売れない作家
今日も元気に働く安美と優花。そんな彼女等の下に訪れるスランプな小説家。安美は、彼女の大ファンで事件解決に熱が入る中、怪しい面影も見えてくる。
クールな少女と元気一杯な女の子が贈る物語の第2弾
病室から空を見上げる少女。少女は涙を流していた。そこに看護師が来て少女は涙を拭きながら検査を受けた。
そして、医師の話により少女の顔色はくもっていった。
看護師と医師が出ていくと少女は一冊のノートを取り出した
1
穏やかな昼下がり、ガシャーンという音が聞こえ、私が行くと優花さんがお店のコップを割ってしまっていた。
「これで・・・・・・何回目だと思っているんですかー!」
彼女には、数日前にここに来た同居人で共に働いてもらっているのですが・・・・・・
「コップを割って、コップを割って!もう、かれこれ15個以上ですよ~!」
「ご・・・・・・ごめんなさ~い!」
「あらあら、今日も賑やかな喫茶店ですね~・・・・・・」
いつの間にか一人の女性が店内に座っていた。
「あ、有沢さん!!」
有沢さんの事を見つけて目を輝かせる安美
「誰?」
「作家さんです・・・・・・。ですが今は全く売れずスランプになってしまっているんです・・・・・・」
「ハァ。新作が思いつかない・・・・・・」
「有沢さん。ご注文は?」
「アイスカフェラテをお願い・・・・・・」
「すぐ用意します!」
そう言うと安美はキッチンの中に下がっていった。
「ねぇ、有沢さんは作家なの?」
「でも、売れない作家さんですけどね・・・・・・」
少し視線を落として俯いてしまう
「何か、原因でもあるの?」
「えぇ、ちょっとね、読者が私に向ける期待の視線が怖いの・・・・・・。それで、スランプになってしまいました」
私はカフェラテに氷を入れながら静かに二人の会話を聞いていた。優花さんがしっかりと仕事ができるかテストです
「優花さん!アイスカフェラテを有沢さんに」
「ハ~イ」
私は入れたアイスカフェラテを優花さんに渡した。
その後、安美と優花が席に着き有沢さんの過去が始まる
2
私、有沢アリサ(ゆうざわありさ)は極普通の家に生まれました。そのため、何をやっても普通で刺激を求めていたのかも知れません。小学生になって、私は持病が悪化して入院生活を強いられました。
その時に、たまたま、同室だった女の子、岑守奏と出会う。彼女は小説家になりたくていつも、病室で小説を書いていた。私は、小説家というものを知らないで奏さんにいろんな事を教えてもらいました。その時の彼女は笑顔で私も笑顔になっていった。だが、私の病気が悪化して集中治療室に運ばれる。数日後、修羅場を乗り越えた私は病室で目を覚ました。だが、その時には、もう私のお隣さんは居なくなっていて、ベットすら消えていた。
看護師達に奏の事を聞くも知らないの一点張りで、私はずっと一人だったと言われる。
ある日の事、私の担当医、五十嵐大五郎先生からの話で岑守奏が15年前に死んでいた事が発覚する。
彼女は私と同じ年齢の女の子で小説家を目指していた。だが、この病院のこの病室で亡くなってしまう。
私は退院して、墓参りに行く事になり偶然にも有沢家の墓の隣に岑森家の墓があった。
墓の前にはノートが置いてあり 私は合掌をして、中身を見させてもらう
私、岑森奏は貧乏な家に生まれた。でも、両親は私に不憫がないように色んな物を買ってくれました。私は成長して小学校、風切小学校に通う事になりました。友達も沢山出来て幸せでした。でも、そんな幸せは儚く消え去った。私の病気が悪化して直ぐに近くの病院に入院を強いられました。私は直ぐに退院出来ると言い聞かせられていましたが病気は悪くなる一方で病室で小説を書きながら死にました。
最後の方は字が変わっており、恐らくは母親が書き加えたのだろうと思いました。
3
「そんな、お話です・・・・・・」
有沢さんは静かにカップを置いて目を伏せた。
「その後、私は夢の私という話を書いてベストセラーを取ったんです。ですが、その後は何を書いても、満足いかないんです・・・・・・。なので、小説家をやめようと思います・・・・・・」
有沢さんは満足した顔でそう言うと空になったティーカップを置いて去ろうとするが、それを、安美ちゃんが止めました。当然、三人はびっくりしている中、安美ちゃんが口を開きました
「諦めないで下さい・・・・・・。自分の努力してきた事を途中で投げ出さないで下さい!」
「安美ちゃん・・・・・・」
「諦めてはいけないと思います!自分の嫌な職なら諦めてもいいですけど、貴方は今の職を楽しいとさえ思っている!あなたの言っていた小説は全部読みました!凄く楽しくて、有沢さんの辞めたくないって感情が凄く出ていました!もう一度!もう一度くらいならチャレンジしても・・・・・・」
安美は有沢さんに縋り付く様に言葉を続ける
「もう、無理なのよ・・・・・・。私には向いてない職だった・・・・・・。奏にもちゃんと報告して辞めさせてもらうわ・・・・・・。ご馳走様、コーヒー美味しかったわ」
そう言って去ってしまう。
4
私はいつもの様に合掌してから岑森家の墓に腰を下ろし、返事がないはずなのに話し始めました
「ねえ、奏。私、今日は、あなたにとても大事な・・・・・・話をするの」
風がどんどん強くなってくる。私はバックからコートを取り出して羽織り始めた。
「私、小説家をやめようと思うの・・・・・・」
「そっか・・・・・・。残念だな」
私は後ろから声が聞こえ振り返る。だが、後ろには誰も———
「久しぶりだね・・・・・・。お姉さん」
私は、自分の目を疑った。病院で会った少女、そのままの姿の少女が目の前にいるのだから・・・・・・。
「あなたが岑森奏ね・・・・・・」
安心した様な表情で聞く有沢
「そうだよ!」
満面の笑みで答える奏。
「私ね、ベストセラーを取ったんだよ・・・・・・」
「すごいね~。ベストセラーは私も狙ってた投稿する前に死んじゃってね・・・・・・。ホント、間抜けだよね~。でも、お姉さんも感じなかった?お話書いている時ってどんどんのめり込んでいっちゃうんだよ!お話の中に!」
「分かるわ!それでさ!」
その時、ハッと気づかされる
私のやりたかったこと・・・・・・。最近の私は、きちんと作品と向かい合っていなかった。でも、ベストセラーを取った時はどうだっただろう・・・・・・。きちんと主人公と向き合って話し合って決めた結末だった。
「私、やっとわかったよ・・・・・・。私、小説家を続けようと思う!」
「ホント?じゃあさ、そんな貴方にプレゼント!ノートに私が投稿しようと思っていた話が載ってるから投稿しておいてよ!」
「分かった!ねぇ、またここに来てもいいかな?」
「うん!もちろんだよ!もう、私とは、会えないかもだけど、こうやって、、話を聞かせてくれると嬉しいな!」
「うん!た~くさん語ってあげる。じゃ、そろそろ行くね!」
「うん、バイバイ!」
奏は、最高の笑顔で私は泣いてしまった。
5
私は目を覚ますとお墓の前で横になっていた。
私は日記に手を伸ばすと一番最後のページに奏の友達の集合写真があって天国に行っても元気でねと書いてあった。そして、私は約束の作品を投稿した。
私は帰り際にベストセラーを取った夢の私を置いて行った。次の日、本を開くとメモが書き記してあった。
ベストセラーおめでとう!!でも、ここで気を抜かずに駆け上がろう
と書いてあった。私は胸がポカポカして、今日も一日頑張ろうという感情になった。
6
「というような話ですね・・・・・・。ま、こっから先のあの人の作品が気になってたまりません。でも、きちんと夢を追い続けてくれる様で何よりです・・・・・・」
パタンと本を閉じる安美。だが、そんな安美を頭痛が襲う。
7
5月4日、友達と遊んでいる少女。だが、友達の家の門限は厳しく、門限は夕方の5時だった。
その事件の日も私達は遊んでいて、友達はふと私に悩みを打ち明けてきた。
「私ね、あの家から出て行こうと思うの・・・・・・」
家出なら誰でも思いつくが、小学生である私と同い年の子の口からそんな言葉が漏れた。私はその時、反応できずに話は続くはずがノイズが掛かり始める
「どうして、そんなことを言うの?」
「だって、私は―――」
8
記憶は、そこまでしか思い出せなかった。だが、目からは涙が流れ私の記憶にない人物の名前を口に出して発音をした
「どこに行ったの・・・・・・?サッチャン?」




