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死んだ幼馴染が異世界で魔王やってた  作者: ないんなんばー
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噂に聞く姫様やったとは

前回今回と少し短め?

今回もよろしくお願いします

「いやあ、ホンマにスンマセンなあ。これ、お礼ですわ。」


「そんな、気にしないで下さい、目的地は目と鼻の先だし、たまたま見つけただけなんで。」


とか言いながらも、スモークされた鰹のような物を頂く。これは酒を合わせねばイカンと、俺は瓶に入ったビールを取り出した。




後一時間程で今日の宿になる町に到着すると言う所で、片輪が外れた獣人人力車を見付けた。


獣人!獣人ですよ皆さん!

とテンションの上がる俺。

眠いのか俺にぶら下がって飛んでいるエリーゼ。


エリーゼを落とさないようにゆっくりと滑空し、俺達は人力車…人力荷車の前に降り立った。


「おお!正に天からの助けですかいな!」


目を輝かせる人面猫耳姿のマッチョガイ。尻尾もユラユラと揺れている。


美少女じゃなかったのか!と憤慨してはいけない。つーか俺は初めて間近で見る獣人族に興味津々、おお、だの、うんうん、だの言いながら角度を変えてマッチョガイを眺めていた。

マッチョガイ、苦笑いである。


「なんや、南の人かいな。獣人が珍しんですやろ?よーに見せるから、ちょっと頼まれごとをしてくれんかなぁ。」


「あ、すみません。初めて近くで見たものでつい。

荷車の事ですよね?どうなってるのか解ります?」


宥めるような声色に我に帰り、少し慌てつつ返事を返す。

受けた説明によると、モンスターとやりあった時に車軸が傷んだ、町で直しに出そうかと思っていたのだが、予想以上のダメージだったようで、つい先程、嫌な音と共に片輪が外れてしまったらしい。恐らくは車軸が折れたのだろう。


ある程度の種類の魔法があれば簡単に直せそうだったが、魔法を得意とする相方が1つ前の村でダウン。

やむなくマッチョガイ一人での移動になっていたそうだ。

そこに俺達が通りかかった、と。


「これくらいなら、すぐに直せますよ。えーと、あったあった。」


困り顔のマッチョガイに笑顔で言いつつ、辺りから適当に石を集める。

集まった石ころに魔力を送りつつ、詠唱を開始した。


「我が意、石の心、混ざりて万物に変化せよ、フェイククリエイト。」


使うのは前日も大活躍の造成魔法である。

石に魔力を飽和させ、粘土のように弄くる魔法で、本来なら使いどころは多いように思えるのだが、いかんせんこの魔法、使用者登録でもあるのか、同じ石に二度は使えないのである。

それ故に不便扱いされている魔法ではあるが、俺は非常に重宝している。

主に筋トレ方面で。


鑑定スキルを併用し目視で計測、上手く噛み合うように車軸、と言ってもただの棒だが、を作り、二人で協力して荷車を再生する。

やや摩擦力が強くなったような気がするが、これも鍛錬だとマッチョガイはマッチョガイらしい理由で笑ってくれた。


「おおきに、ついでで悪いんやけど、あんたらもこの先の町に行くんなら、一緒に行ってもらえんかな?お礼はするさかい。」


との申し出を受けて、眠そうなエリーゼを荷車に乗せてくれるなら、と承諾。

そして冒頭の流れに、と言う話である。


「それにしても、まさかその子が噂に聞く姫様やったとはなあ。」


「噂にって、どんな?」


「どえらいバンパイアやとか、魔王様が溺愛しとるとか、まあ色々ですわ。

中でも、一番有名な話は、最近嫁に出す事も考えとるって噂ですよって。」


嫁って、え、俺まずいことしちゃったんじゃないの!?

うわ、やべえ。グラン爺に殺される未来しか見えない。


「何でも、魔界を救う為に物凄い遠くから来た男に嫁がせる言うて息巻いてるそうですわ。」


俺じゃねーか!!

いや、それなら初対面からの、あの好感度の妙な高さも納得できる、のか?

あ、てことはあれか、俺は外堀どころか内堀を自ら埋めたと言うことじゃないか…。


「そ、そうかー、まあ、器量の良い子だし、そう言う事もあるんダロウナー。ハッハッハ。」


思わず上擦る声にも気付かず、グースカ寝てるエリーゼを見て、まあいいか、なんて思ってしまうようになったのは、異世界に随分と毒されてしまったんだろうなぁ。


マッチョガイは何かに気付いたようだが、特に突っ込まず、俺達は穏やかに歩を進めていた。






「ほな、ここで、おおきに、助かりましたわ。」


「別にいいさ、あくまで応急処置だから、ちゃんとしたとこで見てもらってくれよ?」


「わかっとります、ああ、そうそう、なんかご入用でしたら、猫のマークの配達便、我等『黒猫同盟』に連絡下さい、日用品から婚礼用品まで、ひろーくやってますんで。」


町に着き、マッチョガイと別れる。

最後になんかアウトっぽい事といらん事を言ってたような気がするがきっと空耳。


ここまで全く起きる気配の無いエリーゼ。北から南へ飛んできて、直ぐに折返し。道中にはモンスターだって出るし、何よりまだ若い。


表面に出さないだけで、色々疲れも溜まっているんだろう。


グラン爺が何を思ってコイツを寄越したのか、伝言の中身すら知らないのでは分かりようも無いが、こうやって自分自身が外に出てみて思うのは、この子に旅をさせてやりたかったんじゃないかな、という事だ。


寝ながらも人の首筋に牙を立てて、ちゅーちゅー吸ってるエリーゼを抱えて、ため息を一つこぼしつつ、俺は今日の宿を探すのだった。


オリジン旅行記、日程は遅れているものの、非常に順調である。


店名などなど


○黒猫同盟…北の魔王領で活動する運搬業者。忙しい時はやっぱり猫の手、あなたにあったグッドサービス。

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