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死んだ幼馴染が異世界で魔王やってた  作者: ないんなんばー
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魔力を籠めながらひたすらに研ぐ

自分の勘違いで予約投稿の日付を間違えていました。

やっぱり毎日手動で投稿します。早速書く書く詐欺になって申し訳ないです。

少し短いです。

「たった半日で、これかい。正直アンタの事舐めてたよ。」


翌朝、起き出したサリーにつめてきた鉱石を見せると、苦笑いしながらも十二分に足りるとお墨付きをいただいた。


ここからはサリーの腕の見せ所だ、全ての鉱石を最適な温度で溶かし、反発しあわないように混ぜ合わせ、不純物を取り除いて纏めていく。

炉の温度を何度も変化させるために、ユーリカがつきっきりで魔法を使っている。

俺は昨日の疲れもあるだろうと休まされているのだが、正直言って手持ち無沙汰だ。

マキナの為に何かしてあげたいと思えば思うほど、焦れば焦るほど、こういった精密な作業はさせられないと言われている。


「流石は魔王様だ、何度もこの作業を見ちゃいるが、ここまで完璧なのは初めてだよ。」


「ううん、サリーが凄いんだよ。これだけのものは私の知ってるドワーフ達でも作れないと思う。」


世話になっているのにいつまでも自己紹介をしないのは良くないと、俺達は自分達が何者であるのかを告げている。

にも関わらず、全く態度に変化をつけないサリーに、ユーリカが打ち解けているのは、まあある意味当然なのかもしれない。


「そろそろ冷やしても良いだろうね、ユーリカ、冷却魔法で一気にやっとくれ、魔法を引き込むミスリルの力が魔力を貯め込む、結構な時間の短縮になるはずさ。」


「わかった、少し離れてて。」


まるで浴槽のような受け皿に、赤熱した鉱石が溜まっている。ユーリカは軽く呟くと、周囲の温度が下がったんじゃないかって程の魔法を使う。

ギシギシと軋むような音を立てながら鉱石は収縮していき、黒い板のような塊になった。

ようやく、俺の出番がやってきた。


「うん、いい感じだ。後は練磨していくよ、外側の黒い所を、魔力を籠めながらひたすらに研ぐ、そうしたらまた外側が黒くなるから、それを繰り返す。オリジン、アンタの言った通り、魔力さえあればこの作業は延々と続けられる、やれるかい?」


「当然、やるさ。」


剣の鞘を軽く叩いて答える。

それだけでユーリカには伝わったのか、少しだけ笑顔を見せてくれた。

剣に入った魔力は、三ヶ月と少しの分、何があるか分からなかったと言うのもあり、毎日全ての魔力を注ぎ込んでいた。

それで足りるとは到底思えないが、やればやるだけ短縮されるのだ、やらない理由が無い。


「自分で言うのもなんだけど、私の作業速度は早い、そういうスキルがある。気にせずに魔力を籠めな。」


「分かった。俺も魔力の量には自身がある、へばらないでくれよ?」


オリハルコンを作る事を考えれば、ドワーフの魔力量は少ない。俺の魔力に蓄積魔力を足せば、ドワーフの何十年かを一気に縮める事が出来る筈だ。

更には魔力回復薬を大量に用意している。まあ、体には全く優しくないが、背に腹は代えられないからな。


サリーがゆっくりと砥石を動かし始める。それに合わせて魔力を鉱石の塊に籠めていく。

黒い部分を通してだが、鉱石が僅かに発光している。

サリーの手が速まるにつれ、俺も魔力量を増やしていく。

ここからは、時間と魔力との戦いだ。






「今日はここまでだね。これ以上は魔力が馴染まない。」


「そう、か。思ったよりも進まないんだな。」


「いや、随分と進んださ。私一人ならここまでに二、三年は掛かってる。ユーリカもだが、アンタも相当並外れだね。」


「一時期、魔法の訓練ばっかりしてたからなあ。」


グラン爺の所でやった事がこんな所でも役立つとはな。




予想では、このペースでやれるなら、一年と掛からずに作れるかもしれないそうだ。

但し、俺の魔力もかなり消耗している。食事の代わりにひたすらに魔力回復薬を飲み、剣に溜め込んでいく。

ユーリカが心配そうに見てくるが、止めるような事はしない。止めても続けると分かっているんだろう。


マキナの容態も安定はしている。元々は数日や数年でどうにかなる事は無いだろうと言うが、それでもいつ心臓が止まるか分からないというのは、とてつもなく不安だ。


そうやって数日間、だましだまし体を動かして魔力を注ぎ込んでいた。

だが、神と言うのはよほど俺に試練を与えたいらしい。


マキナのコアの輝きが、徐々に薄れ始めたのだ。

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