゆり、ちゃん…?」
だからまあ、この呟きは、聴き逃してくれ、ユーリカ。
「ほほぉぉぉぉぉう、閨を共にした女の名前を間違える程に遊んでおるのか妾のダーリンは。
人は見掛けによらぬものじゃなあ?」
「どおおおおおう!!おお、おおお!?」
ユーリカじゃないじゃん!カミラじゃん!
瞬間的に頭は醒め、昨夜の事が思い出される。
そう、あの後なんやかんやあったのである。
俺はゆっくりとベッドから降り、穏やかな表情のまま、両手両膝を付き、頭をガックリと項垂れる。
リアルORZである。
叫べるものなら叫びたい。
俺は、ロリコンじゃ、ねえ!!
「ふふ、冗談じゃ。ソナタがオリジンなのだろう?なれば、この位の睦言、軽くいなせるように成らねば苦労するぞ?」
クツクツと笑いながら、カミラはこちらに笑みを向ける。
話してみて、カミラが何というか、悪いやつじゃ無いってのは解る。
ならなんで百花城を狙ってきたんだよって話なんだが、そんな事があった等とは微塵も感じさせず、或いは、あれはスポーツかなんかだったのかとすら思えてしまう。
まあ、そう言うサッパリした奴だ。
俺もカミラに向かい、キッチリと姿勢を正す。
「取り乱して悪かったな。その通り、俺はオリジン。ユーリカと同じ世界から来たって言えば通じるのか?
まあ、オリジン計画、受けるつもりで来てるから、よろしく頼むよ。」
「なんじゃ、急に改まって。」
確かに、ちゃんとした自己紹介はこれが初めてだ、けどまあ、何しろ。
「自己紹介は礼儀の基本なんだろ?」
どうだ?と言うふうに片眉を上げながら問いかける。
カミラは少しキョトンとしたあと、笑みを深くして、うむ、と頷いた。
身支度を整え、カミラと共に部屋を出る。
ここが何処かはサッパリ解らないが、カミラ曰く客室棟なんだとか。
ある程度道は解るというカミラに案内されながら、とりあえず食堂に向かう。
そこまで行けば誰かしら知った顔も居るだろう、と。
それに賛同したのだが、その知った顔は向こうからやって来てくれたようだ。
マキナである。
え、待ってめっちゃ速い。
楚々として優雅に歩いてるのにめっちゃ速い。
そして俺の顔を見るやいなや、更にスピードは加速する。
「お迎えに上がりました。食堂にて朝食の御用意が出来ております。」
俺たちのまえで、ビタッ、と止まり、折り目正しい礼をしながら、マキナはそう言う。
「なんじゃ、いつもは迎えなぞ寄越さぬ癖に、今日は珍しい事もあるもんじゃな。」
「それは、その…ユーリカ様が朝っぱらから盛ってないか見てこい、と仰られましたので。僭越ながらわたくしが…。」
「ハッ!お主は嘘が下手じゃな。
コヤツが心配で来たならそう言えば良かろうに。」
「いえ、わたくしはそんな…ああ、もう!
オリジンさま、大丈夫でしたか?何か無茶なことをされませんでしたか?
魂を奪われてはいませんね?
何処かに噛み跡などは御座いませんね!?」
「ちょちょっ、落ち着けマキナ!大丈夫だから!
寧ろここで脱がそうとするお前の方がヤバイわ!」
軽く病んでんじゃねーか!
何これ、ハーレムって怖い!
「仲が良くて結構じゃ、妾は先に行っておるからの。
そうじゃ、そやつに今日の予定を伝えておらなんだ。教えておいてやれ、マキナよ。」
俺の服を着せ直しているマキナに向かい、カミラは言って去っていく。
「なんか、普通に良い奴だよな、アイツ。」
「そうですね、ユーリカ様ともとても仲が宜しくて。
…好きになっちゃいましたか?」
「ま、好きなタイプではあるな。
それより、ユーリカと仲が良いならなんで城を攻めたりするんだ?」
「ああ、そう言えば、本当に何も説明されずに連れて行かれたのでしたね…。」
その辺りも後でご説明します。と言うマキナに連れられ、俺は再び食堂に向かい始めた。
が、やっぱこれ、絶対道覚えらんねぇわ。
人物、建造物などなど
○オリジン…朝チュン。
○客室棟…百花城は5つの建物からなる連城である。
本城、兵舎、客室棟、倉庫、…あと一つはまた考えときます。