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8話

 僕は家に帰って、ミントにさっきまでの事をはなした。

 ミントも僕に謝ってきた。

 それを気にしていない旨を伝えて、倉庫の備蓄状況を聞いてみたけど、今のままなら何もしなくてもこの先何百年も食べていけそうだ。

 とりあえずは、ミントにみんなが集まれるように広場をセッティングしてもらうことにした。

 サラマンダーである、ドーガには多分家には入ってこれないだろうし。

 会議室みたいなのを別で建て方がいいのかな?

 ドーガでも入れるぐらいの大きめの建物も立てる必要があるね。


 ミントが今日は紅茶を入れくれたので、それを飲みながらみんなが集まるのを待つことにする。

 しばらくして、ミントが呼びに来た。

 なぜか一階の食堂に連れてこられたので、不思議に思ってると。

 そこには、みんなが揃ってた。

 

 「えーと、ドーガは不参加なのかな?」


 「どこに目をつけている。ここにおるではないか」


 返事をした方を見るとそこには赤い髪に筋骨隆々のマッチョがいた。

 

 「どなた様すか?」


 「ドーガだ」


 「いや、ドーガはそんな姿じゃないよ、だって、大きい蜥蜴だもん」


 「とかg…われは、精霊だ。人間のような姿になる事もできる」


 えー!それじゃ最初からその姿でいてよ!サラマンダーが住んでる温泉地帯をあんなに大きく作る必要なかったじゃん!

 でもゲームに設定以外に現実となって、できることが増えたのか?

 できなくなってる事もあるし、メニュー画面が開けないし。


 今この部屋にいるのは、ミント、ポチ、クロ、シロの4人と4大精霊である、ウンディーネのフェルミナ、シルフのフィーネ、ノームのグラン、サラマンダーのドーガ、僕を合わせた9人。

 ミントは席につかず、僕の後ろに控えてくれている。


 最初に口を開いたのはグラン。

 

 「それで、どうするんだい?僕たちノームとしては、ユキ様が僕たちの上にたって事を起こすなら、それに従うよ」


 「私たちウンディーネもぉ、ユキ様にはついていきますよぉ」


 「シルフも、ユキにはついていくよ」


 「我らサラマンダーも同じだ。この土地にいるものは、全部ユキに従うだろう」


 「ありがとう。でも、僕は全部一人で決める事なんかできないんだ。相談もしたいし、みんなの意見も聞きたい。ここはもう、僕だけの土地じゃなくて、みんなの土地でもあるんだから」


 みんなの顔を見渡すと精霊たちは頷いてくれたが、ポチ、クロ、シロは首を傾げている。

 あれ?理解できてないのかな?僕の独裁政治じゃなく、民主主義のように話をしましょうと伝えたかったんだけど。


 「お館様に従うのは当たり前ですが、意見をいうなど、あってはだめなのでは?」


 「俺も主に、従うのが筋だと思う!」


 「そうです!全て旦那様の命令に従えば何の問題もありません」


 順にポチ、クロ、シロが話してくれたけど、それじゃあいけない。

 それに僕が300年眠っている間に、僕の事を思って行動はしてくれてたんだ。

 AIとして、行動したんではなく、自分の意志として。

 自由意思をもっているなら、僕が押さえつけるようなことはできない。

 そんなことをすれば、すぐに破たんする可能性が高い。

 ゲームだから出来たんであって、現実は違う。

 ましてや、ここは違う世界。

 そう、異世界なのだから。


 「ご主人様、ペットの3人や家畜たち、妖精のヘルファー達、もちろん私もですが、精霊の皆様と違い、そこまで知能が高いとはいえません。ご主人様に、優れた意見は出ないと思うのです」


 ミントが淡々と教えるように話してくれたが、僕が起きたら『はい、お終い』ではもったいない。


 「僕が眠ってた300年間はみんな考えて、行動してくれてたんだよね。僕が言わなくても他のみんなと協力して岩山の外にも出て調べてくれたよね」


 「それは、ご主人様のために何かできないかと思いましたし、ご主人様がお目覚めになられて、土地が枯れて落胆されたくなかったのです」


 「それでいいんだよ、ミント。いきなり何でもかんでも、自由にしてねって言ってるんじゃないだ。ミント達が僕の為を思って行動してくれたのなら、それを今後もお願いしたいんだ」


 ペットや家畜は僕がゲーム内で購入して、育てた。

 精霊や妖精はこの土地に呼び込んだ。

 その違いなのだろうと、僕は考えていた。

 なら、いきなり変われと言われても難しいだろう。

 300年間考えて、眠ってる僕を支えてくれたのなら、僕が起きていても考えて行動するという行為が将来的には、役に立つはずなんだ。

 今は僕のためでも、いつかは少しずづでも自分たちのために考えれるように。


 「岩山の外には森ができてるんだよね?で、そこには自然に生まれた妖精たちがいる」


 確認のためにみんなの顔をみると、頷いている。

 これは僕が世界樹の力を持っているから起きた事象だ。

 力が強すぎるのか、僕の土地を超えて世界樹の力が及んでいる証拠ともいえる。


 「今までに、外につながってる洞窟からここに入ってきた人っている?」


 「おりません、洞窟付近には手の空いている妖精たちが見張っています。ご主人様の土地に許可なく入れるわけにはいけませんので」


 ミントが答えてくれたが、やっぱり行動概念が『僕のため』になるなら、考えて行動できている。


 「じゃあ、外には人間や、魔族、エルフ、ドワーフ、獣人の5つの国があるんだよね?国の名前とかわかる?あと正確な位置とか」


 みんな頭に???がついてるよ。

 

 「ユキ様、『クニ』とはなんだい?」


 グランが疑問の声を上げた。

 えっ?もしかして国の概念がないの?


 「えっと、国の土地にはたくさんの人が住んでて、全体の利益や秩序をみんなが協力して護ったりすんだ。で、何かあったら今みたいに相談とかして、全体の方針を決める?みたいな感じかな?」


 国の定義なんか考えたことないし、そもそも国家によって考え方なんか違うし。

 大体こんな感じのような気がする。

 自信ないけど。


 「おお!では、お館様のこの土地は国となるわけですね!」


 ポチがなんか、うれしそう。

 他のみんなも「なるほど」って納得してるみたいだけど、このままでいいんだろうか?

 僕も分かってないから、まぁいいか。


 「そして、国には名前があると」


 グランが納得しながらこちらを見て、

 で、うちの国の名前は?と聞いてきた。

 目を輝かせてみんなが僕を見てる。

 僕が答えるのを待っている雰囲気だね。

 正直やめてほしい。

 ペットたちにつけた名前で理解でるだろ?

 僕にネームセンスなんかないんだ。

 そんな期待に満ちた目で僕をみないで。


 「国の名前はみんなで考えた方がよくない?」


 そう、独断と偏見はよくない。

 民主主義バンザイ。


 「ここは、ユキの国だ」


 ドーガのその一言で、僕がつけなければいけない、雰囲気がさらに増した。

 くぅ、いらないアシストをするなよ、ドーガ!

 みんなも頷いて、当たり前だ、みたいな顔してるし。

 

 「じゃあ、エデン。ここをみんなにとっての理想郷、地上の楽園って意味なんだけど」


 理想郷、地上の楽園。

 そんな国を目指します的な。

 やっぱ安直すぎたかな。


 「素晴らしい名前です。さすがご主人様です!」


 「たしかに、ここは我ら精霊や妖精にとっては、理想の住処といえるな」


 ミント、ドーガがほめてくれた。

 他のみんなも「すばらしい」とか「さっそくみんな伝えなければ」とか納得してくれているし、いいのかな。

 僕が考えてつけたみたいになってるけど、

 神話に出てくるパクリ。

 言わなきゃばれない。

 うん、たぶん大丈夫。

 

 これで、晴れて我が国の国名が『エデン』に決まった。


 他の国の所在と名前が知りたかったのに。

 多分知らないんだろうな。

 偵察とかできそうな人いないし。

 精霊のシルフとかなら空に飛んでできそうだけど、好奇心旺盛だから不安だし。


 はぁ、この先が思いやられるよ。



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