合同練習1戦目ー③
・身内切り→人狼同士で敢えて対立した行動や投票をすること
GMを務める篠原は驚きと少しの不安を抱いていた。
「初めてにしては中々な動きだ。だがやっぱり立川の子らのほうが経験がある分、セオリーや投票の仕方までしっかりしてる。そのへんを大会までにこいつらは身に付けねえと戦えない…まあ、立川も1年生と2年生とじゃさすがに差はあるがな」
そんな印象を持ちながら、ゲームの進行を進める。
「人狼は目を開けろ、今夜は誰を襲撃する?」
篠原の言葉を待たずして、人狼達はアイコンタクトを取る。
するとすぐに人狼達は1人の人狼に襲撃先の判断を委ねた。
ゲームの盤面的に誰を襲うかが最善手なのか、残りの人狼達は難しいと判断したのだろうか。
篠原による進行が続く。
「よし、霊媒師目を開けろ。昨日処刑された奴の正体は…これだ!」
!!?
霊媒師として目を開けた人物は想定していた結果と違ったのか、驚いた様子であった。
そして夜が明ける。
「じゃあ全員目を開けろ、昨晩に人狼の襲撃にあった
のは……
山本彩加だ。それでは2日目の議論開始だ。」
そう言いながらホワイトボードの初日の犠牲者の欄に山本彩加と書き込む篠原。
「いきなり占い師が襲われたのかよ!」
開口一番に翔太が驚きの声をあげる。もちろん翔太以外の者も驚いた反応を見せている。
「彩加が襲われたとはいえ、とりあえずだ。桜井君の結果を聞かしてもらおう」
「ちょっと待って信宏、それは霊媒師の話をしてからではダメなの?」
紗央里が誠の占い結果を聞く前に制止をかける。
「私も思いました!占い師と名乗った彩加ちゃんがいない以上、誠が偽物かもしれない。彩加ちゃんは霊媒師じゃないから絶対霊媒師はいるはずです!だから霊媒師の人の結果と同時のほうがいろいろ見えてくると思うんですけど…」
香織も霊媒師の結果と合わせるとべきと主張する。
もっともな意見に侑人や京子なども賛同する。
「では、僕の結果は後にしましょうか。」
誠は対抗していた占い師が人狼に襲撃されたにも関わらず、慌てた様子もなく冷静である。
沈黙の後、全員が肯定したと見た敦が喋り出す。
「よし、じゃあ霊媒師の奴は出てこい。昨日処刑した飛鳥の結果が知りてぇ。」
一呼吸置いて、剛貴が叫ぶ。
「おれだ!俺が霊媒師だ。他に俺に対抗するやつはいるか?」
我こそが真の霊媒師と言うものがいないかを確認する剛貴。
じばらく静まる一同。
(誰も騙らないか…まぁ、確かにあの結果じゃあ俺に対抗して陣営の数を減らす訳にはいかねぇよな。)
「いないみたいだな。じゃあ剛貴が本物か。よし!これは助かったな!霊媒師が確定した!」
喜ぶ様子の弘紀。
「えっと、昨日襲われたのが占い師って言ってた彩加ちゃんで、初日に処刑した飛鳥ちゃんは何も役職ないって言ってたから剛貴君が本物の霊媒師で確定ってことだよね?」
香織が全体に確認するように問いかける。
「ええそうよ、よく見えてるわね」
ニッコリと笑いながら香織を褒めてくれる。
翔太は西住の中では1番人狼を知っていると自負していた分、香織がこの初めてのゲームに置いて見事な状況把握をしていることに少し悔しさを覚えていた。
「じゃあ、結果を教えてくれよ!同時でいいんだよな、俺がカウントとるぞ」
翔太「せーの!」
誠「山下さんが人間です」
剛貴「人狼だった!」
「おお!本当か!!」
弘紀が真っ先に喜ぶ!
「俺を占ったか…」
一方、信宏は人間と判定されたのにあまり喜んでいない様子だ。
「山下さん。俺を占ったかって、どうしてそう言ったんですか?」
京子が信宏の反応に気付き声をかける。
「あ、ああ。占い師は彩加が本物と信じていたからな。桜井君に人狼と言われたらまだしも、人間と言われたら周りからの疑いがかかると思ってな…」
信宏は彩加を本物の占い師と推理していた為、誠から人間と判定されても、周りには信宏を人狼と思い誠が庇った様に見えるのではないかと不安に思っていた。
「飛鳥ちゃんが人狼だったんですね!これはラッキーですよね!」
香織は早くも1人の人狼がいなくなったと思い、素直に喜んだ反応を見せる。
「そうでもないんじゃないかな。山本さんが本物の占い師だった可能性もあるんだよ?それに、本物の霊媒師がまだ潜伏してる事も考えられるよ…」
自信なさげなだが、しっかりとした推理を述べる勇介に敦は意外と驚いていた。
(なんだぁ、使えねぇチビかと思っていたがマシな推理するんだな…)
「勇介、それは僕を信用していないということかい?」
「そうではないけど…実際に山本さんが襲撃されてる以上、信用度は桜井君の方が低いと思うよ。」
誠は自分の現状を理解しているのか、少しでも本物と判断してもらえるように説得を試みる。
「まあまあ、そのへんにして状況を整理しましょう。小野さんがさっきまとめてくれたように、剛貴はおそらく本物の霊媒師で間違いないでわよね。人狼が1人はいなくなったのはほぼ確定ね。そして、昨日の投票で人狼であった森本さんに投票していない人は純粋に怪しくなるわよね?」
「ああ、俺も該当するが人狼に投票してないから怪しまれて当然だ。一度、森本さんに投票してない人は挙手してくれ」
敦、翔太、誠、信宏、香織、剛貴、弘紀の7人が手を挙げる。
「桜井君は占い師だから一旦下げるとして、翔太君も人間と言われているから一応下げよう。あと、剛貴は霊媒師だし、ノブも人間と言われたから下げて…となると…」
侑人が整理していく。
「俺と、小野と田中さんだなぁ」
敦が挙手をしたままニヤケ顔で答える。
「いいんじゃねえかぁ?今日はこの3人が投票対象で問題ないだろ?」
自ら進んで投票対象に入りにいく敦。
しかし、その様子を紗央里や剛貴は怪しんだ目で見ていた。
「あぁ、俺もそれで問題ないと思う。だが、その前に桜井君の占い理由を聞かしてくれ」
弘紀もどうやら投票対象に入ることに反対はしないようである。
「わかりました。昨日の投票の時、沖さん、香織、京子さんは2票ずつで並んでいました。仮に飛鳥ちゃんはまだ人狼かわからないとして、その飛鳥ちゃんの3票に並べて投票をした山下さんと田中さんは、飛鳥ちゃんを庇った行動だと思えたので、迷った結果、山下さんを占いました。」
「まぁ、筋は通ってるなぁ」
敦も推理に納得する。
「そうかな?決戦投票にせず、飛鳥ちゃんに決定票を入れた僕や京子さんを占ったほうがいい気がするけど…」
「あぁん?」
「うっ…」
敦の怒号に怖がる勇介。
「でも勇介、それは今日に飛鳥が人狼とわかったからだろ?少なくとも昨日の状況じゃ飛鳥が人狼かどうかなんてわかんねー。誠の占い理由もおかしくはねぇよ。とりあえず今日は誠に本物の占い師の可能性がある以上投票しねぇだろ?」
険悪な雰囲気だったが、翔太が意見を挟む。
「そうだね、私も3人の中からの投票で問題ないと思います!」
京子も賛同する。
2日目の方向性が固まりつつある状況で、議論時間はもう終わりを迎えていた。
「さあ、投票の時間だ」
信宏の声で再び投票に移る。
「んじゃあ、1番に投票するぜ。俺は確かに飛鳥に投票してねえが、決定的な人狼である証拠もねえだろ?んで、霊媒師が確定してることから飛鳥を人狼と知ってて敢えて投票して身内切りをした人狼もいる可能性はある!そーなると飛鳥に投票した中にも人狼はいるはずだぜ。投票は小野にする」
紗央里(そうなのよ、霊媒師が1人しかCOしてないから人狼はもともと騙りに出ようとは思っていなかったはず。森本さんがほぼ処刑されると踏んだ人狼がいるはず!だからこそ森本さんの結果を敢えて見せることで、身内切りをしている可能性は拭いきれない!)
敦の推理に半ば肯定しかけているのは紗央里だけではなかった。
議論では黙っていた剛貴も同じ推理をしていた。
立川の生徒達は、経験があるからこそ敦の推理もきんちと追わなければと考えはじめていた。
投票が進み、議論の通りに敦、香織、弘紀に投票が集まった。
篠原「投票の結果、五十嵐敦4票、小野香織4票、田中弘紀3票で、五十嵐敦と小野香織とで決戦投票を行う!」
「!!!?」
(まじかよ、あいつも俺に入れてやがる…!)
香織と敦がそれぞれにリアクションを取る。
「よし、じゃあそれぞれ最後に短く一言で喋りたい事があれば喋ってくれ」
「うーん、飛鳥ちゃんが人狼だったから私たちに投票が集まるのは仕方ないけど、私は議論にもしっかりと参加して人狼を探そうとしてる人間だよ!投票しないで下さい!」
香織なりの精一杯の弁明をする。
「言いたい事はさっき投票ん時に話した。俺は変わらず飛鳥に投票した中に人狼がいると思ってるぜ?特に勇介が怪しいなぁ」
2人の弁明も終わり、決戦投票が行われる。決戦投票は一斉投票で行われ、瞬時に票が決する形となっている。
篠原「いくぞ、せーの!」
敦4票、香織5票により2日目の処刑者は香織に決定した。
そしてまた夜の時間がやってくる
合同練習1戦目 2日目 状況
残り人数11人
初日処刑者:森本飛鳥
初日犠牲者:山本彩加
・占い師、桜井誠→初日に伊角翔太が人間、2日目に山下信宏が人間
・占い師、山本彩加→初日に陣内剛貴が人間
・霊媒師、陣内剛貴→初日処刑者の森本飛鳥が人狼と判定
通常投票
・五十嵐敦←沖紗央里、近藤勇介、古川京子、小松原侑人から投票される
・小野香織←伊角翔太、五十嵐敦、田中弘紀、陣内剛貴から投票される
・田中弘紀←桜井誠、小野香織、山下信宏から投票される
決戦投票
・五十嵐敦←沖紗央里、近藤勇介、古川京子、小松原侑人から投票される
・小野香織←伊角翔太、田中弘紀、陣内剛貴、桜井誠、山下信宏から投票される
2日目処刑者:小野香織




