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部活系人狼!騙シ、騙サレ  作者: melon湯葉
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入学式前に

たくさんの新入生らしき高校生達が行き交う中、一際忙しそうにその人混みを駆け抜ける人物がいた。


桜並木が学校の前を彩る中、そんな青春らしい光景をよそに伊角翔太(いすみしょうた)は昨日の話の続きをしたいが為に一目散に教室へと向かっていた。



東京都に位置するこの西住高校には毎年約120名程の新入生が入学してくる。

もちろん翔太と昨晩チャットを交わしていた2人もだ。


爽やかな笑顔が特徴で、薄茶色の長髪が似合う桜井誠(さくらいまこと)と少し天然ながらも活発な雰囲気をした黒髪ボブの髪をした小野香織(おのかおり)である。2人は翔太と小・中からずっと一緒の幼馴染である。


クラス表が張り出された紙を一瞥し、Aと書かれた1年生の教室へと向かう翔太。

あまりにも急いでいたせいか、曲がり角で女子生徒とぶつかる。


ドン!!


「おわ!すまねぇ!」

「痛っ!…」

「じゃ、急いでるから!すいません!」

「あ、いえ。こちらこそ…」

暗めな雰囲気のその生徒の言葉は急ぐ翔太には届いていなかった。


「…1年生かな?あんなに慌ててどうしたんだろ?」特に怒る様子もなく、不思議に首を傾げる女子生徒。その生徒が履いている靴から2年生であることが伺える。

西住高校では学年によって青、赤、緑と学校から指定された上履きを履く決まりになっている。

赤色は2年生である証だ。ちなみに1年生は青色である。


「ま、いっか。1年生だし新しい生活に期待が膨らんでるんだよね、きっと!」

そう女子生徒は独り言のように呟く。


(いいなぁ。私も何か青春したいなぁ〜…)



1年A組と書かれた扉の前に着き、Aクラスという文字をもう一度確認する。

「あいつらもう来てるかな〜?」

勢いよく扉を開け、目的の人物(しんゆう)を探す。


「よっ!昨日のゲームやばかったな!あれは久しぶりの激戦だぜ!」

まだ興奮冷めやらぬ様子で話しかける翔太。

「あ、おはよー翔太!すごかったね!てか始めの一言がそれ?笑」

「おはよう、翔太。まずは一緒のクラスだっとことに触れようよ。でも確かにあれは俺たちには推理が全然追いつかなかったよ。」


香織と誠は1番に人狼の話題を持ってきた翔太に呆れながらもいつもの調子だなと思い、笑っていた。


「やー、あれを見ると人狼熱が高まってくるぜ!したいなー人狼!」

目を輝かせる翔太。

「でも中学までは人狼に興味あるのは俺たちくらいだったからなぁ。」

その気持ちはわからないでもないが、人狼の認知はまだ低いと誠は思っている。


いくら人狼ゲームが中高生で流行っているとはいえ、昨晩の人狼番組のような本格的な人狼ゲームを好む層の人間はまだまだ多くないという現実である。


「あ!そういえばさ、さっき仲良くなった友達に聞いたら、なんか昔この高校に人狼部ってあったらしいよ?」

社交性の高い香織は早くも友達作りを成功させていたようだ。


「まじかよ香織!!人狼部?!そんなもんがあるのかよ!」

大きな声で反応する翔太。

あまりの興奮でクラス中の視線を集めてしまう。

「うっ…」


誠「みんなごめんね!何でもないよ!」

咄嗟に状況をカバーする誠のおかげで教室はまた喧騒に戻った。

ただ、高身長で爽やか過ぎる笑顔の誠が言ったせいか、一部の女子から黄色い声が聞こえ、翔太達はまた注目を集めているようだ。


「そうと決まれば先生に言って創部するしかねぇ!ちょっと担任の篠原先生だっけ?のとこいってくる!」

そんな状況はお構いなしか、すぐさま駆け出そうとする翔太。昔からこれと決めた事に対してはすぐ行動する性格はいまだ健在だ。


「お、おい翔太!まだ入学式も始まってないよ!」

誠の制止もよそに廊下を駆け抜けていく翔太。


「行っちゃったね…」

苦笑いしながら香織もいつもの事だと呆れるしかなかった。

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