91話
下級悪魔だったはずが攫った悪魔達に吸血樹を植えつけて実食べ続けたギュンターがすでに高位悪魔並みの魔力を手にいれ、更には魔界と地上を我が物にせんとしている事がわかった。
「愚か者が!その程度で儂に勝ったと思うなよ!」
とアリトンさんが再度攻撃仕掛ける。
「お前たちも行け!」
とギュンターの言葉で動き出した覆面の悪魔達。
「ウッドゴーレムたちはここにいる、全ての人を守れ!」
僕は残り5体のウッドゴーレムたちに命令を下した、戦闘の余波で傷つけないように。
アイク達護衛のメンバーはそれぞれが上級悪魔だ。
それでも戦闘力としては互角でも数が多い。
僕は蔦をだし、根を張り詰めていつもの攻撃にうつる。
下からの根による攻撃と上からの蔦からの攻撃で敵を翻弄する。
何とか、数を減らして拘束していくが、上級悪魔たちは、そう簡単には捕まら無い。
今は、アイク達皆のサポートにまわっているところだ。
ギュンターとアリトンの戦闘はどうやら、ギュンターの方が押しているようだ。
「閣下の動きが読めますよ、いとも簡単に、ね!」
とギュンターのボディブローがアリトンに見事に決まった。
「グハッ!」
「ハハハ、あのアリトンもここまでのようだ、さて私の同志を紹介しようか?」
そこには4人の悪魔が立っていた。
「この悪魔達も私には及ばないが高位悪魔だ。今の閣下、いや。アリトンではかなうまい。やれ!」
4人の高位悪魔に翻弄されるアリトン、もう見ていられる状態ではなかった。
僕は、木竜を生み出し纏う。
「グオオオオォォォ」
雄たけび上げてまずはアイク達を助ける。
「なに、ドラゴンだと!?」
ギュンターが驚きの声をあげる。
僕はより強力になった力で上級悪魔達を捕縛していく。
そして、アリトンさんの横に並ぶ。
「まだ、隠し玉を持っていたのかユキ殿、助かるぞ!」
とアリトン。
僕とアリトンで高位悪魔4体を相手取る。
4体の高位悪魔達は1体1体はアリトンより、弱い。
2人とアイク達の援護があれば、そんなに時間はかからなかった。
1体の悪魔を蔦で攻撃している間に本体の僕がもう一体を仕留める。
そして、そのすきにアイク隊の援護がはいり、もう1体も僕が動きを封じる。
アリトンもアイク隊の援護を受けながら2体を相手どり、なんとか2体とも倒した。
「これで、形勢逆転だなギュンター!」
と、アリトン。
「言ったでしょう、彼らは私には及ばないと。いくらアリトンとそこの木できたドラゴンでも私にはかなわない」
そういった瞬間に僕は吹っ飛ばされていた。
木竜の装甲に亀裂が入った。
すぐに治癒の力を使い回復させる。
アリトンもすぐ横まで吹っ飛ばされて来た。
アリトンにも治癒の力を使い回復させる。
「回復魔法か、助かるユキ殿」
「いえ、しかしどうしましょうか? 本当に強い。何か勝算はありますか?」
「それは当たって砕けろだ!」
「それは勝算とは言いませんがそれしか現状ないようですね」
僕とアリトンは攻撃を仕掛ける。
がこれも受け止められてしまう。
何度も攻撃を仕掛けては吹っ飛ばされを繰りかえしているとアリトンの体力も限界を迎えたのかついに動かなくなってしまう。
僕の治癒の力で傷は治せるが体力までは治せない。
そしてそれは、ギュンターも同じだ。
僕は体力が続く限り攻撃を繰り返すし、傷をいやし何度でも立ち上がる。
ギュンターの体力を回復させるわけにはいかない。
ここで魔力を使い切ってもらう。
「全くしつこい!いい加減に死ね!」
とギュンターが特大の炎の魔法をぶつけてくる。
それを水のエレメンタルを召喚し防ぐ。
そしてまた攻撃に移る。
2時間ほどだろうか、ようやくギュンターの魔力も尽きようとしていた。
「この化け物め!」
と、ギュンターにも焦りが見え始めた。
もう少しだ。
僕は気力だけで戦っているようなものだ。
元々戦闘は苦手なんだ。
だからいつも避けられるしガードもされる。
ただ、世界樹の化身としての利点は回復力と体力だ。
長期戦に持ち込めばこちらが勝つ!
僕は再度ギュンターに向かって行く。
「何度も同じ手が通じると思うな!炎よ我が敵を焼き尽くせ!」
僕は、水のエレメンタルと風のエレメンタルを召喚しブレスとして吐き出す。
炎と水で大量の水蒸気が溜まっていく。
ここは地下室でほぼ密閉状態に近い。
まずい!
と、思いみんなを守るために木の根、蔦を張り巡らせ壁を作る。
ドオン!
と巨大な音と共に大爆発が起きた。
水蒸気爆発だ。
みんなを守るために壁になったが上手く守れただろうか?
そしてギュンターはどうなった。
流石のギュンターも相当なダメージをくらったはずだ。
ギュンターは確かにダメージを負っていてもうボロボロの状態だったが、まだ生きていた。
「世界樹の化身、そこをどけ。私はまだ強くなれる。吸血樹の実さえ食べれば、この傷も癒えるはずだ」
「まだそんな事を言ってるのか!もうお前の負けだ、諦めろ」
「うるさい、黙れ! わたしはルシフェルさえ超えて地上と魔界を征服するものだ。こんなところで」
「私がなんだって?」
そこに現れたのは、ルシフェル本人だった。
「私だって、魔界を平定したものの、この荒れ果てた大地が残っただけだ。貴様には無理だよ。そして、貴様の思想は危険すぎる。今ここで朽ち果てよ!」
ルシフェルは一瞬でギュンターの核を貫いて、そのまま握り潰してしまった。
「しかし、派手にやったものだな、そこの木竜よ。いや、気配からしてユキ殿か」
一瞬で見破られた。
僕は、纏いを解いた。
「たすかったよ、ルシフェルさん。そうだ皆は無事か」
僕は後ろを振り返った。
どうやらみんな無事のようだ。
「でも、どうしてルシフェルさんが此処に?」
「なに、ユキ殿の仕事ぶりを見た回っていたところで急に遠くで爆発が起きたもんで見にきたらこの惨状だったといとこだ」
「そうでしたか、改めて助かりました。ありがとうございます」
「なにをいう、礼を言うのは私の方だ。部下達、臣民たちを守ってくれて感謝している。で、何が起きたのだ?」
僕は事のいきさつを説明する。
「なるほど、吸血樹の原因は先ほどの奴だったと」
「吸血樹に実がなっている者もいるようだが、助けられそうか?」
「それはわかりません、未だ状態を確かめていないので、最悪はもう助けられない可能性もあります」
「わかった。どうやら助けられるのユキ殿だけのようだ、すまんが重症な者から順に頼めるか? 持ちろん別途、報酬も考える」
「わかりました。できるだけ、やってみます」
僕はまず実がなってしまっている人に近づく、そして木に触れその悪魔の体に触れる。
駄目だ、生命の鼓動が感じられない。
逆に実の方には濃縮された魔力がかんじられる。
僕は実から逆流するように体にエネルギーを送って見る。
が、体に変化は起こらなかった。
ギュンターが行っていたのはまさしく共食いだ。
「どうだ、治せそうか」
と、ルシフェルさんが言うが僕は首を横に振る。
「そうか、ではその実をユキ殿が食べてくれ」
「何を言ってるんですか、これはご家族に返すべきです」
「ユキ殿は世界樹の化身何だろう、報告で聞いている。ならその命を食べて世界に循環してやってくれ。それが弔いにもなるだろう。はっきり言ってその実は危険すぎる。家族にも渡すわけにはいかん」
そう言われて僕は実をちぎり口にした。
確かにエネルギーの塊だ。
この力を世界に循環させる、か。
そうだ、この悪魔にに循環させてみよう、僕は吸血樹を取り除き傷ついた、体に治癒の力を使い回復させ、先ほど得た、エネルギーをこの悪魔に循環させる。
するとわずかだが、生命の鼓動が返ってきた。




