88話
パイモンさんの領地での仕事、まあ緑化活動もひと段落ついたので、次の領地に向かう事になる。
協力的だったので早く終わり助かった。
次の領地に言って、緑化活動を終えれば僕もようやく地上に帰れる。
「パイモンさんの協力のおかげで、比較的早く緑化が進みました。ありがとうございました」
「こちらこそ、早く済んで良かったです。次の領地でも頑張ってください」
「はい、もちろんそのつもりです」
「ちなみに次の領地は何処へ?」
「たしか、アリトンさんの領地ですね」
「アリトンかぁ、多分苦労しそうだけど、前触れもでてるし、多分大丈夫でしょう。奴は戦闘狂の所ががあるから気を付けて」
「はぁ、パイモンさんが言うなら、気を付けて目を付けらないようにします」
そして、僕たちは次の領地に旅立った。
しかし、アリトンさんは戦闘狂なのか。
でもルシフェルさんが前触れを出しているから大丈夫でしょ。
いつも通り、途中で町や村があったら、衛士さんと協力して、緑化活動しながら進む。
千年樹をもだいぶ植えたので、魔界にも緑が復活する日もそう遠くないはずだ。
ある日、野営の準備をしているときだった。
護衛の一人が急に吹っ飛ばされてきた。
「サイクロプスだ、全員戦闘準備!」
僕は、吹っ飛ばされてきた、護衛の人に治癒の力を使い回復させる。
サイクロプス、確か一つ目の巨人だ。
でもなぜこんなところに?
考えてもしかたない、早く事態を収拾せねばならない。
今回は、僕も参戦することに決めた。
「ユキ様、ご助力感謝します流石に我らだけではキツイ!」
アイクさんもてこずるような相手なのか。
サイクロプスは噂にたがわぬ筋力をもっていて、見た目も5mを超えている。
しかも武器に鉄のを金棒を持っていた。
僕はウッドゴーレム2体生み出しサイクロプスに突進させる。
が、サイクロプスの一振りでいとも簡単に吹っ飛ばされた。
流石にまだ、粉砕はされてないが、それにしてもすごい力だ。
僕は、もう一体ウッドゴーレムを生み出し纏う。
まずは小手調べに蔦でサイクロプスの四肢を拘束する。
サイクロプスは無理やり引きちぎろうとするが、その間に根を張り詰めて根っこでも四肢を拘束。
動けなくすると無理やり横に転倒させる。
それでも暴れるので、2体のウッドゴーレムにも根っこをつかって、拘束する。
これで、なんとか、なるだろう。
「お見事です、ユキ様」
とアイク。
取り敢えず、話しが通じるかコンタクトをとろうとするため、近づく。
「危険です、ユキ様!そいつらは話が通じるような奴ではない」
「今は拘束してるから、大丈夫だよ」
「奴らは目が弱点です、いざという時は躊躇されずにとどめを」
とアイクが心配してくれる。
「初めまして、サイクロプスの巨人さん。何故僕たちを襲ったのかな?」
知性化があれば受け答えができるはずだ。
何より金棒を持っていることからそれらを作る技術があるという事だ。
「小さな戦士よ、我らは緑を守るために戦っている。このあたりの緑を狙っている奴の一味であろうと思った。しかし、私達は強さを持つものにも敬意を払う。この拘束を解いてくれないか? そなたはどうやら、植物を操るドルイドとみた。であれば、我らの敵ではないはずだ」
「拘束を解こう、しかしそちらも金棒を手放してもらう」
「わかった」
「正気ですか!?相手は巨人族のサイクロプスですよ!」
とアイクさん。
「まあまあ、アイクさん。どうやら話しが通じそうですし、向こうは僕の事を植物を操るドルイドと思っているみたいですし、大丈夫ですよ。それで、どうして、僕達を襲ったのかな?」
「お前たちの装備がアリトンたちの装備に似ているから、斥候と思ったから先につぶそうしたのだ」
「アイクさん、アリトンさんはサイクロプス達と争っているの?」
「いえ、そのような情報は聞いておりません。何より、我らからは攻撃をむやみにしかけるなとのルシフェル様からの命令もでています」
「それ違う。アリトンは毎年のようにこちらの領域に踏み込んでくる」
「話しがかみ合ってないねぇ。これはアリトンさんに確認するべきかな?」
「お前たちはアリトンの部下なのか?」
「それは違うよ、アリトンさんの領地に緑を復活させるためにやって来たんだけど、先にサイクロプスさん達の緑をどうにかした方がいいのかな?」
「ユキ様!あまりにも危険です。いくらユキ様が強くても相手はサイクロプスですよ」
「サイクロプスさん、ドルイドは貴重な存在だよね?サイクロプスの里にも存在しているの?」
「ああ、小さきドルイドが我らの緑を守ってくれている」
「だってさ、ここはそのドルイドたちに会っても損じゃないでしょ」
「そこまでユキ様がおっしゃるなら。それに、アリトン様の事も気になりますし、一度同行しましょう」
「そう言うわけだから、君たちの里に案内してくれるかな?」
「わかった、着いてこい」
僕達は、アリトンの所へ向かわずにサイクロプスの里へ寄り道をすることになった。
サイクロプスの里は馬車で行けばすぐ近くにあった。
里はやはり、サイクロプスの巨人族使用になっており、かなり大きいサイズの門だ。
そして何より、森の中にあることからして、ドルイド達が居ることは、間違いなさそうだ。
「森のドルイドとその護衛達を保護してきた! 門を開けてくれ」
そう言うと重厚な鉄の扉が開いた。
中は中でどれもが大きい、サイクロプスたちは意外に器用なようで、家もしっかりとした物が建っている。
中でも、鍛冶が得意みたいで、みんな金棒やハンマーなど大型の武器を所有している。
「これから、長とドルイド達に会ってもらう」
「わかった、着いて行こう」
長と、ドルイド達が居る建物にはいる。
そこには、サイクロプスの長と思わしき人物と、僕達より小さなホビット族のような者達がフードを被っていた。
きっとあの者達がドルイドなのだろう。
ドルイド達が僕を見ていきなり跪いていく。
「この神聖な雰囲気、まさかあなた様は世界樹の化身ではないでしょうか?」
僕は、いきなり言い当てられたことにビックリした。
それは、アイク達も同じで動揺を隠せないでいた。
「なぜ、僕が世界樹の化身だとわかったのですか?」
「やはり、そうでしたか。我らドルイドが祭るのは自然そのもの、その頂点たる世界樹の気配を間違えようもありません」
そんなもんなんだろうか、ドルイドの独特な感覚がそれをわからせているのかもしれない。
「なんと、世界樹の化身であられたか」
とサイクロプスの長までが跪いた。
「この森の千年樹が今枯れようとしています。何卒お力をお貸しください」
千年樹が枯れようとしているだって、それはこの森の死を意味する。
「わかりました、すぐに千年樹のもとへ」
確かに千年樹は弱弱しく今にも朽ち果てそうだった。
僕は千年樹に触れる。
すると千年樹が寿命を迎えようとしていることがわかった。
きっと今まで、ドルイド達が懸命に延命処置を施してきたのだろう。
でも、もう休ませてあげよう。
新たな千年樹が芽生えるように僕は枯れようとしている千年樹に力を込める。
すると千年樹の力は一旦僕の中に入り枯れて朽ち果ててしまう。
そして、次の瞬間には新たな千年樹が生まれ変わり育っていく。
これで、この森も大丈夫だろう、ちゃんと次の世代へと受け継がれるようにもしたから安心だ。
「おお、まさに奇跡です、世界樹の化身様」
と、ドルイド達が口々に言う。
「その世界樹の化身様ってのは長いからユキでいいよ」
「では、改めて、ユキ様。千年樹を救って頂きありがとうございました」
「それで、僕も聞きたいことあるんだけど」
そう、サイクロプス達とアリトンの事について。




