みもりのもり
頰にあたたかい光を感じて目を覚ました。見えたのは、いつもと同じ、天井の木目。起き上がると、窓から外の景色が見えた。昨日まで散々降り続いた雨がようやく止んで、雲間から、眩しい光が差している。
周りの木々は緑の葉の水滴に、黄色い光を反射させている。
窓辺に置いてあった小さな箱を手にとって、一瞬を切り取った。
のろのろと食卓へと向かう。昨日つくっておいたホットケーキとかぼちゃのスープ。昨日はあんなに熱を発していたものが、今はすっかり静かに、そしてひんやりと、テーブルに佇んでいる。
皿の上のガラス蓋をとり、ふんわりしたまるに、シロップをかける。瓶から、甘い黄金色の液が、とろりと降りかかる。「いい香り」思わず呟いた。
歯磨きを済ませたあと、着替えて外にいく準備で鞄に、箱と手帳、えんぴつと絵筆、絵の具と瓶を詰めた。
扉をあけて、外へ踏み出すと、微かに靴と草の擦れる音がした。なにもかもが、まっさらに感じられた。
そしてわたしは、またこの瞬間を切り取った。