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9話

 国名が『エデン』に唐突に決まった。

 今後、この土地はエデンとして行動することになる。

 そのうち選挙とかして、僕以外の誰かに国の代表になってもらいたい。

 責任とかいらない。

 そろそろ話を変えないと、まだみんなうんうん頷いてるし。


 「で、結局、他の国の名前とか、どこに町があるとかはわからないんだよね?」


 「はい。わかっておりません。周囲の森ならある程度把握しています」


 いずれ偵察には行くとしても、300年前までは、国どうしが争ってたけど、僕たちが現れて、周囲に森が出来たために、今のところは落ち着いてる。

 戦争がないならそれに越したことはないけど、状況がわからない今は、いきなり他国に行くのはやめた方がいいかな。

 せっかく国になったんだから、まずは自分たちの国を整えてからでもいいかな。

 幸いにも岩山の周りは深い森に囲まれていて、ここまではこれないみたいだし。

 それでもいつかは誰か来る可能性もある。

 出来るだけの準備はしておこう。


 会議では、いざという時のために、妖精と精霊たちには洞窟内にも交代で見張りをつけてもらうことにした。

 会議の中で、4大精霊たちとミントは武器となるものを家畜たちにも持たせて戦わせた方がいいという意見も出たが、元家畜たちが戦えるとは思えなかった。

 まあ、見た目はみんな強そうだけど。

 武器と言っても現状では、クワ、ツルハシ、スコップ、伐採用の斧、ピッチフォークぐらいしかない。

 

 「ユキ様が観賞用に作っていた、模造刀とか、騎士の鎧とかにある剣やランスをもっと作ればいいだよ」


 グランが提案してくれて、やっと気づいた。

 ゲーム内では、観賞用というか、部屋の飾りに自分である程度は作れたんだ。

 購入もできたけど、材料さえあれば自分で作れるものが多かった。

 今でも作れるかな?

 ゲームではその設備の前まで材料を持って行ってメニューをから選択できたけど、今ではメニューが開けないからなぁ。

 一応ゲーム内には、各種、習熟度と言うのがあって、農業、採掘、釣り、建築、鍛冶、薬品などいろんなものがあった。

 まぁ所謂スキルだと思う。

 ゲーム内ではあくまで習熟度という数字で表されていた。

 ただ、限界がわからないんだよな、5年やりこんでる僕でさえ、限界がわからない。

 農業のスキルなんか習熟度858とかわけわからん数字まで上がってるのに、一向にカンストの気配がない。

 噂では、999まであるとか、9999まで上がるとか、掲示板でも話題になってたけど、運営さんからは、何の返答もなかった。

 スキルは基本、上げれば上げるほど品質が良くなるとか、効率がよくなるなどしか説明がない。

 でもスキルの習熟度が150以上になるとそれから上がってもまったく恩恵を感じない。

 たぶん、運営会社がやり込み要素で入れただけで、意味はないんじゃないかと思ってる。


 メニューが開かない状態で、スキルが使えるのかな?

 というより、レシピを覚えてない。

 だって、メニューに載ってたもの。

 どうしよ。


 「では、工房などにいる、ヘルファー達に伝えておきます」

 

 悩んでたら、ミントさんが答えをくれたよ。

 ヘルファー妖精、優秀だね。

 そして、ミントは完璧に秘書だね。


 「じゃあ、材料はたくさんあるから装備は作ればなんとかなるかな」


 「後は、家畜たちに戦闘訓練が必要ですが、いかがいたしますか?」


 おおぅ、そうだよね、もともと酪農するための動物だしね。

 今は変わってるけど。

 それにゲームの時から戦闘行為なんかないし。

 僕も戦える自信なんかない。

 

 「それは、我らが引き受けた方がよいな」


 「えっ、ドーガって戦闘の経験あるの?」


 「我ら精霊は一番力の強いものが王になる。王になるためには、同じ精霊達に力を示さなければいけないからな」


 マジですか!?

 

 「他のみんなもそうなの?」


 「そうですねぇ、私もあの時は大変でしたぁ」


 「僕もみんなを投げ飛ばして女王になった!」


 「ノームの王になるときは、マナをほとんど使ったから最後はくたくたになったよ」


 上から順にフェルミナ、フィーネ、グランがその時の感想を教えてくれた。


 精霊は意外に脳筋だったのか!?

 おっとりしてるウンディーネのフェルミナでさえ戦闘経験があるとは。

 精霊は見かけによらないんだね。

 怒らせないようにしよう。

 絶対勝てない。

 

 「じゃあ戦闘訓練は任せるね」


 「まかしておけ」


 ドーガが代表して答えた。

 

 「それと、これからは『家畜』って言い方はやめよう。彼らは大切なエデンの住人だから」


 それからは、家畜小屋を改築するって話だったが、よくよく考えたら、ちゃんとした家にした方がいいかなと思って、変更した。

 あとは、簡単に侵入されないように、外の森にはウンディーネたちに霧を作ってもらって視界を悪くしてもらうように頼んだ。


 大体の方針はとりあえず決まったので、会議は終わりにした。





 僕は狐人と熊人?たちの家を作るために、ヘルファー達を引き連れて空地にきていた。

 メニューではクリエイトを選択して建築を選べばできてたけど、やっぱりメニューは開かない。

 イメージしたらできるんじゃないの?

 よく主人公たちは、イメージでチート能力を使ってるしね。

 目をつぶって、

 ゲームのクリエイトモードをイメージして、

 骨組みを作って、

 壁を作って、

 ドアを作って、

 外には花壇とかで花とかあれば、雰囲気もよくなるしね。

 念じてみる。


 ………。


 目を開ける。

 何もありませんでした。

 ですよね、そんな気もしてたんです。

 

 はぁ、現実に大工仕事なんかしたことないんだけど。

 ん?

 イメージした場所から芽が伸びて、急激に成長して、それはやがて花が咲かせた。

 まるで、早送りして、見ているかのようだった。

 

 おやおや、これは世界樹の力かな?

 植物なら、イメージで自在に生やせるのかな。

 これがチートというやつなのか!

 僕にも不思議パワーがあったんだね!

 よし、今度は大きな木をあそこに生やすイメージで。


 ………。


 何にも起こらないのかよ!

 でも、花が咲いたなら、何か条件次第ではできるのかな?

 世界樹ってぐらいがから、やっぱり植物なら操れるとか、成長を早めるぐらいかな?

 後で検証してみよう。


 でも先に、みんなで協力して家を建てますか。

 よしまずは、土台から始めよう。

 

 造り始めて思った。

 クリエイトモードは出来なかったけど、何となくどうすればいいのかが分かる。

 たぶん、建築の習熟度が関係してるんだと思う。

 あと、ヘルファー達がすごい。

 見てる間にどんどん家が建てられていく。

 家は1週間ほどで、全ての住居が完成した。

 

 すぐに狐人と熊人が住み始めた。

 彼らはすごく感謝してくれた。

 そして、そのまま、何人かは戦闘訓練に向かった。


 行動が早いよ、みんな。

 てか、ミントが指示を出してるんだろうとは思うけど。

 ありがたいんだけど、もうちょっとゆっくりしてもいいんだよ。

 僕が、さぼれないじゃないか。

 考えてみたら、このエデンにいる住人って300歳以上なんだよね。

 そんな年寄りたちが、せっせと働いているんだ。

 まぁ、僕もそうみたいだけど、寝てたからそんな実感わかない。

 しょうがない、畑にでも顔をだすか。




 僕は畑に到着すると、いくつかの種をもって、植えてみた。

 予想通り、僕がイメージしたら、植物は早送りしてるかのように成長して実をつけた。

 これは、生産チートだね。

 ゲームではこんな能力なかったし。

 ちなみに植えたのは、トマト、イチゴ、大根である。

 季節の野菜とかもう確実に関係ない。

 まあゲームでも季節ははずれの野菜を植えても収穫できる時間はかかるが、特に問題なかったのをおぼえてる。

 とりあえず収穫して、倉庫に持っていこう。


 あたりは日が沈み始め夕方になってた。

 ちょっと早いけど家に帰って、ご飯食べて、お風呂に入って、ベッドでゆっくりしよう。

 

 明日は戦闘訓練でも見に行こうかな。




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