ワンナイト人狼2戦目
2戦目、またカードが配られる。
さっきと同じようにカードを引き、同じ様に議論が開始される。
今回は篠原が先陣を切ったようだ。
「さっきは、すぐに占い師が出たが毎回それが良い手だとも限らねえ。」
「状況的に人狼が2人いた場合、市民側はかなり不利な状況に立たされるからな。」
と付け加えて説明する。
考え込む3人。しかし、議論時間は短く場を動かすしか解決方法がないとみた誠が話し出す。
「って…黙ってても進まないですよね。実は僕が占い師です。ちなみに、残り札を占いました。2枚の結果は人狼と怪盗でした。」
篠原(ほう、そうきたか)
香織(え?)
翔太(なんか怪しいな…)
三者三様に反応する。
「なるほどな、また人狼が1人か。じゃあここであえて言うが俺は市民だ。何の能力もない。」
篠原がそう答えると、続けざまに
「あ、あたしも市民だよ!ってことは人狼は翔太なんじゃない?」
少しハキハキとしない香織の言い方が気になったのか。翔太は心の中で怪しんでいた。
「いや、残念だけど今回は俺も市民だ。だから誠の言うことを信じるなら、この中の誰かが人狼だな」
(ん?おかしい…待てよ)
篠原はこの状況に少し違和感を感じた。
「3人とも市民ですか…僕には誰が人狼かわからないな…」
考え込むように場を観察する誠。
「うーん、市民が3人ってことは誰かが嘘ついてるってことだよね?翔太も怪しいけど、先生も怪しい気がする!」
篠原か翔太に人狼がいると香織は推理する。
篠原(これは…!まずいかもな。おそらく…)
議論時間が減っていく中、黙り込む誠。それを見兼ねてたのか
「そういや誠。お前にしてはさっきの発言、曖昧な言い方だったよな。お前本当に占い師か?」
誠の挙動を確認したかったのか、問い詰めるような口調で話しかける翔太。
しかし、ここでタイマーの音が鳴り議論は終了した。
そして、投票に移っていく。
「よし、じゃあいくぞ、せーの!!」
篠原は掛け声をかけつつも、1人の方をじっと見つめていた。
一斉に指が指される。
バッ!!
誠が翔太に、香織が翔太に、翔太が誠に、篠原が誠にそれぞれ指を指していた。
「桜井と伊角が2票ずつの同票で2人とも処刑だな。
「え?うそ?…」
「あれ?先生なんで僕に?」
まさか負けるとは思っていなかった様子の香織と誠がそれぞれ驚いた反応を見せた。
「まじかよ、もしかして?」
翔太の言葉に答えるように、
「ああ、市民側の勝利だな。」
もしかして、という言葉からある程度は推測できていたのかもしれないと篠原は少し感心する。
「先生気づいての!?」
香織のその発言で確信を持ったのか、
「ああ、おかしいと思ってな。小野、お前の発言からたぶんそうだろうと思っての判断だ。」
「え?どういうことですか?」
困惑する誠に分かるように篠原が説明する。
最初、人狼同士であった誠と篠原はアイコンタクトをし、誠が嘘をつく手筈だったようだ。
しかし、何故か市民のはずの香織の様子がおかしく、自分に矛先を向けた事から、篠原は香織が怪盗で人狼である自分と役職を交換した可能性を推理した。
翔太の1戦目とは違う様子から翔太を市民であると確信したので、投票を翔太に合わせることにした。結果市民側になったいた篠原と翔太の2票により誠が処刑された、というわけである。
「そうだったんですね…難しくてどうすればいいか分からなかったよ〜。」
落ち込む香織。
「人狼も大変だよね?人狼として嘘をつこうとしても怪盗次第でかなり状況が変わるし、まして2人の人狼の内どっちと役職を交換したかなんて想像できないしね。」
誠は篠原の咄嗟の判断に素直に感心していた。
「先生が気づかなかったら負けてたのか…」
そんな2人とは違って焦った様子の翔太。今回は篠原に助けられたが、もう後がない状況に相当なプレッシャーを感じていた。
篠原(小野と桜井のプレイは大体わかってきた。だが、伊角だ。このままだとまじで見限っちまうぞ…)
「さて、次が最後だ。伊角、口だけで終わるなよ?」
煽る口調の篠原。
「…わかってますよ!!」
そんなことしか言えない翔太であった。
もう後に引けず、このまま負けるのはダメだと心の中で深呼吸をするのであった。
ワンナイト人狼2戦目・内訳
人狼→誠
人狼→香織(元・怪盗から)
怪盗→篠原(元・人狼から)
市民→翔太
怪盗の香織が、人狼の篠原と役職を交換し、
市民の翔太に2票、人狼の誠に2票の同数の2人処刑で
→市民側の勝利!