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死んだ幼馴染が異世界で魔王やってた  作者: ないんなんばー
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オリ君、向こうで魔族やってよ

今回もよろしくお願いします。

「え、お前、魔王なの?」


謎の穴から離れ、取り敢えずイチャコラした俺達は、近くのコンビニで買って来たコーヒーを飲みながら話をする事にした。

今までの俺の話、実は今日、死んでしまおうかと思っていたなんて、今となっては下らない事、異世界に転生していた友梨佳の話―と言っても信じられかったんだが、体の不調とか魔法で治されて信じざるを得なかった―そこで友梨佳が魔族として生きてきた事。

その他、俺んちに何も食い物が無い事や、生活環境が悪いと言ったお叱り、友梨佳がこの世界に来る為に、何百年も苦労したと言う愚痴。

気づけばあの頃の俺達に戻っていて、話のネタは尽きなかったのだが、その中で友梨佳が爆弾をぶち撒けた。


「それでね、私今、魔王やってるんだー。」


それに対する俺の返答が冒頭となった。


「あれか、やっぱり魔族でも王様ってのは大変なのか?」


この質問も、頭の出来やら回転やらという意味では大変(お馬鹿)である。

自分でも他に言う事あるだろう、と思ったし。

まあ、それに対する友梨佳の答えは肯定的だった訳だが。


「大変だよー?なんせ魔族って微妙に絶滅の危機だしね。人間だった頃より色々強くなってはいるけどさ、やっぱり戦えない人は弱いし、あっちにはモンスターとかいるしねえ。」


「そりゃまた随分とファンタジックかつバイオレンスな世界からおいでなすったな、お前。」


絶滅危惧種の王様がこんなとこ(自虐)に居て良いのかとも思うが、友梨佳の事だ、困ってる奴らがいるなら可能な限りなんとかしてやろうと考えているに違いない。

きっとこの世界に帰ってきたのも、その為の方法や手段の獲得に来たんだろう。

それが読めるくらいには俺は友梨佳の事を理解してるつもりだし、友梨佳もそれは解っているはず。


つまり、友梨佳が俺に望むのは、


「解った、俺に」


「ねえ、オリ君。向こうで魔族やってよ。それで一緒に魔族復興計画を立てよ?」


違ったわ全然解ってなかったわ俺。

まさかコイツがここまで理不尽かつ自分勝手な女に育っているとは。なるほど、これが、魔王か…。


だが、悪くない。


元々、今日、死ぬつもりだった命だ、幾らでもくれてやる。それに、


「ああ、やろう。俺は今度こそ、お前と一緒に行けるんだな。」


時間は掛かった、俺は枯れ果てた数年間だったし、友梨佳の苦労は数百年だ。

友梨佳は一瞬驚いた顔になり、俺の返事を理解して、申し訳無さそうな、それでいて嬉しさが隠し切れないのか、口元だけが緩んでいた。

そんな顔すんな。そう言う気持ちを込めて、友梨佳の頭をくしゃくしゃっと撫でる。


「…ありがと。オッホン、では、改めて。」


友梨佳は姿勢を正し、表情を引き締めると、俺の目を真っ直ぐに見詰めて言った。


「私の名は魔王ユーリカ、魔族復興の為、アナタの力を借りに来ました。アナタを混魔『オリジン』として迎える為に此処に来ました。」


友梨佳、いやユーリカは、やっぱりあの頃と変わっていなかった。

誰かの為に懸命に考え、誰かを元気付けて、それで結局、なんとかしてしまう。


「私は返し切れないくらい沢山の物をオリ君に貰って、でも、ワガママでゴメンなんだけど、また助けて欲しいの。私と一緒に、向こうの世界に来てくれる?オリ君も人間じゃなくなっちゃうけど、私と一緒に居てくれる?勝手に死んじゃって、オリ君に悲しい思いさせた、こんな私を、助けてくれる?」


俺の返事は解っているだろうに、最後は泣きそうになりながら、精一杯の笑顔を浮かべるユーリカに、俺も最高の笑顔を浮かべてやる。


「当たり前だ。俺は、その為にここにいる。今度こそ、お前を守るよ。」


「ありがとう、オリ君!」





こうして、「美しき紅い華」魔王ユーリカと、「制刻の混魔人」総魔オリジンとなる俺の、バカでトンチンカンでノープランで、それでいてどこまでも真剣な、異世界生活が始まるのだった。


人物などなど


○友梨佳(魔王ユーリカ)…元日本人なテンプレ的魔王様。庵の幼馴染で恋人だった、天真爛漫でコミュ強。

むっちゃ人気の高い魔王様である。


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