合同練習最終戦ー①
西住の生徒はこれまで3回行ったゲームにおいて、確実に力を伸ばしてきていた。
「やっぱり実践経験ってのは良いな。やらせて良かった。それぞれの特徴もよく現れてきている」
篠原は4回目の人狼ゲームを前に、自分の生徒達を1人ずつ観察していった。
「まず桜井。あまり人外と人間の時の差がなく、プレイには安定さがある反面、真の役職の時には本物らしさが周りに伝わらねぇことが多い。
次に小野、人間陣営の時は質問や議論の方向がいかにも人間らしく信用されやすいが、人狼の時はおどおどしてすぐバレちまうとこがある。
唯一2年の古川。推理オタクと言い張るだけの推理力は確かにある。だが人外でもその思考を展開できればさらに強くなるだろうな。
森本は挙動でいえば間違いなくこの中でトップだろう。だが推理が追いついてない。あと推理力さえ加われば化ける要素はある。
そして五十嵐。実力はまず申し分ない。だがこの先、あいつと同じ思考の奴がいた場合、必ず動きを読まれて負ける時が来るだろうな。
反対に近藤は五十嵐と正反対のタイプだ。しっかりと意見を述べ、ミスをしないプレイをする奴だ。だから、それが弱みにも繋がる場合がある。
最後に伊角。正直ここ1番の推理はピカイチだ。けど決定打が足りない。後は発言のタイミングや自分なりの作戦を確立していけばもっと成長できるはずだ。」
一度のゲームで全員の動きを見ることは難しいとされているが、さすが元人狼部顧問といったところか、篠原は全員に対する観察をしっかりと行っていた。
篠原によるGMの仕事が終わり、初日の議論が始まる。
「よし、じゃあ議論開始だ!」
「ちょ、いいっすか?さっそく何ですけどジャンケンしません??」
「ジャンケン?」
開口一番、剛貴がテンション高く提案してきた。
それに怪訝な顔で弘紀が聞き返す。
「そうっす!これまでいろんな作戦しましたけど、最後くらい運に任すのもありかなって!何より、人為的なグループ分けより運要素が絡む分、人狼は何かしら動きを取らざるを得ないと思うんすよ!」
ジャンケンという簡易な作戦と思えるが、そこには運要素がある以上、ある意味人狼にとっても人間にとっても不意打ち的な結果が起こる可能性があるので、存外悪くない作戦だと全員が思いなおす。
「それで、どうジャンケンをしていくの?」
早く作戦を行って動きを見たいのか、紗央里が催促する。
「そうっすね。せっかくだし立川を代表して俺が、西住を代表して伊角がジャンケンをする。そして負けた方が今日の投票対象になるってのはどうっすか?」
「投票対象だって?それは少し重くないかい?」
剛貴の作戦に少し異を唱える侑人。
「いえ、僕は賛成ですね。おそらくグループ分け後には何か動きがあるでしょう。そこから情報は得られます。それに追加で提案なのですが、ジャンケンに勝った方は占い対象となるという了解を得るのはどうですか?」
「ほう、占い対象か。それは面白い。」
「ふん。いいんじゃねぇか?勝つリスクもあるってことか」
剛貴の提案に上乗せする形で賛成した誠。
その誠の意見に信宏や敦も賛同し始める。
「私もいいと思います。作戦を提案した陣内君が翔太君を選ぶのもヒントになると思います。」
「ですよね!あたしも思った!それにこんなリスクある作戦を提案したジンジンは人間に思えるし、たぶん立川が負けてもあたしはジンジンには投票しないと思う。」
京子や飛鳥もジャンケン作戦に乗るようだ。
「…ジンジン?」
「あ、すまねぇ。飛鳥は勝手にアダ名をつける癖があってよ…」
飛鳥が剛貴をアダ名で呼んだことに翔太が説明を入れる。
「よし、いいだろう。賛成の声も多いしとりあえずジャンケンを行おう。」
弘紀が時間を気にして先に進めようとする。
「じゃあ、翔太いくぜ?」
「おう!絶対勝つ!」
「「ジャンケン、ホイ!」」
全員が見守る中、剛貴はグーを翔太はパーを出していた。
「よっしゃああ!勝ったぜ!」
ここぞとばかりに喜ぶ翔太。
「ラッキー!やるじゃん翔太!」
飛鳥を含め、西住の生徒も嬉しそうな様子である。
「ちょっと!何負けてんのよ!バカ!」
「仕方ないわね。まあ初めから剛貴には期待してなかったけど?」
彩加に叱られ、紗央里からは期待はずれの声をもらって意気消沈する。
「ということで、俺たちが投票対象だな。って言っても話せることかあまりないな…」
立川が投票対象となった事で、何かしら話をしようとした信宏。
「確かにな。けど、森本さんが言ったように剛貴はこんな作戦をした以上、まず人間だと思うぞ。そしてそれを指摘した森本さんも人間だろう、と俺は思う。」
弘紀は今考えられる意見を述べた。
「そうですよね。ここは立川が喋るべきだから私も喋りますね。西住の中で初めにこの作戦に乗った桜井君と五十嵐君は人間だと思います。そしてジャンケンに勝った後も反応を見せない近藤君がちょっと怪しいかな」
彩加も弁明の必要があると思い、自分の意見を落とす。
「僕は…「ちょっといいかしら!」
紗央里と侑人の言葉が重なる。
「あら、侑人ごめんなさい。先にいいかしら?」
「いいよ、どうぞ。」
侑人が先に紗央里に発言を譲る。
「ありがと。言わなければいけないから先に言うわね。私は占い師よ。そして信宏が初日のお告げよ。」
紗央里が占い師をCOした。
「私は剛貴の提案に乗るのは占い師だから不本意だったけれど、全員の総意が賛成である以上乗るしかなかったわ。」
占い師として投票対象に入るのは嫌だったが、作戦を妨げて、怪しく見られる方が嫌だという判断であった。
「確かに賛成も反対も述べていませんでしたね。」
誠が確認するように呟く。
「話していいかい?正直、このタイミングで言うのはあまり説得力がないかもしれないが、僕が本物の占い師だ!紗央里と被らなくてもCOをするつもりだったよ。あと、お告げは古川さんだ。」
ここにきて侑人も占い師をCOした。
紗央里に続き、2連続で占い師COがあり全員が驚いた反応を見せる。
「僕は信じますよ。」
唐突に勇介が弁護の声をあげる。
「確かに陣内君の提案の時、小松原さんはあまり賛同できないの様な反応をしていたのを覚えていますから。」
「ありがとう!近藤君!」
侑人は少しでと信用を得たいので、勇介からの弁護にとても感謝していた。
「おいおい、立川が投票対象になった途端に占い師COかよぉ。これは立川に人狼がいますって言ってるようなもんじゃねぇか?」
敦がニヤけるように紗央里と侑人に視線を向ける。
「あぁ、確かに人狼がいて処刑されたくないから渋々占い師を騙ったように見えるな。敦の言う通りだから2人とも処刑しよう!」
「あぁ?2人ともだと?」
敦が翔太に向き直り、聞き返す。
「っはは!本物だから今言うぜ!偽物が出てくるのを待ってた!俺が真の占い師だ!」
勝ち誇ったような顔で翔太が3人目の占い師としてCOした。
合同練習最終戦初日 状況
占い師CO→沖紗央里、小松原侑人、伊角翔太
初日お告げ
・沖紗央里→山下信宏
・小松原侑人→古川京子
・伊角翔太→??




