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喫茶店日和  作者: カフェハーブ
2/6

迷える演劇少女と同居人

とある町に越してきた優花は如月安美がオーナーをやる夢の喫茶に同居する事になる。だが、こんなのはまだ始まりに過ぎない・・・・・・。喫茶店には、演劇少女が待ち構え、安美&優花が明るい未来へ導く。心温まる物語。第一話です!

「ここで如月さんと待ち合わせのはずなんだけど・・・・・・」

 私は、昨日電話で如月安美さんと話して決めた集合場所に立っていました

 私、明日川優花は受験で見事、合格し学校に通うため石畳の町、水戸町に引っ越してきました。両親は少し不安気味だったけど、家からこの町の学校まで3時間もある。さすがに通えないと確信した家族は、夢の喫茶のオーナー(如月安美ちゃん)を紹介してくれました。

 数十分が経過し、テコテコと走ってくる小柄な少女が見えました。

「申し訳ございません、待ちましたか?」

「ううん!ぜんっぜん!私も今来た所だったから!」

 私は、漫画やアニメで見た事のあるセリフで誤魔化した。

「そうですか、お店は今、混んでいて手が離せなかったんです・・・・・・」

「もう大丈夫なの?」

「ええ、今はお客さんは、一人もいませんから・・・・・・」

 チョコっと頬をブクっとさせた感じで目の前の少女は返答する。お店、儲かってないのかな?

「とりあえず行きましょう!」

「う・・・うん」

 そう言うと体を反転させてスタスタと行く安美ちゃんを追い掛ける。

「あ・・・あの、安美ちゃん・・・・・・。私の名前は・・・・・・」

「明日川優花さんですね?昨日、連絡を貰いました」

「う、うん」

「それで、これから家に同居する子・・・・・・」

「うん」

「なるほど・・・・・・。私の家が狭くなってしまいますね・・・・・・」

「え・・・・・・えと・・・・・・」

「断固拒否します!あなたは、とてもいい人ですが!私の家が狭くなるのは勘弁です!」

「ということは・・・・・・」

「何処か、別の家に同居してください!」

 私は一気に家をなくしてしまった。これからは、橋の下での生活かー

「冗談ですよ・・・・・・。ですが、家に同居するなら、喫茶店を手伝って貰いますよ!」

「うん!良いよ!喫茶店で働くのが夢だったんだー!」

「私の喫茶店はただの喫茶店じゃないですよ・・・・・・。迷える子羊を明るい未来へ導く喫茶店なんです・・・・・・」

 迷える・・・・・・子羊?メェ~とかって鳴くのかな。その時、羊がいっぱいの喫茶店を想像する私。周りにモフモフがいっぱいあってメェメェ鳴いている・・・・・・。

「可愛い喫茶店だ・・・・・・」

「言っておきますけど羊がメェメェ鳴いている喫茶店じゃないですからね!」

「じゃぁ、迷える子羊って?」

 (ここで説明しておきましょう!迷える子羊というのは仕事がうまくいかずどんよりしてしまった人達のことを言う失敗尽くしの人達を輝かしい未来へ導く。それが我々のお仕事です!)

「ハァハァ。分かりましたか?優花さん・・・・・・」

「フーン。大変なんだね・・・・・・。夢の喫茶って・・・・・・」

「では、早速お店に行きましょう・・・・・・」

そのまま、お店に向かう私達。喫茶店には一人の少女が居た。


 私達が喫茶店に帰ってくると少女が空きテーブルに座り込んで待っていた。

「お客さんかな?」

「そうでしょうね・・・・・・」

 そして、安診が近づいていく

「ようこそ、夢の喫茶へ!」

「ここには・・・・・・迷える子羊が集まるのよね・・・・・・?」

「見た所、貴方も迷える子羊の様ですね・・・・・・」

「ええ・・・・・・」

 暗い表情を隠しながら頷く少女。

「要件を聞きましょう」

 安美ちゃんは少女の前に座り話を促す。私ははじめてなので見て学ぶ事にしたのだった。


 私、神奈木姫子は演劇部に所属している。

 事の始まりは幼少時に父親に演劇に連れて行って貰う事が多くあり演劇に興味を持った・・・・・・。そして、小学校・中学校と演劇部に入った。

 だが、高校に入った頃から私は変わってしまった・・・・・・。

 その頃の私は、主役を取ることで頭がいっぱいだった。そのため、友達との付き合いや家族との雑談もせずに演劇に没頭していた。

 ある日の事、演劇部に一人の女の子が入部してきた。名前は江奈川小百合えながわさゆり。彼女と私はあっという間に溶け込み仲良くなれた。だが、主役争いで小百合と争う事になった・・・・・・。そのため、友情関係も崩れ去りギクシャクしたのだが、最後には小百合が主役を勝ち取って私は準主役となってしまった。だが、小百合は私を哀れみの目で見て「私、劇から降りるので姫子に主役をやらせてあげて下さい・・・・・・」そう言われてしまった。皆は、唖然としていて小百合は私の肩を叩いて去っていった。私は、小百合にイラっときて下校中、小百合を道路に突き飛ばしてしまった・・・・・・。その時、タイミングが悪く、小百合はトラックに跳ねられたのだった。

 結果、小百合は意識不明の状態になって、初めて自分のしたことに気が付いた。私は友人にこんなに酷い怪我をさせてしまった事に後悔していた。目覚めたら謝ろうと思った私であったが、謝れる状況は来なかった。

 小百合は1週間後に目覚める。だが、記憶喪失となっていた。皆は、小百合を心配しまくっていたが、私は輪に入れなかった。私が初めて話したのは皆がいない時だった。

「ねぇ、貴方は、どんな本が好きなの?」

 そのセリフは、私と小百合が友達になった一言だった。


「私は、どうしたら・・・・・・いいんですか・・・・・・。どうしたら、この罪悪感から解放されるんですか・・・・・・?」

 姫子は泣きながら嗚咽を漏らす。

「罪を告白するべきです・・・・・・」

「ウェ?罪を・・・・・・告白?」

「友達でしたらきちんと告白するべきです!小百合さんに全てを話して許してもらうべきです!」

「でも、そんなこと知られたらと思うと小百合の軽蔑する顔が浮かんでくるの・・・・・・。それで、何を言われるかが怖くて・・・・・・」

「平気ですよ、友達だったら理解してくれるはずです・・・・・・」

「あ・・・・・・安美ちゃん・・・・・・」

「これは、試練なんです!逃げちゃいけない試練なんですよ!頑張って戦うべきなんです!私は、姫子さんの様な子羊はたくさん知ってるんです!罪を告白しないと後悔しちゃうんです!」

「でも!」

 私と安美ちゃんで口論していると姫子が席を立った

「そう・・・・・・よね・・・・・・。これは私の問題・・・・・・。私一人で何とかするわ」

「ま・・・・・・待って!」

 私は、姫子を止めようとしたが、彼女は背中を向けたまま言い放った。

「でも、私の蒔いた種だし・・・・・・」

この言葉に対し安美は最後の抵抗で声を掛ける。

「この喫茶店の役割は、あなたのような子羊を助けるための喫茶店です!でも、私の考えは変わりません!罪を告白してください!そうすれば全て丸く収まります!」

 だが、姫子は首を横に振った。

「いいわよ・・・・・・。私は罪悪感を背負って生きていく」

 そのまま、彼女は喫茶店を後にした


 私、姫子は喫茶店を飛び出し数日の日々が過ぎていたが学校には行けなかった。主役は小百合に決定したと友達からも連絡が来て姫子は涙を流した

「もう、小百合に会えないよ・・・・・・。小百合に会ったって罪悪感が芽生えるだけなんだから!」

 私は一人、部屋の中で叫んだ。

 私は、一頻り泣いた後、気分転換のつもりで外に出て大好きな野原に向かった。


「え?私が主役!?」

 小百合は驚いた顔をしてペタリと座り込む。

「姫子ちゃんの・・・はずでしたよね・・・・・・。主役は・・・・・・」

 小百合は突き飛ばされる前の事を口にした。

「お前、どうしてそれを!?」

 先生は口に手を当てソッポを向く

「病院で姫子ちゃんに聞いたんです・・・・・・」

 だが、小百合の言った事は嘘であった。

 遡る事数日前

「ねぇ、貴方はどんな本が好きなの?」

 小百合は姫子の目を見て聞いてきた。だが、姫子は突き飛ばしてしまった罪悪感から小百合とは話せなかった。姫子はお見舞い品を卓上に置いて逃げ出すのだった。

 現在

「そう、だったのか・・・・・・。残念だが姫子は舞台を降りたんだ。それ以上に学校も辞めるそうだ・・・・・・」

 その言葉を聞いた途端、小百合の肩は大きく揺れた。

「姫子は、どこに居るんですか?」

 だが、先生は何の事か分からず首を傾げる。その姿に苛立ちを覚えて胸倉を掴んでしまう

「どこに居るんですか!姫子は!」

 小百合は泣いていた。色々な事を思いながらさらに苛立ちが沸き上がる。

「家じゃないか?」

 先生も動揺しながら小百合に話す。その途端に先生を離し体育館の入り口に立つ。

「すいませんが主役は辞退させて貰います。あの舞台の主人公を一番理解しているのは姫子の筈ですから・・・・・・。ですから必ず連れ戻します!姫子を退学なんかにはさせない!あの舞台に立って主役を演じてもらう!」

 そう言うと小百合は体育館を出て行った。

「あのバカを止めないと!早まったマネをする前に止めないと!」

 小百合は泣きながら姫子の家を目指すが居なかった。


 その時、姫子は野原で横になりながら色んな事を考えていた。演劇の事・幼い日に見た憧れ・・・・・・。でも、現実はそんなに簡単にいかなかった。自分は主役の事しか頭に無く、それによって、友人に大きな怪我を負わせてしまった。

 小百合に怪我をさせた事に罪悪感を覚えた姫子は、学校へ行き退学する事を伝え演劇部の顧問には小百合を主役にするべきだと伝えた。

「いまさら小百合にごめんなさいなんて言えないよ・・・・・・」

 姫子は涙を流した

「姫子ちゃん!」

 そんな時に聞き覚えのある声が響き渡った。

 声をした方を振り向くとそこに居たのは夕日に照らされた少女、江奈川小百合だった。

「小百合・・・・・・。どうしてここに?」

 小百合は何も言わずに佇んでいた。

「姫子こそどうして主役を降りたり学校を辞めたりしないといけないの?」

 小百合は何も知らない振りをして姫子に問いかける。

「小百合には話せないよ・・・・・・」

「そう、友達にも話せない事なんだね・・・・・・」

 そう呟いて小百合は踵を返して帰ろうとした。

 姫子はその時に安美の声が蘇った。

 友達だったら、理解してくれる筈・罪を告白するべき・・・・・・。

「小百合、ちょっと待って!」

 私は小百合を呼び止めてしまった。

「・・・・・・何?」

 小百合は後ろを向いたまま返事をする。

「今から話す事は最低な話なんだけど友達で居てくれる?」

「どうしたの?改まって・・・・・・。私はずっと姫子と友達だよ」

 小百合は拳を握った

「じゃあ・・・・・・」

 姫子は唾を飲み今までの事を話し始めた。演劇部の事・小百合と主役争いをしてしまった事・・・・・・小百合を道路に・・・・・・突き飛ばしてしまったこと・・・・・・。

「全部、知ってたよ・・・・・・」

「え!?」

「記憶喪失ってのは嘘!!奇跡的に無傷だったんだよ!!車にひかれた時!!・・・・・・でも、告白してくれてありがとう!!私はそれだけでも、凄く嬉しいよ!!」

 そう言って、ニコッと笑った笑顔は昔に戻ったような気がして涙が溢れてきた

「さぁ、学校に戻ろう!皆が待ってるよ!」

 そう言って手を差し伸べる小百合。

「でも、皆も知ってるんでしょ・・・・・・。小百合を突き飛ばしたのが私だって・・・・・・」

 それを聞いて小百合は首を横に振る。

「誰にも言ってない・・・・・・。私の不注意で大怪我をしたって事になってるよ・・・・・・」

 小百合はにっこり笑って手は未だに伸ばされている。

「これからも誰にも言うつもりはないよ・・・・・・」

 その言葉を聞いて姫子は安美の言葉を思い出して小百合の手を握り返した。次の日から小百合と私の関係は元に戻って、笑い話をしながら登校するのだった。そして、主役の座をかけて争いもしたけど、今では隣には絶対に彼女がいないといけない。そういう関係になっていた。

 安美は、コーヒーを飲みながら本を読んでいたが、パタンと閉じる。安美の読んでいる本にはすべての結末が書いてある。それを信じるかどうかは安美次第であるが・・・・・・

「みたいですね・・・・・・。ま、私には分かっていましたよ・・・・・・。小百合さんと姫子さんが仲直りするって事ぐらいはね・・・・・・」

 その時、安美の頭を頭痛が襲った。彼女にも忘れてはいけない過去がある・・・・・・。もしかしたら、一番の迷える子羊は彼女かもしれない。

 (頑張ってね、安美ちゃん・・・・・・)

  そんな声が聞こえた気がした。

初めまして、ペンネームカフェハーブです。今回は第一話を読んで頂きありがとうございます。この物語では、毎回、こんな感じで進んでいく感じとなります。

なので、ふとした合間や疲れて休憩したいと思う時に、ピッタリな作品です。

この物語を作るきっかけになったのはご注文はウサギですか?という作品を見てシリアスに変えてみたいと思った結果、生まれた物語です。

最初から、安美ちゃんの謎が発生してきて一体どうなるんだという感じですが続きは次回でよろしくお願いします。

では、第2話をお楽しみに

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