80話
ルシフェルの住む街の緑化に成功してもしかして地上に帰ることができるかなって淡い思いはやはり儚くもちり、ルシフェルの次の領地である、街を緑化するために護衛とルシフェルの側近が一人ついてくることになった。
側近さんの名前はアイク。
男である。
せめて、あの女悪魔の騎士が良かった。
「アイクさん、次の街までどれくらいですか、馬車で1日の距離です。途中で野営を挟みますので、実質は」1日半と言ったところでしょうか」
野営するのか、盗賊とかに襲われてもだいじょうぶだよな、この人達強いみたいだし。
僕は、馬車に乗り込み出発する。
しばらく進むと野営場所についたようで、馬車が止まる。
「ここで野営をするのですか?」
「はい、ここはちょうどこの岩がありますので、よく目印としても使っておりますので、今日はここで野営をいたします」
その時だった、一人の騎士がアイクに走って、近づいてくる。
「アイク様、スライム3体を発見いたしました、至急討伐の準備にかかります」
「わかった、3体ならお前たちにまかせる。行け」
「はっ!」
そう言って騎士さんはスライム討伐に出て行った。
スライムと言えば地上では見た事ないな、しかもファンタジーの定番の弱い部類のはず。
これは見てみたい。
「アイクさんスライムを見てみたいのですが、かまいませんか?」
「スライムをですか?構いませんが私から離れないようにしてください」
スライムと初のご対面、知性は見込めないだろうが、それでもワクワクしてきt……。
スライムさんはアメーバのように中に斑点がある、それもいくつも。
しかも結構でかい、大人一人分はある。
全然思ってたの違う。
少しドロドロしていて、気持ち悪い生物だった。
「奴らは中に獲物を取り込んで溶かして食べてしまうのです。しかも植物も食べてしまうので見つけたらすぐに討伐すべき害獣なモンスターです。ですので、基本的に魔法で倒すか、核を壊せばスライムも活動を停止します」
と、解説してくれるアイクさん。
植物食べるって、僕には天敵じゃないですか!?
護衛の騎士さん達は魔法が使えるのかみんな火炎系の魔法でやっつけていた。
「スライムは火が弱点なのですか?」
「その通りです、スライムは火には弱いので野営中は火をつけておけば襲われることはありません」
火が弱点なら火のエレメンタルを召喚すれば大丈夫だな。
野営の準備が終わりみんなが干し肉とパンを食べているので僕は、野菜スープを作ってご馳走したら、みんな喜んでくれた。
何よりパンが固いから簡単な野菜スープでもあれば多少は食べやすくなるのだ。
うん、野菜のうまみが出て胡椒も少し足したから、味的には問題ない。
「野営でこんなものが食べれるとは思いませんでした。ありがとうございます。ユキ様」
とアイクさん以下、護衛の方々から感謝された。
次の日の昼前には街に到着。
この街でもやることは同じ、土地を耕して、井戸を掘る。
経過観察のために数日滞在して、次の街や村へと移動していく。
3カ月が過ぎたころにはほとんどの街や村を回り終えた。
そして最後に開拓村へと思いむいた。
そこではビックリ、森がしっかりとあった。
僕の出番はないのでは?
「アイクさん、しっかりとした森があるのに僕って必要でようですか?」
「ここはルシフェル様の領地で今だ未開の土地なのです」
「魔界には緑が無いと聞いていましたが、こんな森があるのに未開?」
「はい、ここはには、強力な魔獣がでてくるの困って開拓ができずに、困っているのです」
「魔獣ですか。ならなおさら、僕の出番はないようにおもいますが?」
「出てくるのは、トレントや植物系のモンスターや魔獣が多いので、同じ植物系のモンスターのユキなら、なんとかできるのはと、閣下もお考えのようで、ここに最後に連れて参りました」
ここが最後なのか、確かにトレント達なら話しは、通じるだろうけど、魔獣は話が通じるとは思えない。
ある程度の知性が無ければ、話し合いもできないからな。
魔獣が出るとあって、開拓村の皆は常に腰に剣をぶら下げて暮らしているみたいだ。
いづれも屈強な戦士なのだろう。
まずは村の中で井戸を掘ろうと思ったが井戸もすでに存在しているし、畑の状態も悪くない。
本当に僕の出番は、森の調査だけのようだ。
「今日はここで泊まり、明日の朝から調査に森にむかいます」
「わかりました、僕は少しだけ森の入り口を見たいのですが、いいですか?」
「では、私もお供いたします」
僕は、森の入り口付近に近づくと最初に樹に触れて眷属のトレントを生み出す。
それを見てい居たアイクさんが、
「なっ!樹がいきなりトレントに危ない! 離れて下さい、ユキ様!」
「大丈夫です、彼は僕が今生み出した僕の眷属のトレントです、害はありません。少し話を聞くだけです。さあ、この森で、何が起きてるのか教えてくれるかい」
すると眷属のトレントが語りだす。
「王よ、あなたの気配を感じてずっとお待ちしてしておりました。森の奥深くに我らの長がお待ちです」
「長って?誰か奥にいるのかい?」
「我ら、トレントの1000年を生きたエルダートレントがおります」
1000年って僕よりだいぶ年上じゃないか、僕でも樹齢で考えれば、300年ぐらいなのに。
「わかった、明日伺う予定だから。それと森の魔獣たちについても教えてくれる」
「我らが森と共に生きているのはフォレストウルフ、ダークエルフ、ウッドゴーレムなどです。私が先に長に伝えに行って来ましょう。明日の朝には迎いの者が入り口で待っているはずです」
そういうと、トレントは動き出し、森の奥深くに消えて行った。
これで、森の中での安全は確保されたのかな?
「信じられない、トレントを生み出すどころか、話までしてしまうとは。あなたは一体何者なのですか?しかも先ほどのトレントはあなたの事を王と呼んだ。答えて頂けますか?」
ここで、隠してもしかたないかな。
すでにララたちの街ではバレていたし。
「私はあるゆる森の王、世界樹の化身です」
「馬鹿な!世界樹などお伽話の類、しかも化身などど言って動き回るはずがなない。我らも何度も地上にでて、世界樹の伝説を求めて探しましたが、見つからなかった。それがあなた様だというのですか!?」
アイクさんは興奮しているのか、しゃべり方が早くなっている。
「それも、明日森の中で真実がわかるでしょう。アイクさん」




