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NITE -傷だらけの翼-  作者: 刀太郎
第2章 現在編-悲劇の産物-
18/69

18話 Dear Brother

 前方に暴れまわっている異形の者を倒すべく、俺は再び立ち上がった。

 それは、正義の行使による個人的な優越感でもなければ、誰かに強制させてられたものでもない。

 誰かが繋げてくれた光を残す為に、自分の信じた道を突き進む為に握る拳。

 あの時の少年が俺に託したモノをしっかりと零さないよう、拳を握る。

 茶色の包帯が巻きついているような装飾の入った錆びかけの銅でできているハンドアーマーは元からこういう仕様だった。

 だが、それでも疑問なところはある。腕だけガードしても他のところをガードできなければ意味がない。だが、このハンドアーマーとセットになって正式登録されているのは1つだけだった。

 そして、俺はその1つが何なのか知っていた気がした。

 隣に立つ燐を一瞥する。

 そして、小さく頷くと、一斉に地を蹴って奴に向かって突進する。

「ハァァッ!!!」

「ハァァァァ!!!」

 大きく出た燐の左脚に追いつくように、俺の右手もまっすぐ突き出した。

 突き出された2つの衝撃は確実に奴の両肩に当たった。

 既に両腕がない異形の者はバランスを崩し、後方に仰け反る。つたない足の運びで今にも倒れかけそうだった。

 だが、最後の力を振り絞ったのか、それとも隠された力なのか、異形の者は無くなった両腕を再生させようとした。

 引きちぎれ、無惨に血が流れ出している腕の断面から、ナイトブレスの召喚のように手を生成させた。再生した手は元の人間の手ではなく、機械のような手に変異していた。伸縮する機械の触手が敏感に動きまわり、神経が通っているかのようにビクンと跳ねる。

 光の線が体に纏わり付き、みるみる内に装甲を作っていく。

ー あれも窒素が元になっているのか?

 これまで、ナイトブレスの仕組みについては全く考えてもいなかった。

 だが、いざよく考えると、ありえないという結論に至る。

 今現在の現代科学において錬金術というものはまだ大成していなかった。それ以前に、錬金術など仮想の戯言に過ぎないと思われていた。

 だが、大災害ポータルナイトにより京都が全滅してからというもの、世界各地がナイトブレスを普及し始めた。

 元々復興支援用の機械だったはずなのだが、いつしかMR対戦ゲーム用のデバイスと成り果ててしまっていた。そして、警察や政府までをも巻き込んで、今や欠かせない機械になってしまっている。それは情報の統一化にも繋がるが、それでいて危険性も伴ってしまう。

 ほとんどが機械に成り果ててしまった異形の者はうねる触手で俺たちを攻撃してきた。

 右往左往、拡大収縮、攻撃防御を繰り返す攻防一体の体制に俺たちはなす術をいつしか失っていた。

 右側に廻った俺は両手に思念を寄せ、脳内で連続詠唱する。

ー クライシス インパクト、クライシス インパクト...

 微かに光を帯びるアーマーを真っ直ぐ突き出す。

 しかし、連続攻撃はなんなくかわされ、触手を壊そうにも、すぐに再生するそれは殴っても殴ってもキリがなかった。

 左側に廻った燐も、自慢の蹴りを食らわせるも一向にダメージは愚か、触手の一本も結局は潰せてはいなかった。

 燐の表情が険しい。眉にシワが寄っている。

 反撃の一手が俺の脇腹を抉ろうとする。反り返った機械の触手を左腕で防御する。だが、力強い触手は俺の体を腕ごと吹っ飛ばされた。

「仁!!」

「ハァッ!」

 俺は3度目のバックステップで着地、そして地を蹴って反撃の一撃を食らわせる...と、思ったが、それは叶わなかった。

 ただ吹き飛ばされただけではなく、触手は俺の右足に巻き付いていた。

 巻き付いていた右足が体のバランスを崩させ、俺は着地に失敗してしまった。左足のみで着地した俺は足を挫き、豪快に転倒してしまった。

「くそっ...うっ...」

 挫いた左足が俺の次の行動を阻害した。

ー 足が...

 前に進もうにも進めない。

ー 足が痛いというか、力が出ない。

 手を地面に立てて体を起き上がらせる。

 今にも燐に加勢したいところだが、今のステップの遅さではただの足手まといになることぐらい自分でもわかっていた。

 俺は渋々前だけを見つめて戦況を伺うしかなかった。

 さっき俺の足に巻き付いていた機械の触手は右手で引きちぎったものの、一瞬の隙に巻きつかれれば体制を崩されるのも無理はなかった。

 もし、次に燐が喰らえば、完全に状況は一変し、形勢逆転の可能性は極めて高くなってしまう。

 そうなる前に勝負を決めなければならなかった。

 俺は思考をフル稼働させ、最強の一手を考えた。


 仁が気持ち悪い怪物に吹き飛ばされ、一時戦闘不能になってしまった。残るは俺だけ。だが、この怪物の異様さには驚いた。

 これまでの召喚モンスターとは全然違う。

 今までたくさんのモンスターを討伐してきたつもりだったが、こんなモンスターは初めてだった。初見は人間のようにも見えたが、いざ戦ってみると、その容姿や言動は俺の知っている人間ではなかった。

 故に俺はさっさと戦闘に乗り出したが、考えが甘かったようだった。

 うねうねと気持ち悪く動き回る機械の触手が隙あらば体に巻き付いてこようとする。

 俺はそれを力づくで振りほどきながら得意の蹴りを連発した。

 だが、その甲斐も虚しく、消失したはずの触手を始め奴の体は一瞬で再生した。

 モンスターの自己再生能力はモンスターによって変わるが、早くて30秒だった。それでも手こずるというのに、奴はものの数秒で再生してしまう。

 奴を倒す方法は既にわかっていた。

ー 協力詠唱による広範囲爆撃スキル「ダイナマイト・ホッパー」通称、ブラザーフット

 俺と蓮が二人で作り上げた超強力なスキルだった。

 普通、スキルは個人製作できない。だが、スキルとスキルを繋げてオリジナルのネームをつけてナイトブレスに保存することは可能だった。

 だが、それには長時間の処理が必要で、スキルの詠唱を全て同時に行わなければならなく、同時に発動できるのは一つの武器につき一つまでだから、この技は二人以上で完成する技が絶対条件と言われていた。

 カルデァルシティで俺と蓮はこの協力詠唱を完成させようと頑張っていた時期があった。

 同時詠唱ということは、口には出せない思念の言葉を意思疎通している複数人が同時に頭の中で叫ばなければならない。この難易度は計り知れない。

 だが、俺たち兄弟ならできると思っていた。

 生まれついてから俺と蓮は悲痛な人生を送っていた。両親は蓮を産んだ後程なくして他界。理由は夫婦喧嘩だった。詳しくは知らなかったが、争った二人がどちらも誤ってどこかに落ちたとか。残された俺たちに待っていたのはあまりにも残酷な現実だった。

 まだ生まれて幼い蓮を守る為、俺はなんでもした。盗み、恐喝、裏取引。子供でもできることならなんでもしたし、通常の子供が高校生になっているであろう時には、社会の裏組織に間接的にも繋がっていた。

 だが、ある日蓮が俺に言った。

「兄ちゃん。悪いことはダメだよ」

 当時なんとか生計を立てて中学校に行かせていた蓮は教養というものを身につけ、俺とは正反対で、礼儀正しく、正義を何よりも重んじた奴だった。俺みたいな奴が側にいていい人間ではなかった。

 ある日、俺は考えてしまった。

ー 今の蓮はもう俺の知っている蓮ではない。

 無性に悲しくなった。だが、そう思うことで気持ちが軽くなったのも事実だった。

 それからというもの俺は蓮に対して冷たくなったと同時に、蓮と同じ立場でものを言うようになった。

 そして、年月が過ぎ、蓮の正義と俺の力が合わさり、俺と蓮は同じ街の警官になった。

 喧嘩っ早い俺を止めるのが蓮の日課になり、いつしかそれに甘えていた俺は正義の行使を間違ったことに使ったこともあった。

 だが、時折見せる蓮の優しい笑顔に俺の胸が苦しくなった。

 去年の雨の降るある日。俺はあの時初めて蓮の本当の優しさを知ってしまった気がしていた。

 俺の暴走を止める為に必要な蓮の慈愛はあまりにも大き過ぎた。

ー 死ぬまでして守るんじゃねぇよ...

 俺は頰に垂れる雨粒を涙に例え、自分を呪った。涙の一つとして出なかった。涙を流したら、本当に俺は最低な人間になってしまうと思ってしまったからだった。

 もっと早く気づいてあげればよかったと。もっと早く蓮の慈愛を正面から受け止めていれば、こんなに後悔しなかったはずだと何度も思った。

 そして、愚かにも俺はその呪いの対象をいつのまにか穂村 仁という一人の男になすりつけてしまっていた。蓮が命を張って守った人を俺は呪ってしまっていた。

 それが蓮の行動を否定することに気づくのに、また時間がかかってしまっていた。

 必死に一人の少女を守る彼の面影が、いつしかの蓮に重なってしまった。そのとき、不意に聞こえた気がした。

ー 兄ちゃん、行って。彼の為に戦ってあげて...

 俺と蓮が一緒に開発していた同時詠唱を必要とする大型スキル「ダイナマイト・ホッパー」はとうとう完成しないまま、俺のナイトブレスに眠ったままだった。

 だが、そのナイトブレスもこれで永遠のおさらばだ。

 もともと不調続きだった俺のナイトブレスは、いつも蓮が調節してくれていた。蓮がいなくなってから、俺のナイトブレスは不調を直されないまま、強引な俺の戦いにずっと耐えてきた。

 だが、それも今の武器召喚で最後だった。

 そして、不覚にも仁のいた道場で奴と一緒にいた女に気づかれてしまった。

ー 少々荒く使い過ぎたようだ...

 そっけなく仁の心配をかわしたつもりだったが、ここで負ければ次はもっと心配をかけることになる。そこまで彼らに気を使わせる気はなかった。逆に、使ってほしくもなかった。

 限界を突破した俺のナイトブレスにできるファンクションはもってあと一つだった。

 一定の距離をとりつつも俺は適宜怪物に蹴りを打ち込んでいた。だが、奴のHPは減る兆しを見せなかった。その理由は先ほども言った自己再生能力だ。減ったHPを再生能力でカバーしているのだ。

 やはり、これを打破する方法は一撃で奴にHP全損の技を繰り出すしかなかった。

 フル回転させた頭の中にはそれしか思いつかなかったが、それが到底不可能なのも重々承知だった。なぜなら、まだ一度も成功もしていないし、何よりも、相棒の蓮がここにはいない。自分の頭の中で二つの言葉を当時に言うことなんて俺にはできなかった。

 キックとパンチを同時に発動し、それぞれを同期させている為、威力は倍増し、連続で繰り出すスキルの行動パターンは少し自由が効き、オリジナルは作れなくともそれに匹敵する技は出すことが可能なのが同時詠唱だった。

 この戦いにもう勝ち目はない。そう感じるのは早かった。

 自然とやる気が消えていく。いつしか俺が放った熱い言葉が宙を舞う。

 だが、そんな俺に一閃の言葉が突き刺さった。


「燐!これを、受け取ってくれ!!」

 頭をフル回転させた結果、俺がたどり着いた答えは一つだった。

ー 同時詠唱による広範囲の爆撃スキル

 聞いたことがあるだけだったが、確か燐は弟の蓮と一緒に同時詠唱なるものに挑戦しようとしていたらしかった。その難しさは計り知れないが、それにかけるしかなかった。

 自己再生能力を持っていると思われる奴を倒す方法は、HP全損の巨大スキルの発動だった。

 レイズにいた頃、一度だけしたことがあった。だが、それは同時詠唱とは名ばかりで、同時詠唱といよりは同時合唱と言った方が適切なほどだった。

 そんなこんなで俺はこれまで同時詠唱をしたことは一度もなかったわけだが、俺は燐にこの方法に一縷の望みをかけた。

 同時詠唱の発条件としてある、一つの武器につき一つのスキルしか同時に発動できない、というものを解消する為、俺はあるものを燐にアイテムトレードを申請した。

 燐の弟、蓮が俺に最後に託した武器だった。

 使用者の生体反応を失った場合、当人のナイトブレスは完全にセキュリティロックされ、24時間後、中身が初期化されるようになっている。なぜそのようなシステムになっているのはわからなかった。

 だが、死ぬ直前、あの少年は俺にわざわざ託したのだ、自分の持ち武器を。

 そして、同時に俺はあの時の彼のメッセージもそのアーマーに乗せて伝えた。

 とっさに振り向いた燐に言い放つ!

「アイテムトレード!」

 素早い反応速度で燐は同時に叫んだ。

「アイテムトレード!」

 瞬間、俺のナイトブレスにあったパンチアーマーのアイコンは消滅し、燐のナイトブレスに転送された。

 これで俺にできることは終わった。

 そう思った時、ふとどこからか声が聞こえた気がした。

 若い少年の声。雨が降る音でうまく聞き取れない。ところどころ聞こえるフレーズを必死に脳内で再生する。

 煙のように瞬く間に聞こえなくなった言葉は俺に感傷を与えた。

ー ありがとう...

 その言葉を聞いた時、やっと本当に役目を終えた気がした。

 不意に涙が流れた気がしたが、それは幻覚だろうと心の中に仕舞い込んだ。

ー 伝えなければ、あの言葉を...

 パンチアーマーを受け取った燐の目には驚愕と感嘆と決意の色が映り、いつしか後悔の色は真っ白になって煙のように消えていた。

 

 久しぶりに見た蓮の武器はデータなのだから古びていたわけでもなく、一年前までとなんら変わり無いアイコンで表示されていた。

 だが、だからこそ、昔の面影を消さずに、何も残っていない俺の心の隙間をそれで埋めてくれたきがした。

 仁も同時詠唱に気づいていた。

ー ならば、やるしかない。

 俺は最後のファンクションを実行するべく、右腕に巻きつくナイトブレスを強くフリックした。

 すると、みるみるうちに俺の腕に光の線が纏わりつき、その内側を茶色に染めてゆき、順々に金属の重さを俺の腕に伝えた。

 初めて蓮の武器を装備した。そして、これが最後のチャンス。

 ふとそばに蓮がいる気がした。

 見えなくとも、その暖かいものが俺を優しく包んでいくのが感じられた。

ー 大丈夫、兄ちゃんならやれるよ。

 そんな言葉を胸に、俺は一世一代の超巨大スキルの前人未到の同時詠唱を発動した。

ー ブラザーフット...ブラザーアーム...

 いつしか一緒に決めた詠唱するスペルが脳裏によぎる。

 隣にいる蓮が笑顔で決め台詞を言う。

「ブラザーアーーム!!」

 それを俺はバカバカしく笑ってのける。

 いつの日か夢見た日常。もう戻れないあの日を思い描く。


ー 兄ちゃん、ずっと言えなかったことがあったんだ...


 ナイトブレスから電子音が鳴り、システムコール音が鳴る。

『同時詠唱発動 ファンクション:ダイナマイト・ホッパー』

 四肢に装備した金属の鎧が光り輝く。


ー 俺、全部知ってるんだ。兄ちゃんが、ずっと俺の為に悪いことをしているってこと...


 うねる触手を両腕で振りほどき、怪物の懐に必死で潜り込む。

 そして、右足に意識を集中させ、一つ目のスキルを発動させる。

 

ー でも、それを知った時、俺、嬉しかったんだ...


 低く曲げた右足で目一杯に地面を蹴り、大きく右足を伸ばし、右足の甲を怪物の顎に当てる。

 怪物が宙に吹き飛ばされる。


ー それと同時に、やっぱり悲しくも思ったんだ...

 

 宙に舞った怪物が空をもがく。

 左手の甲を右手のナイトブレスに重ねる。


ー だから、兄ちゃんには自分の為に生きていてほしいんだ...


 怪物が空中浮遊を終え、真っ直ぐ堕ちてくる。


ー 友達をいっぱい作って、いっぱい遊んで、ときには恋もして...


 頭の中で二つ目のスキルを発動させる。

 重ねた両手を大きく横に広げる。


ー そんな日常を、これから兄ちゃんには送って欲しいんだ...


 左手を真上に持ち上げ、右手は腰に持ってくる。

 左の親指を広げ、照準を合わせる。右手の拳に力を入れる。

 蓮の得意技「ダイレクトアッパー」。


ー 俺は少し早く行くけど、兄ちゃんはゆっくりして来てね...


 天から降り注がれる陽光の影を瞳が捉える。

 全ての想いを、願いを、この一撃に収める。

 全力で右手の拳を真っ直ぐ上げる。


ー それが、俺の兄ちゃんへの最後の願い事...


 激突した拳は怪物の胴を貫通する。同時に最後のスキル、ダイナマイト・ホッパーが発動する。

 右腕を中心に幾つもの爆発が広がり、爆風が辺一体を駆け抜ける。炎のエフェクトが怪物を包む。

「グウォォォォォォ...」

 悲痛な叫び声と共に、怪物のHPゲージはみるみるうちに0に近づき、ついに消失させた。

 電子がふわりと現れ、右手にかかる重圧が軽くなっていく。

 光の線になって怪物は消えてゆく。

 現れた光の粒は風にのって遠くへ消え去り、完全に姿を消した。

 再び訪れる静寂の中、右腕のナイトブレスから焼けるような音が聞こえた。

 ふと目の前に持って来た俺のナイトブレスは既に壊れており、透明のディスプレイには大きな亀裂が入っている。時折火花が飛び散る。

 それが、俺の命がなんとか取り繋いだことをあらわしているようだった。

ー なんとか、命だけは助かったみたいだな...

 俺は壊れたナイトブレスを見つめ、最後にどこからかから聞こえた言葉を思い返す。

 いつしか俺の自慢の武器であるレッグアーマーも、蓮のパンチアーマーも怪物と一緒に俺の体から消えていた。

 後ろで仁が俺を見つめる。

 安心した様子で俺を見つめる彼の瞳には今朝の迷いはなかった。それが何よりも心の支えで、俺の後悔を消していく気がした。

 俺は何年振りかの笑顔を彼に向け、そっと振り返る。

 彼が何か言いたげにしそうになったが、俺の気持ちを察してくれたのか、言葉には出さなかった。

 俺はただただその瞳に映る光を見つめていた。

ー 俺、お前みたいに何かを守れたのかな?

 そうであると俺は信じ、前に一歩進む。光の先にあるものを掴む為に、もう一歩進む。蓮がくれた未来を俺は掴む為に、またもう一歩進む。

 その先に伸びる道に待つ何かを俺は心のどこかで期待しながら、前進した。


ー 迷惑ばかりかけてごめんね。そして...


 今でも忘れない。忘れてはいけない。俺がずっと心の中で求めていた言葉。

 目に滲むものを手で拭いながら一歩ずつ踏み出す。

 戦いの最中、俺の脳裏に語りかけて続けてくれた言葉。


ー 俺の、自慢の兄ちゃんへ。...本当に..ありがとう。


18話 Dear Brother を読んで頂きありがとうございます。


蓮の言葉を受け取った燐。彼がこれから歩む人生に幸あれ。


次話、19話 悪夢の始まり は明日(2/15) となります。


ついに、大きな陰謀が動きだす。そして、彼は立ち上がる。

「豪炎の解放」編、始動!


次話以降もよろしくお願いします。

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