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死んだ幼馴染が異世界で魔王やってた  作者: ないんなんばー
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ここじゃ一番の鍛冶師さ

遅れて申し訳ない。風邪ひいて寝込みましたが治りました。


今回もよろしくお願いします。

朝起きてマキナの寝顔を見る。

元々呼吸をしないからか、微動だにすることなく眠るマキナは、確かに生命を感じるのだが、それがいつか零れてしまいそうで怖い。


何より恐ろしいのが、原因が全く不明なことだ。

前兆はあった、思い返してやっと、あれが前兆だったんだなと感じられる程のものだったが。


少し前にマキナが珍しく寝坊をしたのだ。今思えばそれだけでもおかしいのだが、続きがある。

その日は一日フリーで、王都の巡ってないところを回る予定だった、そこで、マキナは道を間違えた。

そんな些細なことではあるが、エレジィという種族の特性上、それがあきらかな異常だと気付くべきだったと、悔やまれる。

マキナ自身も気づいていなかったようだから、なおさら俺が見ていてやるべきだった。


と、反省してグチグチいうのもここまでだ。


「それじゃあ行ってくる、マキナを頼むな。」


「ウム、任せヨ。」


人間は魔族との友好と相互理解を深めるため、魔族について研究している。

あまり大っぴらにはしていないが、そういうものもあるとはベンから聞いていた。

それに今回は頼らせてもらおうと思う。

謁見の申し込みから二日待って、今日ようやくベンに会うことができる。力を借りたい事とその内容はすでに伝えてあるので、あとは許可をもらうだけだ。




「事態は把握している、研究職のものに調べさせた。エレジィの資料は少ないが、そういう症状の記録はあったそうだ、二階の奥に資料室がある、そこで話を聞いていくがいい。」


「もう調べてくれてたのか、話が早くて助かるよ。」


「なに、南に恩を売っておくのも今後のためになるだろう。」


「そういうことにしとくよ、ありがとう、ベン。」


謁見の間ではなく、執務室に通された俺は、一通りの話を終えた後、早速とばかりに切り出され安堵する。

忙しいだろうに、指示だけでも出してくれていたことに感謝しか出ない。今度なにかで返さないとな。


聞いたとおりに城の二階を進む。迷いようのない一本道で、その奥には既に人が待機していた。

そのいかにも研究者然とした男は、こちらを認めると小走りに走り寄ってきた。


「オリジンさんですよね?エレジィの資料を調べたものです。時間がないかもしれませんので、単刀直入に言います。お連れの方は、命の火が消えかけている状態かもしれません。」


予想外の言葉に思わず聞き返しそうになったが、男に制され、資料室に案内される。


男は資料とともに丁寧だが素早く説明してくれた。

エレジィは一見、不死の様に見えるが、それは生命の在り方が違うからだという。

エレジィに心臓をはじめとした臓器類がないことくらいは知っていたが、体を生きさせているもの、それこそ心臓のようなものが存在するらしい。


「エレジィとは本来、ドワーフと共に生きていた種族なのです。ここにはその記載しかありませんでしたが、ドワーフの街に行けば何かわかるかもしれません。」


「ドワーフの里、近いのか?」


「馬車で三日程度の場所ですが、オリジンさんは飛べると聞いていますので、数時間とかからずに到着するかと。あちらに連絡をする時間はありませんでしたが、王から書状を預かっていますので、話は聞いてもらえるかと。」


「わかった、すぐに出させてもらう、助かった、ありがとう。」


「町一番の鍛冶を探してください、鍛冶屋なら機械の事もわかるはずです。」


「了解。」


書状と地図をもらい受け、部屋を出る。

時間制限があるのは正直予想外だ、俺は周りも気にせず城の窓から飛び立った。





「リヴィ!!」


宿に戻り、すぐに部屋に駆け込む。じわじわとした恐怖と焦りで感情的になっているのがわかる。

リヴィは俺をなだめるように両肩に手を置いて問う。


「焦るな、何か分かったノカ?」


「思っていたよりも相当ヤバい、すぐにマキナを連れて出なきゃならん。」


「ソレホド深刻か。分かった。ここは拙者に任せて行くといい。」


「助かる。行くのは近くのドワーフの町だ、何かあれば連絡をくれ。」


リヴィと手分けして荷物を纏める。簡単な荷造りだが、焦りを抑えるには十分だったようで、少しだけ気持ちを持ち直せた。

荷物を背負い、マキナを抱える。その時、荒々しく部屋の戸が開かれた。


「マキナ!!」


聞こえてきたのはよく知った声。はあはあと荒い息を吐いて、俺の腕の中にいるマキナを心配そうに見つめる。


「ユーリカ、どうしてここに。」


「リヴィが連絡をくれたの。竜を最速で飛ばしてきたんだ、それよりマキナは?」


「時間がないかもしれない、行きながら説明するから付いてきてくれ。」


ユーリカは頷くと、俺の後に続いて宿を出る。

俺たちはすぐに飛び立つ、不安そうな顔をするユーリカを宥めながら、聞いた話をそのまま伝える。

ユーリカの顔はさらに色を失うが、それでも僅かな希望を持って、前を向いていた。


「とにかく、鍛冶師を探したい。先に行って待っていてくれ。」


「分かった、マキナの事お願いね。」


提案に頷き、ユーリカは速度を上げた。俺が付くまでに都合よく見付かってくれるといいのだが。



神の事は嫌いだが、今だけは感謝している。

俺がドワーフの町の前に降りた時に、一人のドワーフの女性が近づいてきた。


「あんたは?」


「いいから見せな。」


女性はマキナの手を上げたり、胸に手を当てたりして、眉を顰めた。


「コアが相当消耗してるね、急いで工房に運ぶよ、付いてきな。」


聞きたいことをグッと抑え、女性の後に続いて駆け出す。

途中、女性は振り向きながらさっきの質問に答えた。


「あんた達は運がいい、丁度仕事が終わった所だったんだ。私の名はサリー、ここじゃ一番の鍛冶師さ。

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