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死んだ幼馴染が異世界で魔王やってた  作者: ないんなんばー
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めちゃくちゃシンプル、それだけだ

また、間が空いてしまいました。

今回もよろしくお願いしまう。

ゆっくりと意識が戻ってくる。

自分が「わった」と言うことが何と無く分かった。

目を閉じていても辺りの様子が解るし、呼吸の一つ一つに世界の脈動を感じる。


「こいつは、すげえな。」


思わず口に出して、確かめる。世界は確かにここにあって、俺は確かにここに存在していて、しかし、俯瞰している。ここではない何処かから、何処かを。


「目が、覚めましたか?」


頭上から温かい声がかけられる。

俺が助けたかった人の声、柔らかく髪を撫でられて、目を開ける。

金の髪がキラキラと輝き、それに負けない程の笑顔が俺を覗き込んでいた。


「ああ、バッチリだ。」


頭の下に感じるのは、確かな温度、確かな生。


「わたくしの為に、無理をさせてしまい、申し訳ありませんでした。」


「気にすんな、お前には苦労ばっか掛けてたからな、たまには俺に助けさせてくれよ。で、どうだ?助かった感想は。」


「…はい。こんなにも、嬉しいものだったのですね、生きているという事は。」


「…そうだな。」


こうやって、生きている事が嬉しいやつがいる。

当然、死ぬ事を望む奴が居ることだって分かってる。でもそれは、もうどうにもならないからだろ、どうにか出来るレベルをとっくに越えちまってるからだろ。なんで、誰も頼らなかった、どうして、一人だと思い込んだ。それは勝手な自己陶酔だ。そうなった奴を、知ってる、それ以外無いと、本気で死のうと思った心の寒さを、知っている。


「俺なりに頑張った結果だしな、もう一度お前の笑う顔が見れて、俺も嬉しいよ。」


だから、俺は許さない。本気でやらずに死ぬ事を。



「わたくしも、再びオリジン様の顔が見られて、幸せです。ふふ、ご自分では見られないでしょうが、すっかりお姿も変わられて、本当の魔族に、なられたのですね。」


と、マキナが俺の()()()に触れながら俺の目を覗き込む。

わざわざ覗き込むと言う事は、目の色も変わっているのだろうし、少し確認してみたくなった。


「自分じゃ見えないからな、鏡あるか?」


「ご用意しますね、ロジスティクス、ミラー。」


マキナの両手からパチッと光が飛び出し、俺の顔の前で鏡になる。そこに映されて間抜けな顔をしている男は、金色の瞳をしていた。

白黒だった髪は元々よりも更に濃い黒髪に、健康的に日焼けしていた肌はやや褐色を増して、両側頭部からは羊の様に巻いた角が生えている。

そして何より、二割ぐらいイケメンになっていた。


「これ、俺だって分からないやつ居そうだな。」


「…多分、大丈夫だと思いますが。」


まあ、うん、あれだ。

何とかなるだろ、色々と、多分。





その後、俺が目覚めたのを知ったユーリカに、誰!?と言われるお約束を終わらせ、自分の身に起こった事を説明する。

ちゃんとした魔族になった事、能力がとてつもなく高まっている事、そして、神の言葉を受けた事。


初めは怪訝な顔をしていたサリーも、話していく内に顔を青ざめさせ、本当の事だと分かったようだった。


「準備期間は今日から一年、一年も先の話だ。俺達がやるべき事は、三つの滅びを倒す事、めちゃくちゃシンプル、それだけだ。」


サリー以外の二人は、真剣な顔で頷く。

激闘になるだろうし、死闘になるだろう。それでも、前だけをしっかりと見据えて、頷いてくれる二人には、感謝しかない。

願わくば、世界中がそうであって欲しい。


「まずはリーベンス、ベンにこの事を伝える。それから魔界に帰って、作戦会議だな。」




あらかじめこの先の展開を言っておくと、俺が目覚めた日、世界中の神殿と言う神殿に、世界初の信託があったらしい。



『この日より一年ののち、かつて世界を食らわんとした災いが再び訪れる。備えよ、汝らの道を歩む為に、奮え、汝の隣人を守る為に。』



この報せは、瞬く間に世界中の人々に巡った。

農民に、商人に、貴族に、孤児に、人族に、魔族に。


勇者に、魔王に。


それを俺達が知ったのはベンに会った時、既に戦う覚悟を持ったベンの、いや、ベントラン陛下の顔は、王で有り、父であり、夫である、まさに、男の顔だった。


街の様子も眺めたが、確かに沈んでいる者もいる。この世の終わりだと嘆く者もいる。

だが、それすらも飲み込む光が、ここにはあった。


勇者ガラルド、直上に掲げられた剣が、その言葉が、人々の希望になっていく。


もう、大丈夫みたいだな。

初めて出来た友人であり、ライバルであるガラルド。あいつの純粋で真っ直ぐな心と瞳に、あちらの世界にいる弟妹達を思い出し、俺は頬を緩めると、マキナを抱え、ユーリカと共に空を舞う。


どんな敵だろうと、ぶっ倒す。

ぶっ倒して、望むものを手に入れる。

望むものをくれてやる。

俺はいつだってそうだった、思い出せたのは、この世界のおかげだ。

だから、まあ、あれだよな。


主人公テンプレ的に、救ってやろうじゃないか、世界を。


皆さんもインフルエンザにはお気を付け下さい。

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