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部活系人狼!騙シ、騙サレ  作者: melon湯葉
14/29

立川高校人狼部


西住高校の職員室にて


篠原(ふぅ〜、もうゴールデンウィークか。はえなぁ…って、ん?)

自分の机の引き出しから何かの紙がはみ出しているのに気づく。


「あれ?まだ出してなかったか。げっ!締め切りもうすぐじゃんかよ。急がねぇと」


慌ててカバンに入れた紙には、


「全国高校人狼ゲーム大会 関東地区予選出場校申請用紙」と書かれていた。




ーーーーーーーー


GWということもあり、翔太達が乗る電車も混雑している。


あれから、翔太達は篠原に対して人狼部に7人が加入した旨を伝えた。

まさかこんな短期間で集まると思っていなかったのか、篠原も少し驚いた様子であった。



「いやー!それにしても楽しみだな!合同練習もそうだけど何より大人数でできるのがよ!」


「怖い人たちだったらどうしよう…」

テンションが高い翔太とは反対に香織は少し不安がっているようだ。


「大丈夫だよきっと。同じ高校生なんだし」

そんな香織を気にかける誠も幾分か不安な気持ちであった。


敦を人狼部に引き入れてからというもの、敦自身は一回も部室に顔を出しておらず、学校で出会っても全くの無反応であったからだ。


幸い、仲の良い飛鳥を通じて今日の合同練習の日にちは伝えており無事に待ち合わせ場所にも来たことから安心はしていたが、練習を一度もしていない敦に対して心配するしかなかった。



5月1日土曜日。GW初日に合同練習をすることがわかってから、翔太達も部室にある過去の先輩達の人狼ゲームの録画を観たり、自分達でも大人数での人狼ゲームでの振る舞いなどを勉強していた。



篠原の旧友が顧問をしているという立川高校の人狼部には男女合わせて6名が在籍し、その中の翔太達と同じ1年生が最寄り駅まで迎えに来てくれる手筈になっている。


しばらくすると、駅員による車内放送が流れた。


(次は〜立川駅前。立川駅前です。)


「あ!次降りるとこだね!」


翔太同様にテンションが上がりつつも、しっかりと車内放送を聞いていた京子が告げる。


「ほら、あっくん起きるよ!着いたよ!」

座席に座って爆睡していた敦を叩き起こす飛鳥。


「んぁ?もう着いたのかぁ?全然眠れなかったじゃねえか」

そう言いながら敦が鞄を背負うと後ろに立っていた勇介の肩に鞄がぶつかる。


「いてっ」


「んーー?お、わりぃわりぃ。ちっこくて見えなかったぜぇ」

言葉とは裏腹に悪びれた様子もなく、敦はさっさと電車を降りていく。


そんな敦の態度に腹立ちながらも、敦を恐れている勇介は何も言えずにいた。



「よし!とうちゃーく!」


「たしか、立川の生徒が駅で待ってくれてるはずなんだよね?」

キョロキョロと香織が辺りを見回す。


「どこなんだろうね。待ち合わせは9時だったはずだけど…」

誠も時計に目をやりつつ立川の生徒を探す。


敦(ん?何だぁこの視線は…)


??「ダメね。全員()()ようには見えないわね」


??「あぁ。直にプレイしないとわからねぇが普通の高校生にしか見えないな。ん?…いや、でも1人は気づいたみたいだぞ?」


駅の改札出口を見張るように物陰から2人の男女が覗くように立っている。


「おい伊角。あいつらじゃねぇのか?ずっとこっち見てんぞ」


「ん?どこだ?」

敦が呼びかけた方へ首を向ける。


「あ!あの人たちじゃない?」

どうやら香織が発見したようで、2人の人物の方へと駆けていく。


「どうもー!立川高校の人達ですかー?」


??「あなた達が西住高校人狼部の人ね?私は立川高校人狼部の1年、山本彩加(やまもとさやか)よ。よろしくね」


??「同じく1年の陣内剛貴(じんないごうき)だ。学校までは歩いてすぐだ。案内するぜ」


サバサバとした喋り口調をした黒髪でセミロングの彩加と、見た目はヤンキー眉毛で坊主頭で怖い印象だが社交的な喋り方をする剛貴が出迎えてくれた。



「気づかなくてすいませんね、西住高校人狼部1年の桜井誠です」


「部長の伊角翔太だ!今日はよろしく頼むな!」

遅れて誠や翔太も挨拶する。


「お?こっちが部長か。てっきりあんたのほうが部長かと思ったぜ」


翔太を見ながらからかうように剛貴が笑う。


「なっ!?」

出会って早々にイジられる翔太。

しかし、それをきっかけに打ち解けるように挨拶が続く。


「じゃあここで話してもあれだがら、さっさと行きましょうか?」

彩加を先頭にして最寄りの立川駅から立川高校へと向かう。


5分程歩いたところか、翔太が歩きながら剛貴に話しかける。


「陣内、お前らんとこ1年は2人しかいねぇのか?」


「剛貴でいいぞ。あぁ、俺と彩加はもともと中学が同じでよ。1年は俺らが入らなかったら存続が危ぶまれるとこで大変だったらしい。」


「へー、そうなのか。でも先輩がいるっていいな!何か部活って感じがする!あ、俺も翔太って呼んでくれ」


「おう。まあでも先輩って言っても怖い人ばっかでよ。人狼ゲームになると容赦ねぇんだわ。」

そんな部内の愚痴を言う剛貴に後ろから声がかかる。


「聞いたわよ、剛貴!あとで紗央里さんに言いつけとくわよ?」

ニヤついた顔で彩加が脅す。


「すまん!今のは内緒にしといてくれ!バレたら殺される!てか投票される!」


「投票されるのはいつものことでしょ。」


両手を前にして必死に謝る剛貴達の夫婦漫才のようなやり取りを見ながら、西住の人狼部の部員もみんな笑っていた。


そんなやり取りも束の間、立川高校と書かれた門の前に辿り着く。



「うわぁー、綺麗な学校だね!ね?あっくん」


「あ?しらねぇよ」

相変わらずどうでもようさそうな態度の敦。


都内有数の進学校でもある立川高校は校舎も綺麗なようだ。


「今日は合同練習だから人数も多い。ってことで部室じゃ狭いから会議室を借りてる。そこが今日の練習場所だ。こっちだ来てくれ。」


校舎の綺麗さに見惚れている翔太達に呼びかける。


「中まで綺麗な作りだね!勇介君。」


「え!?あ、はい…」


「どうしたの?緊張してる?」


「え、ええ。僕人見知りですから…」

急に京子から話しかけられた勇介はおどおどとした反応をしていた。


「大丈夫だよ?私も初めてだし、何かあったら先輩として守ってあげるよ!」

優しい笑顔とともにそう励ましてくれる京子に少なからずドキッとした勇介であった。


「さあ、着いたわ。扉開けるわよ。ようこそ立川高校人狼部へ」


ガチャ



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