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亡姫  作者: MLS
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プロローグ

私はしがないサラリーマンだ。

特に頭が言い訳でも悪い訳でもなく、運動神経もボチボチ

何か得意な事がある訳でもなく、不得意な事がある訳でもない。

自分で言うのもなんだが一般的な成人男性図の縮図と言っても良いような人物だと思う。

しかし、そんな私には他の人とは少しだけ違う様な部分がある


私は人の顔を見るとその人がどういう性格か、何をしてきたのか、今何を考えているのか…と言った事が分かる

冗談じゃぁない、実際色々な人物像を当ててきた

例えば入社したての時に社長直々に1対1で話す事があったがその時に「株価が少し減ってきている」と言う様な事や「娘にこの前せがまれたぬいぐるみをプレゼントしてやろう」などと言う様な私生活的な事を考えているのも分かった

実際そういう事を社長が考えているか上司に聞いたら見事当たっていたのだ


…とにかくその様な少し特殊な能力と呼ぶべき物を持っており

街行く人を見る度にまるで頭の上にプラカードに書かれているかの様に思考がはっきり浮かんでくるのだ

しかも嫌な思考でも入って来るのでうんざりしている

…が医者に行ってもどこも不治、それを活かせなどと言われるしどうしようも無いと悟った


だから私は基本派手な行動を起こさない

何かを起こした所で刺激は少ないし、やっていてつまらないのだ

何事もそれなりにはこなせるのだが逆に言えば器用貧乏

そういう人間であると自分で理解しているから友も作らず、社会の歯車に溶け込み、大した喜びも無く、大した哀しみも無い…

これを「気楽な人生」と取るか「つまらない人生」と取るかは人それぞれだと思うが私はもうとっくに考えるのをやめた

そんな事は全てバカバカしいからだ



「○○さん?ちょっといい?」

ん…課長だ…何?社長が飲み会を開く?…この所酒の飲み過ぎと女房に叱られている?

「はい、課長…何でしょうか」「実は社長が飲み会を…」

やはりそうだ…正直つまらないのだが社会の歯車としては人付き合いもきちんとして行かなければならない、まあこれもかれこれ3度目になるだろう…上のご機嫌取りだけで生きていけるならまだお安いもんさ

「はい、代わりに行って欲しい…ですね?」「話が早くて助かるよ〜今度奢ってやるから勘弁して!な!」「了解致しました」

やれやれ…まあたまには呑むのも悪くは無いだろう…周りの奴らの下品な考えやらが頭に入るのは少々不愉快だがその程度は我慢しなければなるまい、変にゴタゴタを起こすよりはマシだ



しかし、これが後に私の人生を一転させる出来事になろうとは

私は知るよしも無かったのだ…

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