表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んだ幼馴染が異世界で魔王やってた  作者: ないんなんばー
11/79

西に攻めるよ

昨日残業したぶん今日は早い…平均化してくれないですかねえ!


今回もよろしくお願いします!


ついに始まる魔王会議、内容は俺の顔見せとの事だが、如何せん、一部から漂うアウェー感が凄い。


ニコニコしているユーリカ、うんうんと頷いているカミラ。

面白がる様にコチラを見ている、いや、目無いけどね、まあ豪華骸骨さん。


そして、


「………。」


「………。」


めっちゃ睨んでくる男前の兄ちゃん。


俺この人になんかした?

初対面だと思うんですけど。


「まずは自己紹介をしていこう、じゃあ、カミラからね。」


そんな空気にも負けず(読めず)、ユーリカは洋々と会議を進行させる。

指されたカミラは立ち上がり、鷹揚に腕を組む。


「うむ、東の魔王、『咲き誇る朱』、バンシーのカミラである。

ダーリンよ、よろしく頼むのじゃ。」


微笑まれたら微笑み返す日本人のサガ。

気にしない振りしてたけど、ダーリンは辞めてくれないかなぁ。


「次は、我輩かな?」


うわ声めっちゃ渋!

豪華骸骨さんが立ち上がり、俺に向けて一礼する。

俺も釣られて座ったままだが頭を下げた。


「北の魔王、『忘れ去るる骸』、グラン=セイン。

グラン爺と呼んでくれてもいいよ?


オリジン君、魔界の為にありがとう。心から礼を言わせてもらうよ。」


豪華骸骨さん改め、グラン爺は身振り手振りと、中々に主張の強いガイコツさんなようだ。

随分と話しやすそうなので、この人とも仲良くやってるのかな、と言う印象。


因みにオーラは感じられない。

カミラの言った通り、『命』に対する感知能力なので、アンデッドには作用しないんだろう。


「ほれ、西の、はようせぬか。」


最後の一人、赤髪の男。

俺を睨みつけるばかりで、カミラの声にも耳を貸さず、口を開こうともしない。

が、誰一人として注意する者も無く、礼儀を重んじるカミラでさえ肩を竦めるに留まる。


ハッキリ言って腹立つヤツ。

クラスに一人くらい居るよねこういうの。


「なあ、ユーリカよう。」


なんか言ってやろうかと思った矢先、相手が先に口を開いた。


「本当にこんなのが良いのかよ?

俺様の方がよっぽどいい男だろうが。

魔界復興なんてモンは他のに任せてよう、いい加減俺様のトコに嫁に来いよ、な?」





「あ?」


コイツ、今、何つった?

ユーリカに嫁に来い、だと?


「ブチのめすぞテメェ。」


ああ、そうだな。何を躊躇う必要があるのか。


確かに俺は嫉妬深く独占欲が強く、気に入った女性を勝手に俺の女認定しちゃうような(これは昨日から)クズだが、


「挨拶すら碌に出来ずに人の女口説くようなクソにこんなの扱いされる筋合いはねーよ。

大体なんだよその態度は、魔王ってかチンピラじゃねーか。

よく恥ずかしげもなくそこに座れてるもんだぜ、なあ?」


自分の想像以上に尖った声が出ているのか、マキナとカミラは驚いた表情で俺を見る。

ユーリカは相変わらずニコニコだし、グラン爺は声を出して笑っている。


「お前の方がいい男だって?

俺を下げて物言ってる時点で、『こんなの』に惚れてるユーリカの事も下げてんだよ。

そんな事も解らねーからン百年あっても見向きもされないんだよ、お前。」


言い切って睨み返す。

確かに俺は弱い、昨日のを見たから尚更そう思う。

弱いのが弱いなりに覚悟決めてここにいるんだ。馬鹿にするような言い方は腹が立つし、そもそもユーリカはやらん。


それに、


「舐めるなよ人間がぁぁぁっ!!」


男から吹き上がる炎、だが俺も引けない。

オーラを見るまでもない、なんせこいつも魔王だ。


「アブソーブ。」


立ち上がり、右手に闇を纏わせて、男の胸ぐらを掴む、正直めちゃくちゃ熱い。

熱湯が指にかかったなんてレベルじゃない。


「お前こそ舐めてんじゃねえぞ、俺はいずれ最強になる男オリジンだ、売られたケンカは買ってやる。」


なるべくハッタリが効くように、口の端を吊り上げて笑ってやる。


暫く睨み合っていると、会議食堂に一人分の拍手が鳴り響く。


「よく言ったよ!オリ君!」


今まで黙っていたユーリカが、凄く興奮したように手を叩きながら、笑顔で告げる。


「次の侵攻戦、南が西に攻めるよ。勿論、オリ君もメンバーに入れてね!」


侵攻戦?今回カミラが百花城に来た様なアレだろうか。


確認の為にカミラを見ると、一つ頷いた。

なるほど、つまりそれまでに強くなって、そこで堂々とやれってことか。


面白え!実に異世界ファンタジーだぜ!


「だとよ、ウチの魔王様は大層やる気だそうだが、お前はどうする、『名無し』の魔王殿?」


「…ふん。」


俺の手を払い除け、西の魔王は立ち上がる。

そのまま踵を返し、帰る、と一言残し、扉に向かう。


「俺様は『終焉に至る獄炎』アグニ。貴様が死ぬ迄の四か月、せいぜい足掻くんだな。」


出ていく前に吐き捨て、そのまま去っていくアグニ。

その姿が見えなくなったところで、俺は大きく息を吐いた。


「すまんユーリカ、やっちまったか?

でも我慢できないだろ、あんなの。」


「ううん、カッコ良かったよオリ君。惚れ直しちゃった。

全く、無茶するんだから。」


そう言いながら、俺の死ぬほど痛い火傷塗れな手を取り、優しく撫でる。

傷付いた手は簡単に癒えて、元の俺の手が戻ってきた。


「いやはや、オリジン君、やるねえ。あの馬鹿を押し込めちゃったよ。本当によく見つけて来たものだねユーリカちゃん。」


「ふふ、オリ君は昔からこういう人だもん。」


グラン爺の声かけに、思わず苦笑いしてしまう。アンタ止める気もなくめっちゃ爆笑してたやん。

俺だってその意味に気付くさ。


「試したの?悪い爺さんだよ全く。

で、俺はどうだい、『忘れ去るる骸』魔王グラン=セイン殿。」


「はは、手厳しいな。

勿論合格さ、感じるよ、魔界に新しい風が吹くのを。

…まあ我輩アンデッドなんだけどね!アハハハハ!」


笑いで誤魔化され、手のひらで踊ってた感が凄い。

まあ、あり得ない勝ち目を探っても仕方が無いので、これから色々と教わっていくことにしよう。


「しかし、四か月か。」


長い、が、戦いなんてしたこと無い俺には極々短い期間になるのだろう。

だから、頭を下げて男を上げる。


「ユーリカ、マキナ、ドラグ、それに、他の皆。

協力してくれるなら、カミラとグラン爺も。

良ければ俺を、魔王アグニに勝たせて下さい。

よろしくお願いします。」


皆から帰ってきたのは、圧倒的なオッケー!の返事だった。



人物などなど


○グラン爺…『忘れ去るる骸』北の魔王グラン=セイン。法衣を着た骸骨。いい声。


○アグニ…『終焉に至る獄炎』西の魔王アグニ。ユーリカを狙う不届き者。オリジン曰くチンピラ。

戦闘後のキャラ付に悩む今日この頃。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ