是非ともご期待下さい
本日は二話投稿、こちらは2ページ目になります。
どうぞよろしくお願いします。
長い階建を登った先は、青空の広がる城壁だった。
ここからでも既に綺麗な町並みが望めるのだが、目的地はまだ上。
折返し更に階建を上がる。
今度は螺旋階段で、やや狭いそこを登った先には、絶景が拡がっていた。
「ご覧になられますのが、百花城城下、王都フローラルージュです。」
それは一瞬、花畑かと思う光景だった。
カラフルな屋根の色は花弁、時折上がる魔法の様なものは、まるで花吹雪のようで、ああ、こりゃ、アイツの趣味にドンピシャだわ、と妙に納得させられた。
「活気が凄いな、なんかやってるのか?」
「いえいえ、ここはいつもこうですよ。国民たちは毎日楽しく暮らしているようです。
これもユーリカ様の善政の賜物ですな。」
「マジか、めっちゃ尊敬するわ。」
ユーリカさんカッケー。
「街の向こうに見えますのがフローラ海、人間界と繋がる道のうち一つですね。
そして、後ろをご覧下さい。
あの山脈の向こうが東の魔王国、降って西に伸びる街道が、西の魔王国に繋がっています。」
美しい町並み、青い海、緑豊かな山脈。
こんな綺麗な場所、他では見られないんじゃないだろうか。
少なくとも、俺は向こうで見た事はない。
「なんつーか、圧倒。なにげに始めて外を見たけどさ、こんな綺麗な世界だとは思ってもなかったわ。」
「アチラの事は色々と聞いております、何も無い辺鄙な場所だと思われるかと愚考しましたが、オリジン様は豊かな心をお持ちなのですな。」
「止してくれよ、小っ恥ずかしい。
誰だってそう思うさ、これは。」
我ながらクッサイ台詞を吐いたもんだ。
まあ、恥ずかしながら、何というか、この風景そのものにユーリカを感じる、なんて、口に出せないだろ?
その後、使用人達が主に食事を摂るという食堂に案内されたり、ユーリカの執務室や露天風呂。
使用人の待機部屋や娯楽室、貴賓室、まあ色々と案内されて、すっかり日も落ちて、夕食は何処にしましょうか、なんて話しているうちに、少しだけ慌てたように一人の兵士が走ってきた。
「マキナ様、クークー様、オリジン様、先程城下より連絡がありました。」
もしかして緊急事態か?と、クークーの方を見ると、既に兵士に先を促していた。
マキナと顔を合わせ、少し緊張しながら耳を向ける。
「人間界、リーベンス国より、勇者からの書状が送られて来ました。既に伝令を出し、陛下には伝わっているかと思いますが、書状そのものを届けるべく、こちらに。」
兵士はクークーに書状を渡す。
巻物っぽいそれを受け取り、クークーは懐へしまう。
「ご苦労様でした。後ほど精査して伝達します。他の兵の皆様にもその様にお伝えしなさい。」
兵士はまた一礼して去っていく。
すわ魔王討伐か、などと考えていたが、クークーとマキナの態度からそれはどうやら無さそうだと当たりをつけ、
「つまり、どういう事?」
と、問う。
「定例行事のようなものですな。
おお、これはもしや良い機会になるやもしれません。
是非ともご期待下さい、といっておきましょう。」
なんだそのはぐらかした感じは。
まあいい、魔王のいる異世界に来た以上、勇者に会ってみたいと言う気持ちもあったんだ。
せいぜい期待して待ってるさ。
「それでは、何処かの食堂で夕食に致しましょう。そこで本日はお開きと言う事で。」
クークーの言葉に、少しの不安と期待を覚えつつ、俺の休日は緩やかに終わるのだった。
露天風呂には行ったけどな。
建築物などなど
○展望室…別名休憩室。主に第二隊が使用。
美しい城下が一望出来る、百花城のオススメスポットの一つ。




