入学式~4
一輝はブス3人と一緒に街へ行った。
街も3年の間に変わったな~。そこの角にあった畳家さんとかつぶれてるじゃん!てか、いろんな店がつぶれてるじゃん!これ、廃商店街になる手前でしょ!
そんなことを思いながら3人に連れられて、クレープを買った。俺はイチゴ好きだからイチゴとアイスのクレープにした。3人はそれぞれカスタード、小豆と抹茶アイス、ホットドッグを買っていた。
ちょっと待て、ホットドッグはクレープじゃないだろ!と心の中で突っ込んだが、声には出さなかった。
クレープ屋に来るまでに少し話をしたのだがそこまで長続きしなかった。別に俺はコミュ障という訳ではないのだが、なんとなく19歳というのを隠していたら会話が短くなってしまう。
ちなみになぜ隠しているのかというと家族の中で3ヶ月隠せるかどうか賭けをしているからだ。実にくだらないと思う。
クレープを食べた後、カラオケに行くことになった。
まだ行くのか…。俺はそこまで面白い話もしていない。どちらかというと自分から話題を出してなかったので、俺が3人の立場ならイライラしていたはずだ。
断りたかったが、明日から気不味い雰囲気になるのも嫌なので承諾した。
カラオケではとりあえず2曲テキトーに入れたが1曲目は歌わずに聴きながら歌う曲を2曲、間に3人組の誰かの曲を挟んで入れた。
歌の得点機能を使って勝負もした。結果は鈴、俺、せりか、さえの順だった。さえの歌声は酷かった。音を外す位なら誰でもあるだろう。だが、さえはそれに加えリズム感もなかった。大体、歌にそって棒が流れて行くのがわかるだろうか?あれに沿っておらず2テンポ程ずれている。
もう一度言う。酷かった。。。
さえとはカラオケに行かないことを誓おう。
そんな感じでカラオケを3時間楽しみ、その日はお開きとなった。
帰り道にさえが後をつけて来ているのに気づいた俺は、曲がり角で待ち伏せをしてさえに話しかけた。
「家はこっち方面なの?」
「きゃっ、」
可愛い声を出しても顔を見たら萎える。
「え、えーと。うん。そうなの!3丁目らへんなんだ!」
嘘だ。スキル【嘘発覚】を使ったのでわかる。
「そーなんだ。じゃあ、俺はここを右だからまた明日ね」
「う、うん。また明日」
そう言って彼女は真っ直ぐ走って行った。
後から知ったが本当は3人組の家はものすごく近くらしい。全員の家が50m以内にあるらしい。
俺はそのまま彼女を見送り、見えなくなったら右へ曲がって家へ帰った。
今日は長かった。こんなのが毎日なんて耐えられるだろうか…。
そう思う一輝だった。