合同練習1戦目ー⑧
「勝ったのは人間側!すべての人狼を処刑し、人間側の勝利だ!」
「やったぜ!」
翔太がまずはじめに喜んだ。
「ふぅ…良かったわ」
紗央里も推理が合っていたことに安堵した。
ただ、1人イラついている人間がいた。
「おぃ!近藤ぉ!お前のせいで負けたじゃねぇか!身内切りしたんだから最後まで活かせよな?」
ゲームが終わるなり、勇介の方に迫っていく敦。
すると、
「そこまでだ。人狼ゲームはな、誰かのせいってのはないんだ。勝ち負けにこだわるのは嫌いじゃねぇ。だが、人狼ゲームはチームプレイだ!褒めたり、アドバイスはすれど、誰かを責めるのはお門違いだ!」
信宏が凄んだ表情で敦に説き伏せる。
「ちっ!わかったよ!」
信宏に言われてもスッキリしない様子で椅子に座る。
「ところで、やっぱり勇介も人狼だったんだね。うまく助けられて良かったよ。」
誠が雰囲気を変えようと話しかける。
「え?う、うん。ありがとう。桜井君のおかげで助かったよ!」
先ほどの人狼ゲーム中の真剣な雰囲気とは変わり、いつもの爽やか笑顔で場を和ます。
「飛鳥ちゃんもおしかったねー」
「アハハ、やっぱり京子さんにはバレてた?」
「私も絶対人狼だと思ってたわよ?」
京子、飛鳥、彩加と女性陣はさっそく先程のゲームの振り返りを始めていた。
「みんな感想戦もいいけど、少し聞いてくれる?お昼も近いし各自昼ごはんを食べて13時30分から再開する予定よ。あ、石井先生もそれで大丈夫ですか?」
「ああ、問題ない。お互いの親睦も兼ねて昼休憩にしよう。陣内、山本、お前らで食堂まで案内してやれ」
さすが部長といったところか、ごちゃごちゃと雑談に変わり始める前に、親睦も兼ねて昼休憩にしようと紗央里は提案した。
「すまないな。気を遣ってもらって。なんせ、まだこっちは部活としてスタートしたばっかりでな…」
「気にするな、孝一。仕方ないだろう…ただ、驚いたな。初めてアルティメットルールでプレイしたんだろ?なのにあの動きは大したもんだ」
「あぁ、正直俺も驚いてる。不慣れなとこもあるがゲームする上では全然問題なかったな。特に気になったのは…」
「五十嵐君。だろ?」
「っお? あぁ、確かにあいつにも驚かされたが、俺が期待してるのは違うやつだ」
少し笑みを浮かべながら答える篠原。
「ん?誰のことだ?桜井君や近藤君か?」
「これを見てくれ」
と同時に一枚のメモを石井に渡す。
メモを受け取ると目を見開き驚く石井。
そこにはさっきのゲームの全ての内訳が走り書きで記されていた。
「これは伊角が書いたメモだ。しかもあいつ議論2日目で書きあげてやがる。何かペンを走らせていたから気になって見てみるとこれがあった。」
「何!?伊角君だと?彼ははあまり目立ってなかったように見えたが…」
「あぁ。プレーは全然だが、推理には目を見張るものがある。俺も顧問を決めたのも実はあいつが理由だ」
篠原(伊角…こんなもんじゃねぇだろ?次の試合、失望させるなよ?)
そう、心の中で呟く。
ゾロゾロと立川の部員について行く形で部屋を出て行く生徒達を横目に両校の顧問は、感想を述べあっていた。
篠原達が話している時、翔太は同じ事を思っていた。
翔太(くそ!…何もできなかった!みんなより人狼ゲームはしてるはずだし、ゲームを見てきた回数も多いはずなのに!)
親友の誠の完璧とまで言える程の狂人としての動きや、やる気のなかった敦があそこまで人狼として粘ったいた姿を目の当たりにして、さすがに悔しさを隠せない翔太であった。
自分が1番人狼が好きで、どこか有頂天になっていたと深く反省しているようである。
そんな翔太を見つけて剛貴が話しかけてきた。
「いやぁ〜最後のは熱い展開だったな?俺たちも次は活躍しねぇとな!」
翔太の心情を理解しているのか、遠回しに励ましてくれたようだ。
「あぁ!そうだな!…あ、そうだ。大会の事詳しく教えてくれよ!」
そう笑いながら、気分も変わり食堂へと翔太達は向かって行った。
西住・立川人狼部の合同練習1戦目の内訳
人狼→五十嵐敦・森本飛鳥・近藤勇介
狂人→桜井誠
占い師→山本彩加
霊媒師→陣内剛貴
騎士→田中弘紀
人間→伊角翔太・小野香織・古川京子・沖紗央里・山下信宏・小松原侑人
勝敗→人間の勝利




