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ラズリの世界  作者: 遠藤ゆきな
1/2

希望を探して

ここはフォルド家の屋敷。暗く長い廊下を召使いのアシュリンは進んでいた。一つの扉の前に立つ。

コン、コン!

「失礼します」

部屋には大きなベットに寝た男性と、その娘だけ。男性は少しも動かない。少女の疲れた顔がロウソクに照らされる。

「ラズリお嬢様、新しいタオルとお湯をお持ちしました」

「ありがとう」

早速ラズリはタオルで父親の顔の汗を拭いた。

「お嬢様、後は私が見ますので、お休みになられた方が…」

「ダメ、ダメなの。私がいなくなったら、叔父に殺されてしまう!」

「え?」

「叔父は金目当ての強盗だというけど、本当に父を撃ったのは叔父よ!」

アシュリンは驚いた。なぜそんな事を、他の誰かに聞かれたら…

「お嬢様そのような事を言ってはいけません。やはり疲れています、休みましょう」

「でも…」

「では毛布を持ってくるので、そこのソファで休んでください」

「……アシュリン、ありがとう」


次の日は朝早くから病院の先生に来てもらった。銃で撃たれたが急所を外れており、傷の治りも良いらしい。

そしてフォルド家の朝食にはラズリとラズリの母と弟、叔父が席に着いた。

「まあ、兄さんが撃たれたと聞いた時は驚いたけど、命に別条は無いみたいだから良かった」

「本当にそう」

母は涙ぐんでいたが、ラズリは叔父の疑いが晴らせなかった。

「ごちそうさま」

「あら、ラズリもういいの?」

「ええ」

(父を殺したかもしれない人と一緒に居たくない。それに調べたい事もある。

そう…叔父の犯行の証拠を掴みたい!)

ラズリは部屋を出た。


(父は純度の高く貴重な水晶「フォルドクリスタル」を若いときに発見し、叔父と会社を立ち上げたと言っていた。私は叔父がその利益を独り占めしようとしてると考えている。だから父を殺そうとした)

ラズリは自分の部屋で必死に考えていた。

(何の用で父は出掛けたんだろう?やっぱり、事件の現場を見ないと!)

部屋から出てラズリは驚いた。アシュリンが廊下の壁際に立っていた。

「お嬢様、どちらに行くのですか?」

「いや、その…」

「まさか旦那様の事件の現場ですか?」

「どうして分かったの!」

「やはりお嬢様は、犯人を捜すつもりだろうと思ってました」

「……」

「どうしてそこまでするのですか?」

「このままだと叔父に会社を取られてしまう気がするの…だから!」

「分かりました。一緒に行きます」

「え、本当!」

「私はお嬢様を守ります。まずは服を替えてください」

「どうして?」

「事件の現場には、すでに大勢の警察と記者がいます。身分がばれると危険です」

「そうね、分かったわ」

そうして二人は新聞記者のような格好で屋敷をこっそりと出た。


ラズリは街に出るのは初めてだった。いつも車の窓から見ていただけ。アシュリンに案内してもらい、事件の現場にたどり着いた。そこには多数の人がいた。アシュリンは一人の記者に声をかけた。

「何があったんですか?」

「あそこに車がひっくり返ってるだろ。乗ってた金持ち殺して、荷物を盗んだらしいのさ」

「その人はまだ死んでませんよ」

「何で知っている?」

「私達も記者ですから」

「フン!金持ちが死んでたら面白い記事になったのにな」

「な…!」

ラズリが声を出そうとしたところで、アシュリンが止め少し人気の無い方に連れていった。

「何で止めたの、アシュリン!」

「お嬢様が怒る気持ちも分かりますが…これが現実です」

「…え?」

「見えますか、路地裏のあの少年。親もいなく、満足に食べ物も食べてません」

「……」

「そういう子や人が世の中にはたくさんいます。そうするとお嬢様のような金持ちを憎く感じてしまうのです」

「そんな…」

「お嬢様は今までクリスタルをアクセサリーにするようなお金持ちの方々しか知らなかった。あの子の事を知ることは出来なかった。世の中は分からない事が多い。だから、家族は分かりあって絶対に裏切ることは無いんです」

「……」

「まだ調べますか?」

「ええ、アシュリンの言ったことが本当かどうか」

(私の世界はせますぎた…)

「それでは、犯人について調べましょう」


人をかき分けて二人はひっくり返った車の中が見える所まで来た。

「どうやら、フォルドクリスタルを運んでいたんでしょうが…盗まれてますね」

「ええ…あ!お金のバッグがあるわ!」

「あれは手つかずですね」

「どういうこと?」

「犯人はクリスタル目当てで、盗むときに旦那様を撃ったんです」

「クリスタルは家にもあるわ」

「やはり犯人は叔父上様ではありません」

「…そう」

「帰りましょう」

二人は静かにその場を去った。


帰る途中二人はこんな話をした。

「フォルドクリスタルを持っているのは本当に一部の人間なのね」

「はい。やはりお金持ちの方々です」

「そう」

「…旦那様と叔父上様も最初は貧しい暮らしをしていたそうです」

「え!」

「そこにクリスタルを見つけて今の暮らしを手にしたそうです」

「そう。そうだったの…」

ラズリは何かを決心した。


屋敷に戻り元の服に着替えると母が慌ててやって来た。どうやら父が目覚めたらしい。父の部屋に入る。叔父もいた。だがラズリに叔父への疑いはもう無い。父はベッドに寝たままだったが、意識はハッキリしていた。

「心配をかけて済まなかった」

母は涙を流していた。父は叔父に問いかけた。

「運んでいたクリスタルは?」

「盗まれてしまった。だけどお金は無傷で後で警察から返されるらしい。兄さん無事で本当に良かった」

「そうか。ラズリとムーンにも心配させたな」

「お父さん話があるの」

「何だ」

「ムーンが会社を継ぐのは分かっているから、私を会社で働かせてほしい」

「急にどうした?」

「私、アシュリンと街に出たの。ごめんなさい。でも、そのおかげで知りたくなったの。私の世界を広げたい!」

「働いてどうする?」

「街のみんながクリスタルを見つける事は出来ない。でも、小さな幸せを見つけられる会社にしたい!」

「…ラズリの気持ちを初めて聞いた。分かった。まずは、色々な事を学びなさい」

「はい!」

母、叔父、弟は驚いていたが、ラズリの希望は世界の色を変える。そう父は感じていた。

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